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- 便秘をこじらせる前に!市販薬と処方薬の賢い活用法
「この10年ほどで新しい薬が続々登場し、便秘治療は格段に進歩しています」と、専門医の中島淳さん。長年の便秘で腸が伸びきってしまうこともあるとか! ひどくなる前に、市販薬を上手に活用したり、診察を受けたりして治療薬を服用しましょう。
便をやわらかく OR 大腸を動かす 2種類の便秘薬
前回ご紹介した、日常生活の中で実践したい「食べる腸活習慣」と「生活と動きの腸活習慣」を実践しても便秘が改善しない場合は、市販薬も上手に使いましょう。
便秘の薬は、便をやわらかくする「非刺激性下剤」と、大腸を動かす「刺激性下剤」に大別されます。
「基本となるのは、非刺激性。少なくとも2日に1回はスムーズな排便があるよう、飲む量を調整します。毎日使ってもかまいません。
ただし、腎臓が悪いと副作用が出る恐れのある薬もありますので注意を」と便秘に詳しい横浜市立大学大学院肝胆膵消化器病学教室主任教授の中島淳さん。
一方、刺激性は使い方に注意が必要。習慣的に飲んでいると効き目が落ち、大腸の動きも悪くなってくるからです。「使っているうちに服用量がどんどん増え、薬なしでは排便できなくなる方も少なくありません。刺激性は便が出ないときのみ週1回程度使うのが鉄則です」(中島さん)
「大腸を動かす薬」の特徴と使い方
<刺激性下剤>
腸を直接刺激して蠕動(ぜんどう)運動を引き起こし、排便を促す効能があります。
センナやアロエなどを含むものが代表的です。習慣性や依存性があるので、日常的に使用するのではなく、旅行時などの突然の便秘に対して一時的に使用するのに適しています。
「便をやわらかくする薬」の特徴と使い方
<非刺激性下剤>
腸内の水分を増やして便をやわらかくし、排便しやすくする効能があります。
酸化マグネシウムを含むものが代表的です。効き目が穏やかで、おなかが痛くなりにくいため、便秘治療の第1候補として選択されることが多い薬です。
改善しないときは治療と処方薬を
市販の便秘薬で十分な改善がみられないときは、医療機関で診療を受けましょう。
この10年ほどで、働き方が異なる新しい薬が続々登場し、便秘治療は格段に進歩しています。漢方薬にも効果的なものがいくつもあります。
「便秘は軽いうちなら治すのも簡単ですが、ひどくなると治療が難しくなります。中には長年の便秘で腸が伸びきって元に戻らなくなる人も。『便秘かな?』と思ったときが、治すタイミングです」と中島さんはアドバイスします。
便秘にはこんな病気が隠れていることも
- 大腸がん
- 糖尿病
- うつ病
- パーキンソン病
- 甲状腺機能低下症
- レビー小体型認知症 など
最も気を付けたいのは大腸がん。がんで大腸が狭くなり、便が出にくい状態になります。血便や体重減少なども伴う場合は早く受診を。また糖尿病になると、自律神経が障害されて腸の動きが低下しがちです。
他にも、うつ病やパーキンソン病、甲状腺機能低下症、レビー小体型認知症などでも便秘が起こりやすくなるので注意しましょう。
教えてくれたのは中島淳(なかじま・あつし)さん
中島 淳(なかじま・あつし)さん
横浜市立大学大学院肝胆膵消化器病学教室主任教授。1989年、大阪大学医学部卒業。東京大学医学部第三内科、米ハーバード大学客員研究員などを経て、2014年から現職。『慢性便秘症 診療ガイドライン2017』の作成にも携わる。著書は『寿命の9割は「便」で決まる』(SB新書)など。
取材・文=佐田節子 イラストレーション=achaca、PIXTA
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年7月号を再編集し、掲載しています。
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