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- 青木奈緖さんのエッセー講座6期第2回参加者の作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ3つのエッセーをご紹介します。
青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。
「妹と私」中込佳子さん
私にはひとつ違いの妹がいる。2人は……
「蕎麦屋にて」西山聖子さん
コロナのために控えていた外食も、ようやく……
「花がるた」ふじいみつこさん
お正月には、決まりのようにおせちを食べた後、父の声掛けで……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
エッセイストの青木奈緒さんを講師に、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座。
このエッセー講座のテーマは「家族」。日本各地からご参加いただいた30名の皆さんが毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。
参加者ひとり一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開していきます。
第6期2回目となる今回の動画では、「面白い話を書くことの難しさ」についてお話を伺いました。
相手に伝わる「面白い話」を書くヒントは「古典落語」にあり !
青木さん:受講者の方で「面白い話を書きたい」というご質問をくださった方がいました。「面白い」とひと言に言っても様々ですが、今日は「クスッと笑えるような、コミカルな話」の書き方についてお話ししましょう。
質問者の方は、自身がおかしい、面白い場面に居合わせた時の話を再現して書いていて、書きながら「あの面白さは伝わるのだろうか」と首を傾げてしまったようです。
一般的に「おかしい」「笑える」という作品を書くのは、とても難しいです。
一方で、「悲しい」「苦しい」「困った」は、実は書きやすく共感も呼びやすいと言えます。
「幸せ」は独りよがりになりやすく(意図せず「私ってこんなに幸せ」と全面に出てしまい、読者に反感を持たれる文章)、著者だけでなく読者をも幸せな気持ちになる、その世界に連れて行くように書くのは難しいことです。それと同じように、「可笑しい」「笑い」を書くのも難しい。
なぜなら、「笑い」はその場のもの。起きたときの場の力が強く、支配しています。だから、それを表現しようにもあくまで再現に過ぎなくなってしまいます。
しかも「笑う場面」には大概の場合、その場の様子、視覚情報が入っています。視覚情報を文字に起こすとどうしても面白さの説明になってしまって、説明すればするほど読者は「面白いのだろうけど…それで?」と冷めてしまう。
では、どうしたら面白く書けるのか。押さえておくべきポイントはいくつかあります。
1. 先の展開を見せない
読者に読む楽しみを与えないといけませんから、展開が見えてしまってはだめです。「こうくるんでしょ、こうなるんでしょ」と着地点が見えてしまったら面白くなくなってしまいますよね。ですので、「この先どうなるの」とひとつ展開を用意して、ストーリーで読ませる必要があります。
2. 登場人物を少なくする
話の中で、「Aさんが言いました」「Bさんが言いました」「Cさんも…」、となったら一人一人に説明が必要になりますよね。ですので、登場人物の上限は3人までくらい。そのごく限られた人数で、ストーリー性があり、先の見えない展開があって、最後に「へぇ、こんな話があるんだ!」となるような作品が理想的です。
その条件を満たした典型的な例があります。「古典落語」です。
古典落語を本で読んでみてください。たとえば、熊さん、八さんが出てきて、そこに主人が出てきて、やりとりがあり、3人でストーリーが展開され、最後にはちゃんとオチがある。
大きなオチを作ろう! と意気込むとそれはそれで大変なので、参考にするくらいで読んでみてください。
あまりたくらまず、クスッと笑えるくらいを狙った方がうまくいくんじゃないかなと思います。
皆さんの作品で、私も読みながら笑ってしまったことが何度かあります。
その一つが、昆虫が大好きな男のお孫さんの話。お孫さんがカマキリの卵を持ってきて、ある日その卵がかえって100匹くらいのカマキリがうわぁっと部屋中に広がっちゃったというものでした。
あの泡の卵が一気に…想像できるでしょう? でも「その先どうなったの!?」と展開が読めないですよね。
お話はこの後、お孫さんがその100匹ちかくのカマキリを飼うと言い出すと展開するのですが…。
他にも最近では、ここでもご紹介した「札束を枕の下に入れて寝る」という話。あの作品も展開が読めない、なかなか面白いお話でした。
「札束の寝心地」二峰仁美さん
面白い話を書けたら、そして、それを読者の方が一緒に笑って下さったらどんなにいいだろうと私も思います。
でも、それを書くのは結構ハードルが高くて、難しい。書くときは、あまり狙い過ぎないように心がけましょう。
面白い作品が書けたら、ぜひ見せてください。お待ちしています。
青木奈緒さんの今月の朗読作品
動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、軽やかな文章で姉妹の関係性をありのままに描いた、楽しく心が穏やかになる作品「妹と私」(中込佳子さん作)です。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間。
2023年3月からは、第6期がスタートしました(受講募集期間は終了しています)。5月からは、青木先生が選んだ作品と解説動画をハルメク365でお楽しみいただけます(毎月25日更新予定)。
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