- ハルメク365トップ
- 美と健康
- 健康
- 僧侶が教える!心の疲れを癒やす最も大切なこととは
心と体の疲れを解消する特集企画。まずは心を癒やすポイントを、禅僧・精神科医の川野泰周さんに伺います。日々の中で「なんだか心が疲れているな……」と感じることはありませんか。疲れが蓄積すると体調を崩すため、要注意です。
川野泰周(かわの・たいしゅう)さんのプロフィール
禅僧・精神科医。慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神科などで診療に従事したのち、建長寺専門道場にて禅修行を行い、2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。『半分、減らす。 「1/2の心がけ」で、人生はもっと良くなる』(三笠書房刊)他著書多数。
心や体の不調に気付く余裕がなくなっている…
「私自身、精神科医として、最近、体や心の疲れを訴える方が増えてきた、という印象を受けています」とは、禅僧で精神科医でもある川野泰周さん。
川野さんによると、この20年間で、インターネットにより世の中を飛び交う情報量は1万倍に増えているそうです。テレビでは字幕付きで次々と新しい情報が出され、LINEなど連絡手段の方法も増えました。私たちは常に情報にさらされているのです。
川野さんはこう話します。
「こうした毎日ですから、多くの方が体に関心を向ける余裕がなくなり、体の不調にも心の不調にも気付けなくなっています。でも寝ても疲れが取れない、常に不安を感じるなどは心が疲れている証拠です。
テレビやネットなどから情報を受け取ると、人はどうしても、その良しあしや価値を考えてしまいます。心が休まる時がないのです。時間を決めてテレビやスマホから離れるのも心を休める一つの方法です。試してみてください」
心の疲れは「自律神経の乱れ」として体調に出る
「心の疲れは、自律神経の乱れとして体調に現れます」と川野さん。自律神経の乱れとは、交感神経と副交感神経のバランスが取れなくなること。
日中作業をしているときなど緊張した状態で優位になる交感神経と、夜などリラックスしている状態で優位になる副交感神経、この二つのバランスが保たれていると自律神経が安定して、体調も整った状態が維持されます。
ですが、ストレスによって心が疲弊すると、交感神経が過度に刺激されてバランスが崩れてしまうのです。
ではストレスとはどのようなものでしょう。
「ストレスにもいろいろありますが、突き詰めていくと“こうありたいという希望”と“現実”のギャップによって生まれる“葛藤”です。思うようにならないこと自体がストレスなのです。だから何もかも思い通りになっていたら、不安も心配も起きません。でも、人生はそううまくはいきませんよね。コロナ禍においてはなおさらです」
生きる上でストレスを完全に手放すことは難しいからこそ、心の疲れを予防する。そのためには「ストレスへの耐性をつけること」だと川野さん。
「『耐性』といっても耐え忍ぶのではなく“受容して受け流す力”のことです。仏教の修行も、そうした心の練習ともいえますね」
疲れを癒やすコツは「考えることを止める」
私たちはさまざまな理由により、自分の心の動きや体の不調に気付く余裕がありません。その上、今の世は思い通りにならないことが多く心が疲れています。では“心の疲れ”を癒やすにはどうすべきなのでしょうか。
「心をゆるめる最初のコツは、“考えること”を止めることです。最近はマインドフルネスや瞑想とも呼ばれますが、要は、次々に沸き起こってくる考えを止めて、目の前のことだけに意識を向けること。心配事が続いていては、常に交感神経が刺激されてしまい、脳も疲れます」。
「考えを止める」とは、物事の良い悪いを判断するのではなく、事実をありのまま受け入れて、ただ体で感じること。
「これができると心に余裕が生まれて、自分の体や心の状態に気付けます。さらにいえば、どんな自分でも、受け入れられるようになります。あれこれ評価し判断することに慣らされていると、自分のことを他人と比べて一喜一憂しがち。ですが、評価や承認を手放すことが身に付けば自分を大事に思う、自慈心が生まれます」。
「考えを止める」ための瞑想は、1分間、頭を空っぽにして呼吸に集中するだけでもいいのです。そこで次回は、生活の中でできる5つの「すきま瞑想法」を紹介します。
取材・文=児玉志穂(編集部)、撮影=中西裕人 イラストレーション=古谷充子
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年3月号に掲載、2023年5月にWEB公開した記事を再編集して配信しています。
■もっと知りたい■
- 僧侶が教える!心の疲れを癒やす最も大切なこととは
- 心の疲れが今すぐ取れる!5つの「すきま瞑想法」
- 体の疲れを取るための正しい「入浴」5つのコツ
- 眼科医が教える「疲れ目ケア」で睡眠の質も改善!
- ひざ裏を伸ばす5秒ストレッチで疲れ取り&免疫力UP
- 7秒スクワットで疲れ取り&生活習慣病の予防と改善も
雑誌「ハルメク」
女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?