50代から気をつけたい歯と骨の関係
歯が抜ける前に知っておきたい。骨粗しょう症と歯の関係とは
歯が抜ける前に知っておきたい。骨粗しょう症と歯の関係とは
公開日:2026年03月27日
更年期を過ぎた女性に増えやすいお口のトラブル
年齢とともに感じるお口の違和感には、女性ホルモンの変化が大きく関係しています。
女性ホルモンには、歯ぐきを感染から守る働きがあります。しかし更年期を迎えると、このホルモンが減少し、歯ぐきが歯垢(歯の汚れ)の影響を受けやすい状態になるのです。
若い頃は多少歯の汚れが残っていても、体の防御機能によってトラブルが起こりにくい状態が保たれていました。ですが更年期以降はそのバランスが崩れ、これまで僅かで目立たなかった炎症が表面化しやすくなります。
そのため、これまでと同じケアをしているつもりでも、
・歯ぐきが腫れやすい
・出血しやすい
・口の中の不快感が増える
といった変化を感じやすくなるのです。
50代を過ぎると歯垢リスクと骨粗しょう症リスクが高まる
50代を過ぎると、歯の健康に関わる2つのリスクが同時に高まりやすくなります。
それが「歯垢による歯周病リスク」と「骨粗しょう症のリスク」です。
女性ホルモンが減少すると、歯垢による歯周病リスクが高まります。
これは、歯ぐきが下がったすき間に歯垢がたまりやすくなり、さらに唾液の分泌が低下して口の中の自浄作用が弱くなるためです。その結果、歯周病が進行しやすくなります。
同時に、体全体の骨密度も低下しやすくなり、骨粗しょう症のリスクが高まる時期でもあります。ここで注目したいのが、歯を支える「歯槽骨(しそうこつ)」の存在です。
歯槽骨は歯の土台となる骨ですが、骨粗しょう症によって密度が低下すると、内部がスカスカの状態になり、歯をしっかり支える力が弱くなってしまいます。
その状態で歯周病が進行すると、歯ぐきだけでなく骨までダメージが及び、
・歯がぐらつく
・歯が抜けやすくなる
といったリスクが一気に高まります。
つまり、骨粗しょう症と歯周病は直接つながっているわけではありませんが、「歯周病になりやすい状態」と「骨が弱くなりやすい状態」が重なることで、歯の喪失リスクが高まるのです。
更年期以降は、これら2つの変化が同時に起こりやすい時期。だからこそ、歯と骨の両方の健康を意識することが、これからの自分の歯を守るために重要になります。
50代を過ぎたら見直したい歯の健康習慣
50代以降は、これまでと同じケアでは歯を守りきれなくなることがあります。
歯垢がたまりやすくなる今だからこそ、毎日の習慣を少し見直すことが大切です。ここでは、今日から取り入れたい歯の健康習慣をご紹介します。
毎日の歯みがきの見直し
歯みがきの「やり方」を見直しましょう。歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは十分に落としきれません。特に歯ぐきが下がってできたすき間には、歯垢が残りやすくなります。
そのため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、歯と歯の間までしっかりケアすることが大切です。
さらに、歯と歯ぐきの境目にある「歯周ポケット」を意識し、歯ぐきに沿わせるようにやさしく磨くことで、歯周病の予防につながります。
定期的な歯科検診
毎日のケアに加えて、定期的な歯科検診も欠かせません。
自分では取りきれない歯石や、初期の歯周病は自覚しにくいため、プロによるチェックが重要になります。
歯科医院では、歯石除去や歯周病の状態チェックを行い、トラブルの早期発見・進行予防につなげることができます。
症状が出る前から通う習慣をつけることが、歯を守るポイントです。
よく噛んで食べる習慣(歯垢を作らないケア)
歯を守るためには、「汚れを落とすケア」だけでなく、「歯垢を作りにくくする習慣」も大切です。その一つが、よく噛んで食べることです。
しっかり噛むことで唾液の分泌が促され、口の中の汚れや細菌を洗い流す働きが高まります。唾液は天然の口腔ケア成分ともいわれ、歯垢の付着を防ぐ役割があります。
さらに、キシリトール配合のガムや、歯垢の生成を抑制するユーカリ抽出物成分配合のガムを取り入れるのも効果的です。手軽に唾液の分泌を促しながら、歯垢を抑える効果が期待できます。
小さな日々の習慣が歯の寿命を左右する
50代以降は、女性ホルモンの変化により歯ぐきの防御力が下がり、さらに骨粗しょう症の影響で歯を支える力も低下しやすい時期です。こうした変化が重なることで、歯周病の進行や歯のぐらつき、抜歯リスクが高まります。
だからこそ大切なのは、毎日の歯みがきや歯間ケアを丁寧に行い、定期的な歯科検診を習慣にすること。そして、よく噛むことで唾液の働きを活かし、歯垢をためにくい環境へと整えましょう。
【記事監修】
大阪大学大学院歯学研究科 特任教授 天野 敦雄先生 1984年大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学での研究員を経て、大阪大学歯学部教授に就任。専門は予防歯科学。歯学研究科長・歯学部長、日本口腔衛生学会理事長を歴任し、現在は大阪大学名誉教授。日本口腔衛生学会専門医。
■取材協力:歯垢リスク事務局




