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- 歯並びは「健康長寿」の基本!歯科矯正のメリットは?
この連載では、銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81院長・坂本紗有見さんが口腔ケアについて解説します。今回のテーマは、「歯並びを矯正するメリット」です。歯科矯正は、美容にも健康にも効果的な手段です。
歯並びが良くなれば「健康長寿」になれる!
歯並びが乱れていると、どうしても嚙み合わせが悪くなり、噛む力も弱くなって、正しい咀嚼(そしゃく)の動作を阻害します。その状態が何年も続くと、今度はあごや顔の筋肉のバランスが崩れます。そして口の動きが不適切になると、だ液の分泌にも悪影響を及ぼすことがあります。
また、歯磨きの際も、磨き残しが生まれやすく「汚口」の原因になります。矯正は健康長寿になるために効果的な手段なのです。
歯科矯正の主なメリット
- 正しい咀嚼により、だ液の分泌が促される
- 口内環境を清潔に保てる
- 嚙み合わせが改善され、顔のバランスが整う
- 発音、発声の改善
- 体のバランス向上による運動能力の改善が期待できる
- 笑顔が美しくなる
- 食事がおいしくなる
矯正は中高年の歯のトラブル改善に有効な手段!
歯並びの矯正は美容面でも大きな効果を発揮します。
歯並びが整えば適切にものを噛めるようになり、結果として筋力のバランスが整います。それによって顔のゆがみやほうれい線、さらにはたるみやシワの改善が期待できるためです。これはまさに、女性にとってはいいことずくめと言っていいでしょう。
口元が正しいバランスを取り戻すと、自然に輪郭が整い、横から見た際の顔のラインがより美しく見えるようになります。矯正は究極のアンチエイジングと言っても過言ではないのです。
歯科矯正は子どものためのものというイメージが強いかもしれません。しかし実際には、中高年から成人まで、多くの人が矯正を行っています。特に最近では、中高年になってから矯正を始める人が珍しくありません。
それは、美容目的だけではなく、加齢とともに起こる歯のトラブルを改善するために、矯正が有効な手段であるからです。
一見、歯並びが悪くないように見える人でも、口のなかまでつぶさにチェックしてみると、実は食事の際に両方の奥歯がきっちり噛み合っていないことがあったり、微妙に「出っ歯」の状態になっていたり、隙間が空いてきたり、さまざまな不具合を抱えているもの。
嚙み合わせの悪さは口やベロの動きを阻害し、結果としてだ液の分泌を抑制してしまうこともあるでしょう。これが「汚口」の一因になるのは言うまでもありません。
矯正で「汚口」を「美口」に変えよう!
また、歯並びが乱れている状態では、どれだけ時間をかけて歯を磨いても、ブラシが正しく歯に届かないところがあるため、食べかすなどを完全には除去できません。
これも矯正によって歯並びが整えば、ブラシやフロス、歯間ブラシなどがフィットするようになり、口のなかをいっそう清潔に保つことにつながるわけです。
矯正は「汚口」を「美口」に改善し、人生を充実させるためのアプローチのひとつと言えます。
歯周病とむし歯を防ぎたければ歯並びを良くしなさい
歯並びを良くすることが「美口」につながるということは、口腔ケアにおいて重要な意味を持ちます。
食べかすが残らず、プラークが発生しにくいということは、歯周病やむし歯になりにくくなるということです。歯周病やむし歯を放置すると、やがては歯が抜け、健康的な食生活が送れなくなります。食べ物がおいしくなくなり、発音が変わり、時には顔の形まで変わるとも言われています。
また、噛み合わせが悪いと、局所的に噛む力がかかりすぎて歯に亀裂が入り、そこからむし歯になることもあります。歯周病菌が歯ぐきから侵入すると、認知症、糖尿病、高血圧などの全身疾患の原因となります。
口の健康を考えるうえで、究極の状態は、歯を削らない、歯を抜かないことです。歯周病とむし歯を防げれば、いつまでも自分の歯で食べられます。口臭も防げます。
そのためには、歯並びを整え、歯磨きと殺菌ベロ回しを日々行い、さらに定期的に歯科医に通うことが重要です。
車椅子の高齢者が、入れ歯を入れたら歩けるように!
ある研究では、歯を守ることで転倒リスクを抑制できることもわかっています。
歯を失って噛み合わせが悪くなると、頭部のバランスが不安定になり、それが全身の重心にまで作用するのです。実際、すでに自前の歯を失っている車椅子の高齢者に、入れ歯をつけてリハビリを行ったところ、立って歩けるようになったという例もあります。
歯を1本失うごとに骨折の可能性が1.06倍に増すというデータもあるほどで、歯周病が悪化してぼろぼろと歯を失っていけば、それだけリスクは増していくことになるのです。
日本人の多くが歯周病リスクを抱えている今、歯周病の罹患(りかん)率の高いシニア層にこそ、矯正は美口、健康、長生き、アンチエイジング、QOL向上などに有効な治療の選択肢であると言えるでしょう。
矯正で認知症のリスクが改善する!
最後にもうひとつ、矯正には認知症予防という大きなメリットがあることもご紹介しておきましょう。
認知症ケア専門士の肩書きを持つ医学博士の長谷川嘉哉先生によれば、人はものを1回噛むだけで脳におよそ3.5mLの血流が送られます。逆にいえば、咀嚼ができなくなるとそれだけ脳の血流は停滞してしまうことになります。
また、歯周病を防ぐことは、次に挙げるような全身疾患を防ぐことにもなります。歯周病菌やその毒素が全身にまわることが病気につながるためと言われています。
- 認知症・動脈硬化
- 糖尿病・脳梗塞
- 骨粗しょう症・低体重児出産
- 誤えん性肺炎
今ある歯をいつまでも残し、心身ともに健やかな老後を送るために、早めの歯科矯正は有効な手段です。気になる人は一度、矯正専門の先生の審査・診断を仰いでみることをおすすめします。
次回は、磨き残しを防ぐ「歯磨きのコツ」をご紹介します。
※本記事は、歯科医・坂本紗有見 著『1分間「殺菌ベロ回し」』(株式会社アスコム/1200円・税別)より一部抜粋して構成しています。
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