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- エッセー作品「象は忘れない」あべれみさん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。今月の作品のテーマは「卵」です。あべれみさんの作品「象は忘れない」と山本さんの講評です。
象は忘れない
れみちゃんの通う幼稚園は、毎年学芸会で劇を披露しています。
今回は、「ぞうのたまごのたまごやき」です。みんなが楽しめるように先生方がアレンジして、発表します。
「ぞうのたまごのたまごやき」は、寺村輝夫作の王さまシリーズのひとつで、ちょっとワガママで食いしん坊の王さまのお話です。
印象的なラッパの音、あれね、と思われる方もあるかもしれませんね。
れみちゃんは、王さまシリーズのお話が好きです。ラッパの音が面白いところと、王さまが好きなたまごやきやチョコレートを自分も好きだからです。
お話の途中で、「ぞうはたまごをうまない」ということがわかって、れみちゃんはビックリしました。
途中までは、王さまと同じく「ぞうなら大きいたまごをうむのかな?」と思っていたからです。
れみちゃんは、原作には出てこないお城のコックさん役(4人います)をやることになりました。
「テレレッテ トロロット プルルップ ターア」
ラッパの音で劇が始まります。
いよいよ、れみちゃん達コックさんの出番です。
ジョギングをしているような動きで、ちょこちょこ駆け足をしながら4人のコックさんが一列になって歌いながら舞台に出てきます。
「たいへんだぁ~、たいへんだぁ~、たいへんだぁ~」
れみちゃんは、前から2人目です。
「ぞうのたまごのたまごやき」と続けて歌いながら、先生がダンボールで作ってくれた大きなフライパンを4人のコックさんが持ち上げます。
ここで、れみちゃん達の出番は終わりです。
コックさん役をやり終えて数10年が経った今でも、れみちゃんは、うっかりミスをした時などは、
「たいへんだぁ~、たいへんだぁ~、たいへんだぁ~」
と歌いながら家の中を小走りに動き回っています。
そんな時は、遠くでラッパの音が聞こえているのかもしれませんね。
註:タイトル「象は忘れない」は、イギリスのことわざです。
記憶力がとても良いという意味と、受けた恨みを忘れないという意味があるそうです。
今回は、単に記憶力が良いという意味と、「ぞうのたまご・・・」のお話に合わせて、タイトルに使用しました。
山本ふみこさんからひとこと
この作品を読んだ後、しばらくでたらめな節をつけ、「たいへんだあー、たいへんだあー」と歌っていました。
ここで音引き「―」についてお話しておきましょう。音引きとして「〜」を使うと、かなりくだけた感じになります。それが悪いという話ではありません。考えて、選択してくださいまし。
タイトルの「象は忘れない」にもときめきました。これについての註も、面白く読みました。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
現在第3期の講座開講中です。次回第4期の参加者の募集は、2021年12月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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