ハルメク編集部が選ぶ大人の女性におすすめの書籍情報

【書評】『小林カツ代の伝説のレシピ』他3冊

公開日:2021.10.01

更新日:2021.10.01

雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、料理研究家の故・小林カツ代さんが残した“簡単・おいしい・時短”を叶えるレシピや、合理的に料理するための知恵を記した本など3冊をご紹介します。

小林カツ代、本田明子著『小林カツ代の伝説のレシピ』

小林カツ代、本田明子著『小林カツ代の伝説のレシピ』
家の光協会刊 1540円

没後7年たった今も人気が失われることのない料理研究家、小林カツ代さん。この本では、内弟子第1号である本田明子さんが1万点以上から厳選したカツ代レシピを紹介しています。“簡単・おいしい・時短”を叶えるレシピの素晴らしさとともに、目を見張るのが各レシピに添えられた「カツ代ロジック」。

例えばホワイトソースをダマにしないコツは、鶏肉など何か他の材料と一緒に炒め、冷たい牛乳を加えること、青椒肉絲チンジャオロースーのお肉をカンカンに熱した鍋に入れたら、じっと待つことも料理の技術等々、合理的に料理するための知恵が満載なのです。「料理は絶対に失敗してはいけない。命をいただくのだから」。カツ代さんのぶれない思いが伝わってきます。

斎藤美奈子著『挑発する少女小説』

斎藤美奈子著『挑発する少女小説』
河出新書 946円

『小公女』『赤毛のアン』……少女時代、夢中になって読みました。今も、ドレスやティータイムのシーンを読むと心がときめくのですが、一方で考え込んでしまう面も。例えば『あしながおじさん』。主人公のジュディは親切で裕福な男性のはからいで、孤児院から大学に進学します。大学生活で知見を広げたジュディは自立した女性を目指すようになるのですが、最終的にはその親切で裕福な男性と結婚しハッピーエンド。あれ? ジュディの自立心はどこへ?

あらためて現代の視点・大人の視点で、少女小説を読み直してみると、当時の社会背景や自分自身の価値観の変化を発見できるのです。本書はその格好の水先案内人。名作少女小説の読み方に次々と革命を起こしてくれます。

熊井明子著『 いくつになっても、ラ・ヴィアン・ローズ』

熊井明子著『 いくつになっても、ラ・ヴィアン・ローズ』
春秋社刊 1870円

80年代のポプリブームの火付け役であり、現在もポプリ研究家、そしてエッセイストとして活動している熊井明子さん。本書は、「本当のラ・ヴィアン・ローズ(薔薇色の人生)が始まるのは、50代から」と話す著者が、50代以降の幸せをテーマにつづる短編集です。

健康診断をきっかけに夫の存在のありがたさに気付くとき、35年ぶりの同窓会で当時の劣等感から解放されたとき、「ママみたいな人生は嫌」と非難した娘の本当の心を知ったとき――。生きることに悩みを抱えても、いつかは変われるときがくる。大切なのは心を前向きにするきっかけなのだと、気付かされます。読後、年を重ねるのはいいものだなあ、と心が軽くなりました。
 

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