人生後半が幸せになるコツを「夫婦問題」のプロが伝授

2024年01月21日

50代からの夫婦関係、見つめ直して幸せ老後に#2

人生後半が幸せになるコツを「夫婦問題」のプロが伝授

あなたは夫を愛していますか? 読者150人アンケートでは、夫に不平不満はあっても、離婚は考えていない人が多いとわかりました。不満を解消しつつ、夫と平等に、自分は快適に、人生後半を暮らすコツをベテランカウンセラーの岡野さんにお聞きしました。

岡野あつこさんのプロフィール

岡野あつこさん

おかの・あつこ 夫婦問題研究家。離婚診断士®️。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。

男女平等に!定年を機に夫婦の関係性を見直したい!

定年を機に夫婦の関係性を見直したい!

今の時代、男女平等に異を唱える人は少ないでしょう。夫だから、妻だからといって、どちらが上か下か、ということもないはず。

ハルメクWEBが、50代60代の女性150名に夫婦関係のアンケートをとったところ、実際はどうだったかというと……。

  • 家は料亭ではない。お皿とコップくらいは出して (プリンマミー 54歳 既婚30~34年)

と、夫が家事に参加しない姿勢に不満の声もあれば、

  • 最近夫が引退して毎日家に居るが、家事をゆっくり仕込んでいます。まだ、始まったばかりなので、しばらくすると変わるかも知れませんけど。 (KH 62歳 既婚30~34年)

と、仕事を引退した夫に家事を教育中というコメントもありました。また、

  • (定年を迎えた)夫は永年の会社勤務から開放され、今までできなかった陶芸や、ヨガ、好きな勉強を楽しんでいますし、私は小さい頃からの希望でもあった、保育園や学童などの仕事にやりがいを見出していて、二人とも毎日が充実しています。会話も趣味や仕事のことが多く、楽しいです (YM 65歳 既婚35年以上)

と、夫と程よい距離感を保ちながら、それぞれの人生を充実させるように工夫しているケースも見受けられます。妻が家事を担い、夫は働きに出ていたという家庭が多い世代でしょうから、現代に見られる理想的な平等意識を夫が持っているかといえば、そうでもないかもしれません。でも、夫の定年前後に家事分担を見直したいと考える人は多いのではないでしょうか。

そこで、数多くの夫婦問題に対処してきた夫婦問題研究家であり離婚カウンセラーでもある岡野あつこさんに、夫と平等に、自分は快適に、人生後半を暮らすコツを聞いてみました。

我慢は嫌という前向きな女性が増えてきている

岡野あつこさん

岡野あつこさん(以下、岡野さん)「50代以上の女性たちの傾向を見ると、全般に『前向きな女性が増えてきたな』という印象ですね。不満はあるけれど『我慢だけなんていや。じゃあ、どうしたら?』と理論的に考えようとしている人が多い。定年退職した夫に家事を仕込むことで『自分が楽できるように』というのもそうだし、『夫は趣味を見つけ、自分は昔からの夢をかなえられた』という方の場合もそう」

専業主婦の不満

ー60代以上の女性は、まだまだ男性優位の社会で育ってきた背景もあるので、男性と同等のキャリアを積んできた人は少ないかもしれませんし、封建的な夫婦関係もあったでしょう。それでも、仕事や家事育児、介護などのライフイベントをやり遂げたことは、素晴らしいことですよね。

岡野さん「自分のしてきたことに自信が持てれば、自分と同じようにがんばって働いてくれた夫に対しても、素直に感謝できるのでは。あなたは仕事をがんばってくれた。私だって家事も育児も、パートまでもこなしたのよ! だから、ふたりはどこまでも対等でいるべき、という意識が強いんでしょうね」

ーだから定年を迎えた夫に対して「もう会社は辞めたんでしょ? じゃあ、もう少し家のことも手伝ってよ」と考えるわけですね?

岡野さん「よほどのモラハラ夫でない限り、家事を頼まれたぐらいのことで『気に入らないのなら出ていけ!』『だったら離婚だ!』とはならないでしょう」

また今回のアンケート結果によれば、不平不満はあっても、離婚は考えていない人が多いとわかりました。

意外と離婚を考えていない?

Q.離婚について考えたことはありますか?

Q.離婚について考えたことはありますか?
150人を対象にしたWEBアンケートでは、現在既婚者の129人のうち109人が一度は離婚は考えたことがあると回答。しかし「あまり考えない」「ほぼ考えたことがない」「一度も考えたこと」がないと回答した「離婚」に実感がない層は約70%だった​​

岡野さん「妻は年金生活前に離婚してしまうと、その先の生活基盤が心配。一方の夫だって、今さら家事のことなどわからない。お互いによほどの嫌悪感があるわけでもない限り、離婚するより一緒に暮らした方が快適なんです。だったら少しでも気持ちよく暮らせるようにしましょう、と努力するのは素晴らしいことですよね。

その点、夫に上手に家事を『仕込んでいる』という妻は賢いと思います。実際には、『少しは家事をしてよ!』と面と向かって言いにくいジレンマを抱えて、悩んでいる人は多いでしょう」

次回も引き続き、岡野あつこさんのインタビューをお届けします。夫婦関係の不満は「私ってスゴイ!」と発想の転換することが鍵だそう。その意味について伺います。

※この記事は2021年8月の記事を再編集して掲載しています。

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浅野裕見子
浅野裕見子

あさの・ゆみこ フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。AERAや週刊朝日、宝島社ムックなどに執筆中。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子どもの頃からの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹と暮らす。日本BBQ協会上級インストラクターでもある。

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