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- エッセー作品「膝が叫んでいる」市村 文子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。今回募集した作品のテーマは「鍛える」です。市村文子さんの作品「膝が叫んでいる」と山本さんの講評です。
膝が叫んでいる
痛い!痛い!歩くのもおっくうな程膝が痛む。
整形外科に行き膝の中の水を注射器で抜く。水が3センチ程たまっていた。
別の部屋で布テープを膝のまわりにぐるぐる巻き、薬をもらって息子の車で帰ってきた。
ここで私は膝の語るのを聞いた……。
膝が語る。
あなたの痛みは私流に解釈してあなたが悪い。
「歩け」と言われても、毎日テレビの前に坐ってじっとして動かない。
「家庭でできる運動療法」というパンフレットをもらってきても全然やる気なし。
足が鍛えられるという機器も2台あるが、全然やったことなし。
これじゃ膝どころかどこでも悪くなってもおかしくない。
「痛い」という前に少しでも痛みが治る方法を考えて実行したらどうか。
何故できないのか?やる気はあるのだとあなたは思っているが、からだがやる気を阻止していると言う。
息子さんはいつも言っている。
「歩かないと歩けなくなってしまう。車椅子の生活になるよ。」
私は心からあなたがやることを願っている。
鍛えてほしいのだ。
一朝一夕でできるものではない、毎日毎日の積み重ねが大切なのだ、と告げたい。
私の心の中の叫びは届かないかもしれないが、再度言おう。
毎日少しずつでもやれることから実行しよう……
整形外科から、息子の車で帰ってきた。
ふと現実にもどり、今し方膝が語ったことを反芻する。
今日も一日何もせず、じっと坐って暮してしまった。
こんな生活いやなんだ、何かやりたいのだ。
2020年12月1日を期して1日目標を立てて歩く決心をした。
年のせいにしたり、からだのせいにするのはやめよう。
「やればできる」必ず実行することを我が膝に向かって誓います。
山本ふみこさんからひとこと
膝が語りかける。面白い構成です。
皆さんも、擬人法を真似をしてみたらいかがでしょう。
どう書いたらいいものか、と悩んでいる書き手にとっては、このような試みが突破口になるかもしれません。
作家「市村文子」の、「随筆・あるく」を読んでみたいと思います。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
次回の参加者の募集は、2021年6月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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