初心者のためのクルーズ入門

高い、暇、船酔い?クルーズの魅力を知らない人は損!

公開日:2018.07.02

更新日:2018.09.14

多くの人がクルーズというとイメージするのが「高い」「退屈」「酔う」という不安ごと。そんな勘違いをし続けると、クルーズという人生を豊かにしてくれる機会を逃すことになって損するかもしれません。クルーズが実はお得な旅行である理由をお教えします。

50代からのクルーズ旅
寝ている間に移動して、新たな寄港地に。移動代も含まれていると考えればお得です。(撮影=藤原暢子、以下同)

クルーズには誤解が多すぎる!?

多くの方からクルーズに関してよく聞くのは、「クルーズって何千万円もするんですよね。一生行けないだろうな」「船酔いするからクルーズは無理なんです」「クルーズって退屈そうで……」などという言葉。

そのたびに、「クルーズのことって本当に伝わってないなあ、みなさん、そんな誤解で客船に乗らないなんて、人生損をしているなあ」と思います。

料金についてはマスコミのせいでもあります。例えば、日本船の「飛鳥Ⅱ」がテレビなどで紹介されても、1泊2日で食事やエンターテインメントなど全部無料、バルコニー付きの客室(2名一室1名分)が約5万円とちょっとした高級旅館の金額と変わらないのに、船に数室しかない最上級のスートルームを見せて、「このスイートは約3か月の世界一周でなんと2500万円だそうです!」と極端な報道をしてしまうのです。

インパクトを狙うがゆえに「クルーズ=高い旅」というイメージを日本人に植え付けてきました。

1泊5万円前後というのは、繊細な日本食も出て、日本語で至れり尽くせりのサービスを行う日本船の場合のみ。これは日本船籍であることや食材のよさ、日本人乗組員の数、乗客定員800人という小さめの船なので、どうしてもコストがあがってしまうため。

別記事「ピンからキリまであるクルーズ船、適切な船の選び方」では、「客船にはいろんなレベルや客室カテゴリーがあります」と書きました。

例えば、日本発着を行う外国船の代表である「ダイヤモンド・プリンセス」という米国のクルーズなどの客室や施設は日本船よりゴージャスですが、乗客定員は2706人、外国人クルーを多く雇っているために、1泊2万5000円くらいから。

その1泊には宿泊費、寝ている間の移動代、朝、昼、夜3食のフルコースやアフタヌーンティー、ラスベガススタイルのショー、各種イベントなどすべてがクルーズ代金に含まれています。これだけのものが含まれたホテルなんてありません。そういう意味で、「クルーズは高い」でなく「安い=お得」なものなのです。
 

 

50代からのクルーズ旅
ラスベガススタイルのショーはほぼ毎日。夕食後、優雅に劇場へ。このショーも、もちろん無料

 

クルーズ乗船中は、忙しい!

もう一つよく聞かれることは「クルーズはずっと船に乗ったままで退屈なのでは?」という質問です。

ずばりお答えします。クルーズは忙しいです。退屈する暇はありません。

なぜなら、例えば7泊のクルーズなら3~4か所の港に寄港します。寄港地に着いた日は、朝起きてバッグ一つ持って観光へ。船が用意したツアーに参加したり、ぶらりと自分で街歩きを楽しんだり。午前中はツアーに参加して市街地巡りをして、午後は自分で買い物などもいいですね。

だいたい夕方の5時くらいに船に戻れば大丈夫です。滞在7~8時間ですから行きたい場所だと、けっこう駆け足です。

その後、船でディナーを食べて、ラスベガス風のショーを観て、元気があったら船内各所にある趣向を凝らしたバーに立ち寄ったり、外国船ならカジノでおしゃれにプレイすることもできます。アルコールは有料の場合が多いですが、陸と変わらない料金。お気に入りのバーを探すバー巡りをしてもよいでしょう。

50代からのクルーズ旅
航海日はカジノも終日オープン(外国船の場合)。社交もかねてちょっとしたカジノ遊びもおすすめ

地中海のように、7泊8日で、4か国5港などに行くクルーズは乗客が疲れるので、あえてどこにも寄らない「航海日」を設けているくらいです。

では、「航海日」が暇かというと……、そうではないんです。前夜に配られる船内新聞を見てみましょう。船内新聞には、船で楽しめるアクティビティや教室などの予定が書かれています。

朝6時くらいから早朝ヨガや客船のデッキをぐるっと歩くウォーキングに始まり、手芸や絵付けなどのクラフト教室、お肌のお手入れ教室、パットゴルフ大会、いろんな種類のダンス教室、寄港する国の語学教室、ワインテイスティング教室、クッキング教室など、船にもよりますが、数限りないイベントや教室がびっしり用意されています。

また、バスケットコートやテニスコート、プールやウォータースライダーなど、寄港地のない日でもアウトドアで遊べる施設がたくさんあります。

せっかくですから、船内の施設を楽しむのもいいですね。プールサイドでカクテルを飲みながらのんびりもしたいですし、スパでタラソテラピープール(海洋療法)やエステ、マッサージも受けたいとなると、もうあっという間に時間がなくなります。

イベントは無料のものがほとんどですから、あえて知らないものを習うのもいいでしょう。でも、アフタヌーンティーをいただきながら、目の前に広がる海を眺める「何もしない時間」も確保してほしい……そう思うくらい船上で過ごす1日は忙しいのです。

船酔いは天候しだい。避ける方法もあり!

フェリーなどに乗った時の記憶が残っていて、「船は酔う」と言う方も多くいます。客船の目的は楽しんでもらうこと。ですから、ベストシーズンで気候もよく揺れないエリアに就航します。例えば、夏なら地中海、冬ならカリブ海などに客船は移動しているのです。

もちろん、天候が悪く波が立てば船は少しは揺れます。ただ、5000人乗りの巨大な客船は東京タワー並みの長さで、さらに横揺れしないような装置を付けています。それでも不安な方は、ベストシーズンになるべく大きめの客船に乗るとよいでしょう。また客室はなるべく低層の真ん中をリクエストするなど、揺れを感じないような工夫をすることもできます。

50代からのクルーズ旅
高層マンションと変わらない巨大な客船なら揺れることも少ない。ドリームクルーズのGENTING DREAM。シンガポールを発着し、タイ、マレーシア、インドネシア、カンボジアなどのリゾート地を巡ります。

 

また、どの客船も酔い止め薬を用意されていることがほとんど。外国船では購入したり、診療室で酔い止めの注射を診療室で打ってもらえたりもします。酔い止め薬は朝、目が覚めたら、1粒飲んでしばらくしてから1日の行動を開始すれば、効き目もばっちりです。

客船で旅をするという初めての体験ですので、不安はたくさんあると思います。でも実際に乗ってみると、その不安が思い切り覆され、驚くことでしょう。そして多くの方が言うように、「もっと早くからクルーズしておけばよかった」となるのです。

さあ、不安の壁を取り払って、ぜひクルーズへの一歩を踏み出してみませんか?

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藤原 暢子

ふじわら・のぶこ クルーズ・ジャーナリストおよび編集者。20年間で100隻以上の外国船・日本船・フェリーに乗船し、80カ国以上を巡る。クルーズの老舗専門誌『クルーズ』編集長を務めた後、フリーのクルーズ・ジャーナリスト/編集者として、客船取材を含め、さまざまな媒体に関わっている。

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