青木奈緖さんが選んだエッセー作品の紹介とQ&A動画

青木奈緖さんのエッセー通信講座第1回参加者の3作品

公開日:2022.12.06

「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ3つのエッセーを紹介します。

青木奈緖さんのエッセー通信講座第5期第1回
青木奈緖さんのエッセー通信講座第5期第1回参加者の3作品

青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー

「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。

「かるた遊び」中込佳子さん
今から6、70年前のこと。我家では例年正月の三ヶ日から……

「札束の寝心地」二峰仁美さん
私が人生で一番困っている迷惑な家族とは主人である……

「ちひろ」ふじいみつこさん
保育園に迎えに行ったら、ちひろは急に無口になって……

エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答

2022年9月、エッセイストの青木奈緒さんを講師に迎え、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座・第5期がスタートしました。

このエッセー講座のテーマは「家族」。日本各地からご参加いただいた30名の皆さんが毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。

参加者ひとり一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者がいきいきと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを活かせるように公開していきます。

第1回目となる今回の動画では、エッセーの基本の「き」である「かぎかっこや句読点の打ち方」について、青木さん作成の例文を元にお話を伺いました。

Q.「かぎかっこや句読点の打ち方が分かりません」

青木さん:まず、今回のご質問についてお話をする前に、タイトルについてお話しましょう。
タイトルは例えば「父のこと」「母のこと」など、全般的なことではなく、読者の方が「あれ? なんだろう?」と興味や関心をひくものにできるといいですね。

そして、二行目の下のところにお名前を書きます。 冒頭、段落のいちばん最初は1字下げ、そこから文章は始まります。

青木先生5期#1解説1

1.かぎかっこの使い方 その1・会話文を地の文に取り込む
例文:
玄関のドアが開いて「おばあちゃん、ただいま!」と孫が廊下を駆け込んできました。

2.かぎかっこの使い方 その2・会話文を改行して独立させる
例文:
ズボンのポケットに両手をつっこんでこんなことを言います。
「おばあちゃん、不用心だよ。僕が強盗だったらどうするの?」

青木さん:会話文を取りこむときと独立させるときの使い方は自由です。ただ、その会話文を強調したいとき、この会話は聞かせたいなと思ったときは、改行して独立させると効果的です。

青木先生5期#1解説2

3.読点(、)の場所について 音読をして自然に息継ぎをするところに打つ

青木さん:書いたものを読んでみてください。音読をしてみて、息継ぎをするところに点を打ってみると、適度に自然な読点が入るようになります。

青木先生5期#1解説3

4.句読点(、と。)の場所について 行の最後に句読点が来たときは、最後のマスの右下に文字と一緒に書く

青木さん:点(読点)とか丸(句点)、またはかぎかっこの受ける部分など、記号がいちばん下のマス目にきてしまった場合、それだけ次の行のいちばん上に置くことはしないというルールがあります。記号がいちばん下にきてしまったときは、文字と同じマスに小さく書き添えましょう。

青木先生5期#1解説4

5.会話文の末尾の句点(。)は文芸書では打たない

教科書では……
「もう帰るころと思って、わざわざ鍵をあけておいてあげたのよ。」
文芸書(小説、エッセーなど)では……
「もう帰るころと思って、わざわざ鍵をあけておいてあげたのよ」

青木さん:文芸書では、教科書とは異なり、会話文の末尾に句点をつけないかたちが多いです。

青木先生5期#1解説5

6.余韻、文章にはできない思いなどを表すときは三点リーダー(……)を使う

青木さん:使うときのルールは、1マスに3つの点を打ち、2マス分並べます。ただ、この三点リーダーはあまり使いすぎない方がいいかなぁと思います。使いすぎてしまうと「あれ? この人、何か言うことを避けている? 含みが多いなぁ」と読者の方に受け取られ、風情のある余韻として伝わらなくなってしまうことがあるので、本当に必要なときだけに使うようにしましょう。

青木さん:文章の書き方はいろんな書き方があります。教科書や文芸書にも表記の違いがあります。これでなければいけない、ということは決してありません。
目安としては「ひとつのエッセーの作品のなかで表記を統一する」ということを心掛けていただければ、それでいいと思います。

動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、ご主人が巻き起こしたコミカルでドラマチックなある一日を描いた作品「札束の寝心地」(二峰仁美さん作)です。

エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール

1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。

ハルメクの通信制エッセー講座とは?

全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。

書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。

現在第5期の講座を開講しています(募集は終了しました)。次回第6期の参加者の募集は、2022年1月を予定しています。詳しくは雑誌「ハルメク」2023年2月号の誌上とハルメク365WEBサイトのページをご覧ください。


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ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪

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