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- 青木奈緖さんのエッセー通信講座第6回参加者の4作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーを紹介します。半年間取り組んできた講座も今回で最終回。集大成の4作をぜひご覧ください。
青木奈緖さんが選んだ4つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木奈緖さんの講評をお読みいただけます。
「虹色の糸」岡島みさこさん
2人の兄が20代の時に、父が善かれと思ってしていたことを……
「いつの間にか親ばなれ」加藤菜穂子さん
うら若い乙女が、まじめな青年とお見合いして土建屋に嫁いで……
「短歌に寄せ」西山聖子さん
彼女が家へ来て2年目の冬。私は、初めて新聞の歌壇欄に……
「独立国家の子どもたち」古河順子さん
どうしてそう思ったのか分からないのですが、小さい頃……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
通信制エッセー講座・第2期の最後に、参加者からたくさん届いた質問やお便りに、青木奈緖さんが動画で回答します。
お便り(1)「コロナ禍で人に会うことを極力減らし、家でほとんど一人きりの私ですが、全く孤独やストレスを感じずにいられるのは、この講座、先生のおかげです。書くことで、前向きに楽しく、日々を過ごせています」
青木さん:この講座をしてきた半年間は、ずっとコロナ禍でした。どうしても外出の機会も減り、家にこもって一人でいる時間が多くなってしまっていると思うんです。
そのときに書くことが身近にあって、ストレスの解消と言ったらなんですけれど、何もできないことを感じているのではなく、書くことに気持ちを持っていくことでお役に立てていたのだとしたら、これ以上うれしいことはないなって思います。
お便り(2)「添削が返ってくると、奈緒先生が目の前で語りかけてくださっているように感じ、とてもうれしいです」
青木さん:私はコメントがついつい長くなってしまうんです。
私も、自分が書いたエッセーに感想をいただくことがあります。すると、自分ではこういうつもりで表現していることでも、第三者の方は別のところに注目したり、喜んで読んでくださったりしているのが、新鮮に感じることがあるんです。
それで、具体的にどこをどう直したらいいとご提案するのとは別に、一読者として「作品を拝見して、私はこんなことを思いました」とか「私にも、同じような過去があります」というようなことを一言申し添えると、作品が他人にどう読まれるかを考える一つの助けになるかなと思って……。
お便り(3)「40年以上『家族とは何?』という、私にとって重たいテーマを抱えてきて、ようやくエッセーという形で思いを外に開放することができたように感じています」
青木さん:この方は、6回の作品を見事にお書きになっていらっしゃるんです。「書くこと」は「考えること」ですし、頭の中で整理して、何度も練り直す作業ですから。
家族のあり方もそれぞれで、100人いれば100通りの「家族とは何か」というテーマがあるんだと思います。この講座で半年間、または2期1年間取り組んだみなさんは、それぞれにそのテーマが実り豊かに結実していると思います。
頭の中でただ考えているだけではなくて、書くという具体的な作業があることで、思いを新たにすることもあったでしょうし、考えがより深まったという方もあったんではないかと。そうであったならうれしいな、と思っています。
質問[1]「ずっと心に秘めていた負の感情を吐露しました。エッセーを読んで傷つく人がいないようにと気遣いながら。こういうときに気を付けるべきことを教えてください」
青木さん:書きにくい内容を、それでも書いておきたい。怒りだとか、人に傷つけられたこととか、自分の中でずっと心がしこってしまっているものを表現しておきたいというときもあると思うんです、人生の中では。
そういうものを書くとき、作品の形にして、特に公にした場合、一度出してしまったら引っ込みがつかないんですね。作品は完全に独り立ちをして、他人からどう評価されても、それに対して言い訳をして回ることはできないもの。作品の形にしたらば、自分の手から離すものということは、前提として考えなければいけません。
そして、怒りや悲しみ、悔しさといった感情が、心の中にまだ生な状態であるときは、そのまま作品の中にどっと落とし込んでしまうと、あまりまとまった形にはならなくなってしまいます。
作品はあくまで作品、個人的な日記とは違うものなので。書くには、一歩冷静になることも必要ですし、構成も考えないといけませんし、自分を俯瞰する必要も出て来る。それが書くというプロセスだとも思えます。
そのプロセスを強制的に自分に課してみることは、ある意味では自分との対話であり、自分との格闘でもありますから、その末に吹っ切れるというか、雲の上の青空のようなところにたどり着けることもあると思います。
質問[2]「娘をテーマに書くのにとても苦労しました。愛し過ぎて、とても俯瞰などできません」
青木さん:私も身に覚えのあることで、お気持ちがわかる気がします。逃げの回答のようではありますが、一つには機が熟すまで待つことです。焦らない。書けると思える時が、きっと来ます。
ただ、それでは具体的な答えにならないので、もう一つアドバイスをするとしたら、大きく書こうとしないことだと思います。
小さいことの方が、やっぱり書きやすいんです。お嬢様にしろ、息子さんにしろ、全体像を何とか表現しようと思わないで、何か思い出を一つだけとか、言われて覚えていることなど、小さな一つに区切ってスポットライトを当ててみるのが、一つの方法です。
第2期の講座の終わりに、力のこもった回答をしてくれた青木さん。質問に誠実に、丁寧にコメントする姿は、半年間、30名の参加者のすべての作品に真摯に向き合い、アドバイスを書き込んでいた様子に重なります。「参加者のみなさんが本当にお上手になって……卒業生を送り出す担任の先生の気分です」という言葉にも実感がこもります。
動画では、より詳しいお話を青木さん本人の言葉で聞くことができます。また、参加者のエッセーを紹介するコーナーでは「いつの間にか親ばなれ」(加藤菜穂子さん作)を、青木さんの朗読で紹介しています。ぜひご覧ください。
■もっと知りたい■
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。
書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。
第3期の募集は終了しました。次回第4期の参加者の募集は、2022年1月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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