憧れのクルーズ船、クイーン・エリザベスに乗ってみた

英語が話せなくても、外国船クルーズ旅は楽しめる?

公開日:2022.05.24

英語は何となく聞き取れるけれど、口を開けば「Yes」「No」「Thank you」の3語しか出てこない……。そんな英語レベルの編集部員Tが、夢の豪華客船「クイーン・エリザベス」に乗船体験! はたして旅は楽しめたのか? レポートします。

英語が話せなくても、外国船クルーズ旅は楽しめる?
写真=キュナード・ライン

クイーン・エリザベスはどんな船?

クイーン・エリザベス
写真=キュナード・ライン

「クイーン・エリザベス」は、その名の通り英国生まれの外国客船です。そして、この船を擁する「キュナード・ライン」は、2020年に創業180年を迎えた歴史と伝統を伝承したクルーズ会社です。

そんな歴史と、英国式の丁寧で細やかなサービスを味わえる「クイーン・エリザベス」は、世界一有名な豪華客船といえるでしょう。

長いコースでは100日以上かけて世界中を航行する「クイーン・エリザベス」ですが、今回編集部員Tは、飛行機に乗って移動し、クルーズ旅を楽しむフライト&クルーズで参加してきました(※2019年取材時)。

コース

イギリスの最大のクルーズ客船港・サウサンプトンから乗船し、オランダ・エイマイデンに寄港した後、再びサウサンプトンに戻る航路です。

さて、「クイーン・エリザベス」は英国船ですから、もちろん船内の公用語は、英語が基本です。しかし、編集部員Tは英語が話せません。「Yes」「No」「Thank you」しか発することができません!

クルーズ旅のスペシャリストが教えてくれた英語

乗船前、とにかく英語が話せないことを心配していた編集部員T。数えきれないほど乗船経験があるクルーズライターの藤原暢子さんに、覚えておいた方がいい英語を教わりに行きました。

藤原さん「英語が話せなくても、『Please』と『Thank you』が言えれば、大丈夫ですよ」

編集部員T「えっ……?」

いっそう不安になった編集部員T。結局英語の勉強はせず、クイーン・エリザベスに乗船することに。

クイーン・エリザベスで、実際に英語を使ったシーン

いざ乗船
写真=キュナード・ライン

「『Please』と『Thank you』だけでいい」という藤原さんの言葉を胸に、いざ乗船。その結果どうだったかというと……

「楽しかった……」

振り返ると、英語のコミュニケーションで困った思い出はありませんでした。具体的には、英語に接する機会は主に以下がありました。

  1. 食べ物や飲み物、サービスをオーダーするとき
  2. ドレスを褒められるなど突然、乗船客やスタッフに話しかけられたとき
  3. 1日2回、ベッドメイキングと部屋の清掃を担当する「ルームスチュワード」と廊下ですれ違う瞬間
  4. 困ったことがあって、レセプションやスタッフに話かけるとき

(1)の「食べ物や飲み物、サービスをオーダーするとき」は、メニューを指さしながら、「This one please, Thank you!」と言えば、十分伝わりました。

(2)「褒められた瞬間や話しかけられた瞬間」もニコニコしながら「Thank you」と言えば大丈夫。

確かに、「Please」と「Thank you」で大丈夫だわ……と安心していた編集部員Tでしたが、英語が話せたらよかった、と思う瞬間ももちろんありました。

それは、(3)と(4)。1日2回、昼と夜の夕食時のベッドメイキングと、清掃を担当するルームスチュワードと廊下ですれ違う瞬間。船内の廊下で、部屋を行き来する間に必ずクルーとすれ違うのです。そしてだいたいご機嫌を聞かれるのです。

「How are you?」
「How's it going?」
「Are you alright? 」

返答には、中学で習った英語が役立ちました。

「I'm fine. Thank you」
「I'm good」
「I'm OK...」

でも英語を話せる人は、クルーと「今日は●●が楽しかった!」と盛り上がっていたんです。私もそんな会話がしたかった! 生きた英会話を覚えたい人には、大切な時間になるでしょう。

もう一つは(4)の「困ったことが起きたとき」です。

まず1つ目。持ってきた洋服がほつれたのです。日本語でわかりやすく何でも書いてある「キュナード 海外発着クルーズ ガイドブック」をめくると、「裁縫道具」の用意があるという記載を発見。

ゴクリ……。ついに英語を話すときが来たか……と、覚悟を決めた編集部員T。ちょうどそのとき、部屋をノックする音が。ルームスチュワードがベッドメイキングに来ました。

「クイーン・エリザベス」クルーの気遣いと“察する力”

裁縫道具

「ハイ、マイクローズ イズ ブロークン。クジュー ブリング ミー ア ソウイングセット?」と、思いつく限りの英語で尋ねてみました。すると彼は一寸置いてから、「ソーイングキット?」と聞き返してくれました。

「伝わった~」という喜びとともに、クルーの察する力に、とても驚いたのでした。

これだけではありません。最終日に、部屋の鍵を持たないまま部屋から締め出される「インロック」をしてしまったのです。パーサーズ・オフィスに出向き、これまた必死に窮状を訴えたら、すぐに新しくカードキーを用意してくれて、ことなきを得ました。

クイーン・エリザベスを運営する、キュナードの企業理念の一つは、「Thoughtful(思慮深くあれ)」。

英語が伝わらない相手でも、何とか考えて、意図を汲み取ろうとする。相手の求めることが不可能であれば、代替案を必ず提案する。その姿勢に、いたく感動したのでありました。

「クイーン・エリザベス」には、日本人スタッフもいます!

日本語での案内

クイーン・エリザベスは、日本人向けに日本語での案内があります。例えば、毎日配布される「船内新聞」。その日のイベント情報が日本語でわかりやすく紹介されています。レストランやスパのメニュー、部屋の清掃依頼の札などにも日本語があり、至れり尽くせりです。

また「常に」ではありませんが、日本人乗船客が一定数以上いると判断された航路では、日本人スタッフも常駐します。その場合は日本人スタッフが、乗船後の船内ツアーや避難訓練の説明会をしてくれるのだそうです。また、わからないことを気軽に聞いてもらえるようにと、日本人スタッフがフロントに常駐して、質問や相談を受ける時間「ヘルプデスク」も設けられていました。

「パーサーズ・オフィス」(フロント)での問い合わせや、電話で要件を伝えたいときは、「ジャパニーズプリーズ」と伝えれば、日本人ホストをはじめ、日本語がわかる人に対応してもらえます。

竹内法和(たけうちのりかず)さん

今回の航路に乗船していた日本人スタッフは、「ノリさん」という愛称で親しまれる、竹内法和(たけうち・のりかず)さん。どのようなサポートをしてくださるのか、実際に聞いてみました。

「船内のこと、食事、イベント、寄港地について、クイーン・エリザベスでやってみたいことなど、何でも伺います。船内では言葉の壁もあると思いますが、逆にその壁が素晴らしい経験の始まりになる、という面も。クルーたちとのコミュニケーションを通じて、思い出に残る船旅を味わっていただきたいです」

竹内さんの他にも「クイーン・エリザベス」では、3名の日本人クルーが働いています。コンシェルジュを務めている徳永さんにもお話を聞きました。

「メインイベントである、カクテルパーティーでは通訳も入りますし、すべてのお客様に楽しんでいただけるようにと心掛けています。日本発着・周遊ルートの際には、外国人クルー全員で日本文化研修を行いました。日本語でのあいさつを覚えるだけでなく、お辞儀の仕方など細やかな部分まで日本人のお客様に、快適に旅を楽しんでいただく準備をしました」

また、「文化研修のときに覚えた日本語は、今も忘れずに使っているクルーが多い」と徳永さん。言語の壁を越える、すみずみまで行き届いた気遣いと温もりを感じました。

もしかすると、ご紹介したスタッフ2人には、クイーン・エリザベスが日本就航をする旅でも出会えるかもしれません。

日本周遊ルートなら、もっと安心

クイーン・エリザベスの日本就航
2023年4月19日横浜を出港する「新緑の日本周遊と韓国 10日間」の航路

これまで、「クイーン・エリザベス」は世界一周クルーズの途中で、日本に寄港することがありました。残念ながら、コロナ禍で縁遠くなってしまっていたクルーズ旅ですが、すでにツアーは復活しています。すでに2023年の旅の予約はスタートしているため、「いつかは豪華客船の旅をしたい」という夢がある方は、4年越しの夢をかなえるチャンスです。

現在発表されているのは、「クイーン・メリー2」と「クイーン・ヴィクトリア」の「100周年記念ワールドクルーズ」2本と、「クイーン・エリザベス」の日本周遊クルーズ4本、ショートクルーズ2本。中でも注目したいのが、9~10日間をかけて日本を周遊する「クイーン・エリザベス」の日本発着クルーズの4本です。発着地はすべて横浜で、北海道・東北・四国・九州など、新緑の美しい4~5月の時期に日本各地を巡ります。

日本では、クイーン・エリザベスを予約する場合は、旅行代理店を通じる必要があります。お近くのクルーズ旅行取扱いの代理店をインターネットで検索をしてみてくださいね。早期予約をすると割引等の特典があるツアーもあります。

世界中を航行している船なので、日本を発着するタイミングは、憧れの豪華客船「クイーン・エリザベス」を気軽に体験できる、めったにないチャンスです!

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ハルメク365編集部

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