53歳女性の「ザ・昭和の夫との老後」についての相談

夫は、社会的には認められよく働きますが、いわゆる“昭和の長男”で家事はほぼできないですし、夫自身も「家のことを自分は何もできない」「家のことができないのが当たり前」と思っています。

最近では、話の観点がすれ違い、いつもけんかになってしまいます。夫はいつも自分の言い分が正しいと思っていて、私の話は聞き入れてくれません。

あと数年で夫が定年になります。今でも連休になると、時々めまいがすることもあるくらい一緒にいることがストレスなのですが、経済的にも離婚する勇気がありません。今後どのように夫と付き合っていけばいいのでしょうか？

（53歳女性・ひとみさん）

岡野さんの回答：時間をかけて将来の話し合いを進めて

夫婦問題カウンセラーの岡野あつこです。

ひとみさんは53年生きてきた中で、結婚生活も20年を越えて、妻の役割を果たすべく夫を支え子どもを育てあげてきたのだと思います。

日々の生活での危機もあったでしょうが、夫婦のコミュニケーションや子育てを通して、妻として、子どもたちの母親として、経験を積み、知識を得て、何とか日々の工夫でここまで乗り越えてきたのだと思います。

親戚付き合いや嫁姑関係にも気を使ったり、近所付き合いで会話のあり方を磨き、子育てで抱える悩みを学びながら解決してきたのだと思います。

対して夫は、会社の歯車として動かされ、真面目に仕事をこなすことが最優先で、家では家庭の一切を妻に任せきりが当たり前。そういう夫と比べて、ひとみさんのような妻は心や意識の成長度合いが高くなるのです。

最近の話の観点の違いは、夫婦の成長の違いに大きく差がついて生じてるのかもしれません。妻の意見を聞かずに自分の正しさを誇示する夫の言動は、人間としての器も小さく、成長も成しえていないのです。

子育てに奮闘して、ある程度以上に成果を出した多くの妻たちが感じることは、例え真面目に働いて社会的評価をえられた夫であっても、家事育児に非協力的で、妻に感謝もなくねぎらってもくれない夫への不満と将来への不安です。

こういう夫は、休まず真面目に働いて、浮気せず借金もせず、身体的暴力は振るわず、家計を支えることさえ真面目にやっていれば、家の中でも会社同様の評価を得られると思い込んでる人が多いのです。

ですから退職すれば「ここまで働いたのだから、労われて当たり前」「あとはゆっくり人生を楽しんで当然」と、考えが自分本意になりがちです。熟年離婚が増えてるのも、こういう独りよがりの夫の意識が変わらないところに原因があります。

今までひとみさんが我慢してきたことや不満に思ってたことに、夫は気付いてないのです。それどころか「ひとみさんが俺をわかってない」「感謝も足りない」と不満に思ってることが多いのです。

こういう人のケースでは定年退職して給料が減ったり年金のみの生活になっても意識は変わらないのです。そして過去の栄光に執着し、自分の正しさを押し付け、妻をないがしろにし続けるケースが多いのです。

将来のことを伝えるには「タイミング」と「伝え方」が重要！

ひとみさんご夫婦は夫が定年になるまであと数年あるようなので、今のうちにこれまでの夫婦生活を振り返り、徐々に将来について話し合いの場をつくっていった方がいいでしょう。

この話し合いにおいては、タイミングや言い方、持っていき方を熟考することがとても大事です。

できればきっかけになるような記念日とかに、まずは夫のいいところを思い出して労いを込めて感謝を伝えましょう。そしてひとみさんの持つ不満や不安を「改善してもらいたい」と話し合いをする必要があります。

話し合いには勇気や根気がいりますし、言い方を間違えばけんかになることもあります。だからこそ、一度に多くを改善してもらおうとやっきになったり焦るのでなく「ここだけはわかってほしい」と時間かけてもいいので、優しく伝えていきましょう。

「経済的にも自信がなく、離婚の勇気もない」と言うひとみさんが、離婚せずこの“ザ・昭和な夫”とうまくやるには、早いうちから気持ちを伝え、わかってもらう最善の努力をしておくことが大切です。

回答者プロフィール：岡野あつこさん

おかの・あつこ　夫婦問題研究家、公認心理師。離婚診断士(R)。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』（サンマーク出版）がある。

・離婚相談救急隊運営
・YouTube「岡野あつこチャンネル」

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