内臓からくる湿疹とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

内臓からくる湿疹とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年10月08日

内臓からくる湿疹とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
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内臓からくる湿疹でお悩みの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、総合内科専門医の菊池真大先生の監修のもと、内臓からくる湿疹について分かりやすくお伝えいたします。

菊池真大
監修者
菊池真大
監修者 菊池真大 用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック

この記事3行まとめ

✓内臓の不調が原因で起こる湿疹の症状と原因
✓50代・60代女性は肝臓や腎臓の機能低下、更年期の影響に注意
✓原因疾患の治療と並行し、適切な皮膚科治療とセルフケアを

内臓からくる湿疹とは?

takeuchi masato / PIXTA

「皮膚は内臓の鏡」といわれるように、皮膚の状態は体の中の健康状態を映し出すことがあります。内臓からくる湿疹は、特定の臓器の機能低下や疾患が原因となって皮膚に現れる症状の総称です。医学的には、内臓疾患に伴う皮膚症状を「デルマドローム」と呼ぶこともあります。

50代・60代になると、加齢に伴い内臓の機能も少しずつ変化してきます。これまで経験したことのないような頑固な湿疹やかゆみが続く場合、それは単なる肌トラブルではなく、内臓からのサインかもしれません。

よく見られる身体的症状

内臓からくる湿疹の症状は、原因となる疾患によって様々ですが、一般的な湿疹の症状(かゆみ、赤み、ぶつぶつ、じゅくじゅくするなど)に加えて、以下のような特徴的なサインが見られることがあります。

  • 全身の強いかゆみ:特に腎機能が低下している場合、老廃物が体内に蓄積し、夜間に強くなる傾向があります。
  • 手のひらの赤み(手掌紅斑):肝機能の低下により、ホルモンバランスが変化して血管が拡張するために起こると考えられています。
  • クモ状血管腫:顔や首、胸のあたりに、クモの巣のような形の赤い血管が浮き出て見えます。これも肝機能低下のサインの一つです。
  • 黄疸(おうだん):皮膚や白目が黄色っぽくなる状態で、肝臓や胆道の病気によりビリルビンという物質が体内に増えることで起こります。
  • 皮膚の乾燥と色素沈着:腎機能の低下や糖尿病など、多くの内臓疾患で新陳代謝が乱れることで見られます。
  • 治りにくい皮膚感染症:糖尿病で血糖コントロールが悪いと免疫力が低下し、おできや水虫などができやすく、治りにくくなります。

心理的な変化

治りにくい湿疹やかゆみが続くと、見た目へのコンプレックスや、周囲の目が気になるなど、精神的なストレスも大きくなります。「なぜ自分だけが?」という孤立感や、「このまま治らないのでは」という将来への不安を感じる方も少なくありません。

「温泉やプールに行きづらい」「夏場に半袖になるのが億劫」など、生活の楽しみが制限されてしまうこともあります。特に50代・60代は、更年期による心身の変化も相まって、気分の落ち込みやイライラを感じやすくなる時期でもあります。

統計データ(厚生労働省調査より)

厚生労働省の患者調査では、皮膚炎や湿疹で継続的な治療を受けている患者さんの数は非常に多いことが報告されています。

これらのうち、どの程度が内臓疾患に直接関連しているかの正確な統計はありませんが、例えば、慢性腎臓病の患者さんの多くが皮膚のかゆみに悩まされているという報告や、糖尿病患者さんにも何らかの皮膚症状が見られるというデータもあり、内臓の健康と皮膚の状態が密接に関連していることがうかがえます。

内臓からくる湿疹の原因とメカニズム

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主な原因

内臓からくる湿疹の主な原因は、以下の通りです。

1. 肝機能の低下

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、不調があっても自覚症状が出にくいのが特徴です。

  • メカニズム:アルコールの過剰摂取、ウイルス性肝炎、脂肪肝などにより肝臓の解毒作用が低下すると、胆汁の流れが滞り、かゆみを引き起こす物質(胆汁酸など)が血液中に増加します。また、体内のアンモニアなどの有害物質を十分に処理できなくなり、それらが皮膚を刺激します。
  • 代表的な皮膚症状:強いかゆみ、手掌紅斑、クモ状血管腫、黄疸。

2. 腎機能の低下

腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿として排泄する重要な役割を担っています。

  • メカニズム:腎臓病が進行すると、体内の老廃物(尿素など)やカルシウム、リンなどが十分に排泄されずに蓄積します。これらの物質が皮膚にあるかゆみを感じる神経(知覚神経)を直接刺激したり、汗腺の働きを悪くして皮膚を乾燥させたりすることで、強いかゆみ(腎性掻痒症)が生じます。
  • 代表的な皮膚症状:全身の耐えがたいかゆみ、高度な皮膚の乾燥、色素沈着。

3. 糖尿病

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが悪くなる病気です。

  • メカニズム:高血糖の状態が続くと、全身の血管や神経にダメージが及びます。皮膚の血行が悪くなることで栄養が届きにくくなり、乾燥してバリア機能が低下します。また、神経障害によってもかゆみを感じやすくなります。さらに、免疫細胞の働きも低下するため、細菌や真菌(カビ)に対する抵抗力が弱まり、感染症を繰り返しやすくなります。
  • 代表的な皮膚症状:皮膚の乾燥、かゆみ、足の感覚が鈍くなる、水虫、おでき(せつ)、カンジダ症。

4. 自己免疫疾患・膠原病

本来は体を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身の体を攻撃してしまう病気です。

  • メカニズム:全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎などの膠原病では、免疫の異常によって作られた物質が皮膚の血管に炎症を起こしたり、皮膚の細胞を直接攻撃したりすることで、特徴的な発疹が現れます。
  • 代表的な皮膚症状:顔の蝶形紅斑(蝶が羽を広げたような赤い発疹)、まぶたの腫れぼったい赤み(ヘリオトロープ疹)、指先の関節の外側の赤い発疹(ゴットロン徴候)。

女性特有の要因と更年期との関連

50代前後の女性は、閉経に伴い女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少する「更年期」を迎えます。このホルモンバランスの大きな変化は、内臓や皮膚に様々な影響を及ぼします。

  • 皮膚のバリア機能低下:エストロゲンには、皮膚の潤いを保つコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す働きがあります。そのため、エストロゲンが減少すると、皮膚が乾燥しやすくなり、外部からの刺激に敏感になって湿疹が起こりやすくなります。
  • 自律神経の乱れ:ホルモンバランスの乱れは自律神経にも影響し、血管の収縮・拡張のコントロールがうまくいかなくなります。これにより、のぼせやほてり(ホットフラッシュ)だけでなく、皮膚のかゆみを感じやすくなることがあります。
  • 骨粗鬆症や高血圧との関連:更年期以降は、骨密度の低下や血圧の上昇といった問題も起こりやすくなります。これらの全身状態の変化が、間接的に皮膚の健康に影響を与えることも考えられます。

このように、単なる加齢による乾燥だけでなく、更年期によるホルモン変動や、他の生活習慣病が背景に隠れている可能性も考慮する必要があります。

診断方法と受診について

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いつ受診すべきか

以下のような症状が見られる場合は、自己判断で市販薬を使い続けず、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 市販薬を1週間以上使っても改善しない、または悪化する湿疹
  • かゆみが非常に強く、夜も眠れないほどつらい
  • 全身に広がる、あるいは特定の場所に集中して繰り返しできる湿疹
  • 皮膚症状だけでなく、体のだるさ、食欲不振、体重減少、むくみ、発熱などの全身症状を伴う場合
  • 黄疸、手掌紅斑など、内臓疾患が疑われる明らかなサインが見られる場合

診断の流れ

まずはお近くの皮膚科を受診し、内臓疾患が疑われる場合は、適切な専門科を紹介してもらうのが一般的です。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。

  • いつから、どのような症状がありますか?(写真に撮っておくと役立ちます)
  • かゆみの強さや、どのような時にかゆくなりますか?
  • これまでに治療した病気や、現在治療中の病気はありますか?
  • 飲んでいるお薬はありますか?(お薬手帳を持参しましょう)
  • 飲酒や喫煙の習慣はありますか?
  • ご家族に同じような症状の方や、特定の病気の方はいらっしゃいますか?

2. 身体検査

医師が皮膚の状態を詳しく観察します。湿疹の分布(どこに出ているか)、形状、色調などを確認し、内臓疾患に特徴的な所見がないかを丁寧に調べます。必要に応じて、腹部の触診やリンパ節の腫れなどを確認することもあります。

3. 代表的な検査例

  • 血液検査:血液検査で肝機能(AST、 ALT、 γ-GTP)、腎機能(BUN、クレアチニン)、血糖値などを確認します。
  • 尿検査:尿中の糖やタンパクの有無を調べ、腎機能や糖尿病に関連する異常がないかを確認します。
  • 画像検査:腹部超音波(エコー)検査やCT検査で、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などの臓器に形態的な異常がないかを調べます。
  • 皮膚生検:診断が難しい場合、局所麻酔をして皮膚の一部を小さく切り取り、顕微鏡で詳しく調べる検査です。他の皮膚病との鑑別に役立ちます。

受診時の準備

  • 症状のメモ:いつから、どんな症状が、どんな時に悪化するかなどを時系列でメモしておくと、医師に正確に伝えられます。
  • お薬手帳:現在服用中の薬やサプリメントがわかるものを持参しましょう。
  • 聞きたいことリスト:診察の場で緊張してしまい、聞きたいことを忘れてしまうのはよくあることです。「治療期間はどのくらい?」「日常生活で気をつけることは?」など、事前に質問をメモしておくと、聞き忘れを防ぎ、納得のいく診察につながります。
  • 服装:湿疹のある場所を診察しやすい、ゆったりとした服装がおすすめです。

受診すべき診療科

まずは皮膚科を受診するのが第一選択です。皮膚科医が診察し、内臓疾患の可能性を判断した場合は、適切な診療科を紹介してくれます。

もし、どの科にかかればよいか迷う場合や、複数の症状があって不安な場合は、かかりつけ医に相談するのも非常に良い方法です。かかりつけ医は、あなたの体全体のことをよく理解してくれている身近な専門家。総合的な視点から判断し、最適な専門医への橋渡しをしてくれる、頼れる存在です。

内臓からくる湿疹の治療法

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治療方針の決定

内臓からくる湿疹の治療は、原因となっている内臓疾患の治療と、皮膚症状を和らげる対症療法の二本柱で行われます。

医師は、各種検査の結果を総合的に判断し、患者さん一人一人の状態に合わせた治療計画を立てます。治療方針については、医師から十分な説明を受け、納得した上で治療を進めることが大切です。

薬物療法

  • 原因疾患の治療薬:肝臓病、腎臓病、糖尿病など、原因となっている病気に対する治療薬が処方されます。これが最も根本的な治療となります。
  • ステロイド外用薬:湿疹の炎症を抑えるための最も基本的な塗り薬です。強さのランクが様々あり、部位や症状に応じて使い分けます。
  • 保湿剤:乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を高めるために使用します。ヘパリン類似物質や尿素などが含まれたものが処方されます。
  • 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬:かゆみを抑えるための飲み薬です。眠気が出にくいタイプもあります。
  • その他:腎性掻痒症に対しては、かゆみを伝える神経に作用する特殊な飲み薬が使われることもあります。

注意:薬の使用については、自己判断で量を加減したり中断したりしないでください。もし副作用(塗った場所のヒリヒリ感、新たな発疹など)が出た場合も、自己判断でやめずに、速やかに処方した医師や薬剤師に相談することが重要です。

非薬物療法

  • 光線療法(ナローバンドUVB療法など):特定の波長の紫外線を照射することで、皮膚の過剰な免疫反応を抑える治療法です。特に腎性掻痒症などに効果が期待できます。
  • スキンケア指導:正しい皮膚の洗い方や保湿の方法など、日常生活でのスキンケアについて看護師などから具体的な指導を受けます。

注意:これらの治療法も、専門医の診断のもとで行う必要があります。

生活習慣による管理

薬物療法と並行して、生活習慣を見直すことも非常に重要です。

  • 食事:和食中心のバランスの取れた食事を基本とします。具体的には、野菜、きのこ、海藻類から食物繊維やビタミン・ミネラルを、魚や大豆製品から良質なたんぱく質を摂ることを心がけましょう。病状によっては、医師や管理栄養士の指導のもと、減塩、タンパク質制限、カロリー制限などを守ります。
  • 運動:ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。関節に負担がかかりにくい水中ウォーキングなどもおすすめです。適度な運動は血行を促進し、ストレス解消にもつながります。
  • 休養・睡眠:毎日決まった時間に寝起きするなど、生活リズムを整え、質の良い睡眠を確保しましょう。
  • 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は、内臓に負担をかけ、皮膚症状を悪化させるため、控えるべきです。

予防法と日常生活での注意点

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一次予防(発症予防)

内臓の健康を維持することが、内臓からくる湿疹の最も効果的な予防法です。

  • 定期的な健康診断:年に一度は健康診断を受け、肝機能、腎機能、血糖値などをチェックし、異常の早期発見に努めましょう。
  • 腸内環境を整える:腸は最大の免疫器官とも言われます。ヨーグルトや納豆などの発酵食品や、野菜やきのこ類に豊富な食物繊維を積極的に摂り、腸内環境を整えることは、免疫力を高め、皮膚の健康にもつながります。
  • バランスの取れた食生活:暴飲暴食を避け、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を心がけましょう。
  • 適度な運動習慣:無理のない範囲で体を動かす習慣をつけ、血行を促進し、ストレスを発散させましょう。

二次予防(早期発見・早期治療)

もし湿疹が出てしまった場合は、悪化させないためのセルフケアが重要です。

  • 早期受診:治りにくい湿疹やかゆみを感じたら、放置せずに早めに皮膚科を受診しましょう。
  • かきむしらない:かくことで皮膚のバリア機能がさらに壊れ、症状が悪化する「イッチ・スクラッチ・サイクル」という悪循環に陥ります。かゆみが強い時は、冷たいタオルで冷やす、爪を短く切るなどの工夫をしましょう。
  • 衣類:肌に直接触れる下着は、チクチクしない綿やシルクなどの天然素材で、吸湿性の良いものを選びましょう。締め付けの強い服も血行を妨げる可能性があるため避けた方が無難です。
  • 寝具:シーツや枕カバーなど、肌に触れる寝具も、衣類と同様に肌触りの良い素材を選び、こまめに洗濯して清潔を保ちましょう。
  • 入浴:熱いお湯は皮脂を奪い乾燥の原因になるため、38〜40度程度のぬるめのお湯にしましょう。体を洗う際は、洗浄力の強いナイロンタオルなどでゴシゴシこすらず、石鹸をよく泡立て、手で優しくなでるように洗います。
  • 保湿ケア:保湿は治療の基本です。入浴後は、肌が完全に乾ききる前の5分以内に、処方された保湿剤をたっぷりと塗りましょう。乾燥が気になる時は、日中もこまめに塗り直すのが効果的です。
  • ストレス管理:ヨガや瞑想、アロマテラピーなど、自分が心からリラックスできる時間を見つけましょう。友人とおしゃべりしたり、趣味に没頭したりするのも良いでしょう。

家族・周囲のサポート

治りにくい皮膚症状は、ご本人のつらさだけでなく、ご家族も心配になることでしょう。まずは、ご本人が一人で悩みを抱え込まないように、「つらいね」と共感し、話を聞いてあげることが大切です。また、食事療法や生活習慣の改善が必要な場合は、ご家族の協力が大きな支えとなります。

よくある質問(FAQ)

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Q1: がんが原因で湿疹が出ることはありますか?

A: はい、まれに内臓の悪性腫瘍(がん)が原因で、特殊な湿疹や皮膚炎(デルマドローム)が現れることがあります。急に全身に強いかゆみや治りにくい湿疹が出た場合や、体重減少などの全身症状を伴う場合は、念のため医療機関に相談することをおすすめします。

Q2: 肝臓が悪いと、どんな皮膚症状が出やすいですか?

A: 肝機能が低下すると、手のひらが赤くなる「手掌紅斑」、顔や胸にクモのような形の血管が浮き出る「クモ状血管腫」、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」、そして全身の強いかゆみなどが出やすくなります。

これらは肝臓の解毒作用や代謝機能が低下するために起こります。

Q3: ストレスだけで湿疹は出ますか?

A: はい、ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、皮膚の免疫機能を低下させるため、湿疹の直接的な原因や悪化要因になります。

特に50代・60代は、更年期の影響も加わり、心身のストレスが皮膚に現れやすい時期です。十分な休養やリラックスできる時間を持つことが大切です。

Q4: 糖尿病なのですが、皮膚のかゆみが気になります。

A: 糖尿病の方は、高血糖の影響で皮膚が乾燥しやすく、バリア機能が低下するため、かゆみや湿疹が出やすくなります。また、感染症にもかかりやすくなるため、日頃からの血糖コントロールと、保湿を中心としたスキンケアが非常に重要です。

かゆみが続く場合は、主治医や皮膚科医にご相談ください。

Q5: 腎臓が悪いと言われています。かゆみがひどくて眠れません。

A: 腎機能が低下すると、体内に老廃物がたまり、「腎性掻痒症」と呼ばれる非常につらいかゆみが起こることがあります。特に夜間に強くなる傾向があり、睡眠の妨げになることも少なくありません。

腎臓内科の主治医と相談し、適切な治療(飲み薬や塗り薬、光線療法など)を受けることが重要です。

Q6: この湿疹は他の人にうつりますか?

A: 内臓疾患が原因の湿疹や、アトピー性皮膚炎などの一般的な皮膚炎が、他の人にうつる(感染する)ことはありません。

ただし、糖尿病などで免疫力が低下している場合に、細菌や真菌(カビ)による感染症を合併している場合は、その種類によっては感染の可能性があります。気になる場合は医師に確認しましょう。

Q7: 食生活で気をつけることはありますか?

A: バランスの取れた食事が基本ですが、原因となっている内臓疾患によって注意点は異なります。例えば、腎機能が低下している場合は塩分やタンパク質の制限、肝機能が低下している場合はアルコールの禁止など、医師や管理栄養士の指導に従うことが大切です。

Q8: 漢方薬は効果がありますか?

A: 漢方医学では、体質やバランスの乱れを整えることで皮膚症状を改善するという考え方があり、治療の選択肢の一つになり得ます。

ただし、漢方薬にも副作用のリスクはありますし、体質に合わない場合もあります。希望する場合は、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、西洋医学的な治療と並行して行うことが望ましいです。

Q9: かゆみを少しでも和らげる方法はありますか?

A: かゆい部分を冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、一時的にかゆみが和らぎます。また、爪を短く切り、就寝中に無意識にかきむしってしまうのを防ぐために手袋をするのも良いでしょう。

何よりも、処方された薬を正しく使い、保湿を徹底することが基本です。

Q10: この湿疹は一生治らないのでしょうか?

A: 原因となっている内臓疾患の治療をきちんと行い、症状がコントロールされれば、皮膚の症状も一緒に改善していくことがほとんどです。

慢性的な病気の場合は、完全に治すことは難しくても、適切な治療とセルフケアによって、症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることは十分に可能です。希望を持って、根気強く治療を続けていきましょう。

まとめ

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大切なポイント

  • 治りにくい湿疹は、内臓からのサインかもしれません。自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
  • 治療は、原因となっている内臓疾患の治療と、皮膚症状を和らげる治療の両方が必要です。
  • バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理など、日々の生活習慣を見直すことが、症状の改善と予防につながります。
  • 信頼できるかかりつけ医と連携し、根気強く治療を続けることが大切です。

長引く湿疹やかゆみは、本当につらいものです。でも、それはあなたの体が発している大切なサインかもしれません。そのサインに気づけたことは、ご自身の体を深く見つめ直す良い機会です。

どうか一人で抱え込まず、信頼できる医師に相談してください。正しい知識とケアで、健やかな毎日を取り戻すことはきっと可能です。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:菊池真大先生

 

用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長。慶應義塾大学消化器内科出身で、関連病院や米ペンシルバニア大学留学を経て、東海大学・東京医療センターで臨床・研究・教育に従事。25年以上の医師経験を持ち、内科・消化器・肝臓分野を中心に幅広く診療。患者視点を重視し、未病予防や健康管理にも力を入れる。多くの学会に所属し委員も務め、メタボリック症候群やロコモティブ症候群の予防・管理を組み合わせた新しいクリニック診療の構築にも取り組み、2024年秋に東京用賀の地に開業。

 

HALMEK up編集部
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