50代からの夫婦関係、見つめ直して幸せ老後に#1

熟年夫婦 愛はある?50代~150人本音アンケート

公開日:2021.08.12

更新日:2023.08.29

50代の夫婦関係は折り返し地点!夫婦関係見直し特集です

2021年7月、鈴木保奈美さん(54歳)と石橋貴明さん(59歳)が、「子育てがひと段落したのを機に」という理由で離婚を発表。

人生100年時代ですから、単純に2で割っても、50歳代は折り返し地点。子育ては卒業するものの、親の介護に直面したり、夫や自分の定年が見えてきたり。本格的な年金生活に突入する前に、ぜひやっておきたいのが「夫婦生活の見直し」作業ではないでしょうか。

これから先の人生を、楽しく、ストレスなく過ごすために、どんな夫婦像を目指したらいいのか。この特集では、50代60代女性の本音や、夫婦問題カウンセラー、精神科医といった専門家の意見も交えながら考えていきます。みなさんも一緒に考えてみませんか?

読者アンケートから読み解く「熟年夫婦の愛の変遷」

「熟年夫婦の愛の変遷」

お互いを、最後に名前で呼び合ったのは、いつですか? いつしか「お父さん」「お母さん」になっていませんか?

2021年6月、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」150名を対象に「『夫婦関係に関するインターネットアンケート」を実施しました。女性150人(50~54歳=14人、55~59歳=32人、60~64歳87人、65~69歳17人)から回答を得ました。

そこから見えてきたのは、穏やかな愛情や家族愛。けれど、細かく質問を重ねていくと、将来への不安や相手への不満も顔を出してきました。

86.9%が婚姻歴25年以上のベテラン夫婦

熟年女性の婚姻率

アンケートに答えてくれた、婚姻歴がある150人のうち

  • 既婚……80.7%
  • 離婚経験あり(現在は独身)……9.3%
  • 離婚経験あり(現在は再婚)……5.3%
  • 死別……4.7%

と、86%の129人が結婚生活を継続中。その婚姻歴は?

熟年夫婦の婚姻歴

  • 35年以上……47.3%
  • 30~34年……25.6%
  • 25~29年……14.0%
  • 20~24年……7.8%
  • 10~14年……3.1%
  • 15~19年……1.8%
  • 9年以下……0.8%

86.9%が婚姻歴25年以上のベテラン夫婦であることがわかりました。

ズバリ!夫のことを愛していますか?

そんな熟年カップルにズバリ質問!「既婚」「離婚経験あり(現在は再婚)」と回答した129人に、「夫を愛していますか?」と聞いたところ……

夫のことを愛している50代以上の女性


おおっ。
半数(49.6%)が「夫を愛している」と回答! 「愛情はないが情がある」(35.7%)と合わせると、9割近い人が伴侶に対して好意的な感情を抱いています。

「長年、夫婦をやっているんだから、なにかしらの情はあるわよ」という声が聞こえてきそうです。

ここで考えられるのが、「愛」という言葉の意味は人によって違うのだろうな、ということ。

10代の頃のような、ドキドキとときめく恋愛感情が愛なのか。
お互いを知り尽くしてしまった今、ときめきこそないものの、相手を大切に思う温かい感情のことを愛と呼ぶのか。

その個人差(愛の温度差?)は、フリーコメントから伺い知ることができます。

夫への愛情が時間とともにどう変わった?

上記の「ズバリ!夫のことを愛していますか?」で「愛している」「愛していないが情はある」(合わせて85.3%)と回答した人それぞれが、「夫婦関係で変化を感じることがあれば具体的に教えてください」という質問にどう答えたか、そのフリーアンサーをまとめてみました。

【夫を愛している(49.65%)回答者の声】

夫を愛している人達の声

今でもラブラブ派!

  • 若い頃は子育てに忙しく、夫も帰りが遅かったりして、夫婦二人の時間は「それなり」。 子どもたちが巣立っていった今は新婚の時のようにうきうきしています。コロナの自粛中テレワークもあり、リタイア後の生活スタイルも見えてきて、この人と結婚して良かったと思える今日この頃です。 (KU 63歳 既婚35年以上)

■穏やかな愛情でますます充実派

  • 年を重ねるごとにお互いを思いやり、いつも新鮮な空気のような存在になっています。そして一番うれしかった言葉が「あの世に行ってもお前と一緒になりたいな」です。 (ダブルK  59歳 既婚35年以上)

―ごちそうさまでございます。筆者は今56歳、結婚21年目ですが、こんなふうに言えるようになりたいです!

■新鮮さ取り戻し派

  • コロナ禍で24年間同居していた実母との同居を解消。3年前に定年を迎えた夫は10年間の単身赴任を終えて帰宅。夫婦の会話が増え、新婚時にはなかった趣味も増え、今後のこともよく話し合うように。(waniko 60代 35年以上)
     
  • 起業して自営となり、一緒に仕事をすることも多くなり、夫の外での人柄もわかるように。彼の違う一面を見るようになって、安心感が強くなりました。 (MCいるか 61歳 既婚35年以上)

まさに、(コロナ)禍を転じて福と為す。定年退職やリモートワークで、お互いの生活時間や環境が変わったとき、それをプラスに受け止められると、いい結果になるようですね。

■今から老後に備えている派

  • 最近夫が引退して毎日家に居るので、家事をゆっくり仕込んでいます。まだ、始まったばかりなので、しばらくすると変わるかも知れませんけど。(KH 62歳 既婚30~34年)
     
  • 子どもが独立して二人になってからでは遅いと聞いていたので、15年ほど前から、お父さんお母さんではなく、名前で呼ぶことからスタートしました。  (takakomama 61歳 既婚35年以上)

備えあれば憂いなし! 「夫婦関係は変化するもの」と考えて早くから準備を始めているなんてすごい!

【愛はないが情はある(35.7%)回答者の声】

愛はないが情はある

 ■穏やかな愛情に移行派

  • 子どもの「お父さん」のタイトルがとれた今、私の中で子どもが生まれる前の夫の位置づけに戻ることは難しい。 夫婦愛というより家族愛で、一番身近で思ったことを遠慮なくぶつけられる存在で、ずっと一緒にいることは苦痛でもあり、でも存在しなかったら寂しい気持ちになると思う。 (ちゅけりん 64歳 既婚25~29年)

■程よい距離感派

  • 良くも悪くも、ある程度の距離感を持って接する同居人と考えるようになった。そのように考えれば穏やかに過ごせる。 (YO 65歳 既婚30~34年)

■感情のバランスに戸惑う派

  • (夫の)単身赴任生活が長く、居ないことが当たり前だった。帰ってきたときはいろいろ食べさせてあげたい!と張り切る半面、生活のパターンが崩れて、ややストレス……老後が怖い(JN 54歳 既婚30~34年)

■情熱は冷めたのよ派

  • 就学で子どもが家を離れる、結婚する、親を見送るなど、夫婦としてしないといけない事柄が片付くごとに、共通の話題もなくなった。一緒に暮らす必要性も薄れた。 (Y.M 65歳 既婚35年以上)

夫との関係に穏やかな家族愛はあるものの、今後については不安や不満がある模様。中には「同居人と考えている」「共通の話題もないし、一緒に暮らす必要性も薄れている」など、すっかり諦めの境地、という人も。

「夫に言いたいことはありますか?」と聞いてみたら

「夫に言いたいことはありますか?」と聞いてみたら

全般には穏便な結果、とはいえ、やはりそこは夫婦です。

どんなに愛していても、大切な家族でも、いや、家族だからこそ、言いたいことはいろいろある様子。「愛している」「愛していないが情はある」と答えた人でも、言いたいことはある!という人が多数でした。

【愛しているけど、それはそれ、これはこれなの!】

  • 自分のことは自分でしろ! (デコポン 60歳 既婚25~29年)
     
  • 心の愛を重視してほしい。 セックスが無くても夫婦は幸せになれると思います。 (あんひめ 64歳 35年以上)
     
  • 最後まで、話を聞いてくださいね。 (Y.Y. 62歳 25~29年)
     
  • もう少し、家事を手伝ってよ~! こちらのしてほしいようにしてもらいたい。適当にされると、結果やり直しになるので困る。表面上は感謝しているけど、実はムカムカ! (Y.O. 61歳 35年以上)
     
  • 家は料亭ではない。お皿とコップくらいは出して。 (プリンマミー 54歳 30~34年)

愛は盲目、とはいかないのが長年連れ添った家族ですね。特に「夫が家事をしてくれない問題」は根強い様子。

【情はあるけど…言いたいこともある!】

  • 自分流(マイルール)を押し付けるのはやめてほしい!妻への感謝と思いやりを行動で示してほしい! 心では感謝してくれてるのかも知れないけど、通じません! (Y.M. 65歳 35年以上)
     
  • 私も努力するので、あなたも私に対してもう少し他人としての敬意を持って接していただきたい。 (Y.O. 65歳 30~34年)
     
  • もう少し前から、妻の役割や存在に対して思いやりを持って接するべきだったと思うよ。 (ぶはる 52歳 20~24年)
     
  • 私はあなたのママじゃない! 甘えて来るな! 私一人で2人の子どもを育てたみたいなものです。(熟年になって)テレビだけが友達なんて寂し過ぎるぞ。 (A.T. 61歳 35年以上)

なかなかに手厳しい声も。そのほとんどが「人として互いを尊重すべき」「もっと認めて!」という声でした。

夫婦はイーブン(対等)だという意識と、現実のズレに悩んでいる様子が伺えます。もちろん、「愛もなければ情もない」という人の中には「どうして結婚したんだろう」とか「相手がウザい!」という深刻な声も。 夫との会話もコミュニケーションもなくて、これから先どうしたら……と戸惑っているケースも見受けられます。

そんな夫婦の心のすれ違いはなぜ起きるのか? どうしたら改善できるのか?それについては、特集の6~7回目に心理学の側面からアプローチしますので、お楽しみに!

129人中102人は離婚を考えたことがある!

離婚希望者

また、現在既婚者(※)129人のうち、102人が「離婚を考えたことがある」と回答しています(※「既婚」「離婚経験あり既婚」の回答者合計)。

何歳であろうとも、離婚とは人生の一大事。人生を大きく変えてしまうできごとです。それだけ冷静な判断が求められますし、当然、自分ひとりの問題でもありません。

過去に離婚を考えた原因や、現在進行形で離婚を考えている理由については、第3回の記事で詳しく取り上げます。

いずれにしても、人生の折り返し地点を迎えた今、残りの人生を幸せな日々にできるか否かは、夫婦関係の良しあしにかかっているといっても過言ではなさそう。

これから各分野の専門家のアドバイスもいただきながら、50代からの「夫婦関係」の問題や課題を解決する糸口を探っていきたいと思います。

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浅野裕見子

あさの・ゆみこ フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。AERAや週刊朝日、宝島社ムックなどに執筆中。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子どもの頃からの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹と暮らす。日本BBQ協会上級インストラクターでもある。

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