頭皮ニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

頭皮ニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年09月10日

頭皮ニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
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頭皮のニキビでお悩みの50代以上の女性のみなさんへ。この記事では、皮膚科専門医・山内恵医師の監修のもと、頭皮ニキビについてわかりやすくお伝えいたします。

山内恵
監修者
山内恵
監修者 山内恵 山内皮ふ科スキンケアクリニック

この記事3行まとめ
✔ 頭皮ニキビは過剰な皮脂分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の繁殖により発症し、50代以上の女性はホルモンバランスの変化が影響
✔ 赤い炎症、膿を持つニキビ、痛みやかゆみなどの症状が現れ、髪に隠れて発見が過れることがある
✔ 正しいヘアケア、適度な洗髪頻度、ストレス管理、バランスの良い食事で予防でき、治りにくい場合は皮膚科受診が重要

頭皮ニキビとは?

さしみ / PIXTA

頭皮にできるニキビは、実は顔にできるニキビと同じ「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気です。髪の毛に隠れて見えにくいですが、触れると痛みがあったり、かゆみを伴ったりすることもあります。特に50代以上の女性は、ホルモンバランスの変化や頭皮の乾燥など、特有の原因が隠れていることも。正しい知識を持つことが、健やかな頭皮を保つ第一歩です。

よく見られる身体的症状

  • 赤いブツブツ:炎症を起こして赤く腫れた状態です。
  • 膿を持つ:症状が進むと、黄色い膿を持つことがあります。
  • 痛み:ブラッシングやシャンプーの際に、チクッとした痛みを感じることがあります。
  • かゆみ:ムズムズとしたかゆみを伴うことも少なくありません。
  • フケ:頭皮環境の悪化により、フケが増えることがあります。

心理的な変化

  • ストレス:治りにくいニキビが気になり、ストレスを感じることがあります。
  • 美容への影響:髪型が思うように決まらなかったり、フケやかゆみが気になったりして、外出が億劫になることも。

厚生労働省の患者調査(2023年度)では、ニキビ(尋常性ざ瘡)で医療機関を受診する人は多く、特に思春期に多いとされています。しかし、近年では大人になってから発症・悪化する「大人のニキビ」も増えており、50代以上の女性も例外ではありません。

頭皮ニキビの原因とメカニズム

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頭皮ニキビの主な原因は、以下の3つに分けられます。

1. 生理学的要因

  • ホルモンバランスの乱れ:更年期による女性ホルモンの減少は、皮脂の分泌を増やし、角質を厚くさせ、ニキビができやすい状態を招きます。
  • ターンオーバーの乱れ:加齢により肌の生まれ変わりが遅くなると、古い角質が毛穴を塞ぎやすくなります。
  • 頭皮の乾燥:意外に思われるかもしれませんが、乾燥もニキビの原因です。肌のバリア機能が低下し、刺激を受けやすくなります。

2. 環境的要因

  • 不適切なヘアケア:洗浄力の強いシャンプーや、すすぎ残しは頭皮に大きな負担をかけます。
  • 整髪料:油分の多いワックスやスプレーが毛穴を詰まらせることも。
  • 紫外線:頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びると言われています。紫外線は乾燥や炎症を引き起こします。
  • 蒸れ:不十分なヘアドライ、帽子やウィッグの長時間使用による蒸れは、雑菌の温床になります。

3. 心理社会的要因

  • ストレス:家庭や仕事のストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させる一因です。
  • 食生活の乱れ:脂っこい食事や甘いものの摂りすぎは、皮脂の過剰分泌につながります。
  • 睡眠不足:睡眠中は肌が再生する大切な時間。睡眠不足はターンオーバーの乱れを招きます。

発症メカニズム

  • 毛穴の詰まり:ターンオーバーの乱れや皮脂の過剰分泌で毛穴が詰まります。
  • 皮脂の溜まり:詰まった毛穴の中に皮脂が溜まります(白ニキビ・黒ニキビ)。
  • アクネ菌の増殖:溜まった皮脂を栄養に、アクネ菌が増殖します。
  • 炎症:増殖したアクネ菌が炎症を引き起こし、赤く痛みを伴うニキビになります(赤ニキビ・黄ニキビ)。

リスク要因

  • 脂性肌、または乾燥肌
  • 不規則な生活習慣
  • ストレスが多い
  • 髪を洗わない日がある
  • 整髪料を毎日使う

これらの項目に当てはまる数が多いほど、頭皮ニキビができやすいと言えます。

診断方法と受診について

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いつ受診すべきか

下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 2週間以上症状が改善しない
  • 痛みが強い、または範囲が広がっている
  • 膿を持っている
  • 繰り返し同じ場所にできる
  • フケや抜け毛も気になる

診断の流れ

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。

  • いつから症状があるか
  • 痛みやかゆみの有無
  • 使用しているヘアケア製品
  • 生活習慣(食事、睡眠、ストレスなど)
  • 他の病気や服用中の薬

2. 身体検査

医師が頭皮の状態を直接、またはダーモスコープという拡大鏡で詳しく観察します。

3. 代表的な検査例

通常は視診で診断がつきますが、他の病気が疑われる場合は、真菌検査(カビの検査)や血液検査を行うこともあります。

受診時の準備

  • 症状が出始めた時期や、変化の様子をメモしておく
  • 使用中のシャンプーや整髪料の名前がわかるようにしておく
  • 質問したいことをリストアップしておく

受診すべき診療科

皮膚科を受診してください。かかりつけの内科医に相談し、紹介してもらうのも良いでしょう。

頭皮ニキビの治療法

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医師が症状の程度や原因を判断し、患者一人一人に合った治療法を提案します。塗り薬が基本ですが、症状によっては飲み薬や生活指導を組み合わせます。

薬物療法

  • 塗り薬(外用薬):毛穴の詰まりを改善する薬や、菌の増殖を抑える抗菌薬(抗生物質)が中心です。ローションタイプなど、髪があっても塗りやすいものが処方されます。
  • 飲み薬(内服薬):炎症が強い場合は、抗菌薬や、皮脂の分泌を抑えるビタミン剤、漢方薬などが処方されることがあります。

注意:薬の使用は必ず医師の指示に従ってください。自己判断で中断したり、量を変更したりしないでください。

非薬物療法

  • 面皰圧出(めんぽうあっしゅつ):専用の器具で毛穴に詰まった皮脂や膿を押し出す処置です。

注意:これらの治療も、必ず医療機関で受けてください。自分でニキビを潰すと、跡が残る原因になります。

生活習慣による管理

  • バランスの取れた食事:ビタミンB群やビタミンC、食物繊維を積極的に摂りましょう。
  • 十分な睡眠:質の良い睡眠を心がけ、肌の再生を促しましょう。
  • ストレスケア:適度な運動や趣味の時間を持ち、心身をリラックスさせましょう。

治療期間と予後

治療期間は症状によりますが、一般的に3か月程度で効果が見え始めます。根気強く治療を続けることが大切です。再発を防ぐためにも、生活習慣の改善を継続しましょう。

予防法と日常生活での注意点

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一次予防(発症予防)

  • 正しいシャンプー:1日1回、ぬるま湯で優しく洗い、しっかりすすぎましょう。
  • 頭皮の保湿:乾燥が気になる場合は、頭皮用の保湿ローションを使いましょう。
  • 紫外線対策:帽子や日傘、頭皮用の日焼け止めを活用しましょう。

二次予防(早期発見・早期治療)

  • 頭皮チェックの習慣:シャンプーやブラッシングの際に、頭皮の状態を意識してみましょう。
  • 早めの受診:ニキビができてしまったら、悪化する前に皮膚科を受診しましょう。

日常生活の工夫

  • 寝具を清潔に:枕カバーはこまめに洗濯しましょう。
  • ブラッシング:ブラシで頭皮を傷つけないよう、優しくとかしましょう。
  • 整髪:スタイリング剤が頭皮の刺激になることがあるのでできれば控えましょう。

家族・周囲のサポート

頭皮の悩みはデリケートな問題です。本人が気にしている場合は、そっと見守り、必要であれば受診をすすめるなど、寄り添う姿勢が大切です。

よくある質問(FAQ)

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1: 50代になってから頭皮ニキビが増えたのはなぜ?

A: 更年期によるホルモンバランスの変化や、加齢に伴う肌のターンオーバーの乱れ、頭皮の乾燥が主な原因と考えられます。これらが複合的に影響し、ニキビができやすくなることがあります。

Q2: 頭皮ニキビと脂漏性皮膚炎はどう違うのですか?

A: 頭皮ニキビは毛穴の一つ一つが炎症を起こすのに対し、脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部分が広範囲に赤くなり、フケのようなカサカサを伴うことが多いのが特徴です。正確な診断は皮膚科医に任せましょう。

Q3: シャンプーはどんなものを選べば良いですか?

A: 洗浄力が強すぎるものは避け、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のものがおすすめです。また、殺菌成分や抗炎症成分が配合された薬用シャンプーも効果的な場合があります。ご自身の頭皮に合うものを選びましょう。

Q4: 整髪料は使わない方がよいのでしょうか?

A: 必ずしもやめる必要はありませんが、油分の多いワックスなどは毛穴を詰まらせる原因になり得ます。使用した日は、その日のうちにシャンプーで丁寧に洗い流すことが大切です。

Q5: 食生活で気を付けることはありますか?

A: 脂っこいものや糖分の多い食事、香辛料などの刺激物は控えめにしましょう。皮脂の分泌をコントロールするビタミンB群(豚肉、レバー、納豆など)や、肌の調子を整えるビタミンC(果物、野菜)を意識して摂ると良いでしょう。

Q6: 自分でニキビを潰しても良いですか?

A: 絶対にやめてください。雑菌が入って炎症が悪化したり、ニキビ跡や色素沈着が残ったりする原因になります。気になる場合は、皮膚科で適切な処置を受けてください。

Q7: 治療にはどのくらい時間がかかりますか?

A: 症状や治療法によりますが、一般的に3か月程度で改善が見られることが多いです。しかし、ニキビは再発しやすいため、良くなった後も予防的な治療やセルフケアを続けることが大切です。

Q8: 抜け毛も増えた気がするのですが、関係ありますか?

A: 頭皮ニキビによる炎症が毛根にダメージを与え、一時的に抜け毛が増えることがあります。また、頭皮環境の悪化が抜け毛の原因となることも。気になる場合は、医師に相談してみましょう。

Q9: どんな時に病院へ行けばいいですか?

A: 痛みが強い、膿んでいる、2週間以上治らない、繰り返しできる、といった場合は早めに皮膚科を受診してください。自己判断で市販薬を使い続けると、かえって悪化させてしまうこともあります。

Q10: 漢方薬は効果がありますか?

A: 体質改善を目的として、漢方薬が処方されることがあります。例えば、炎症を抑えるものや、ホルモンバランスを整えるものなど、個人の体質や症状に合わせて選ばれます。興味がある場合は、医師に相談してみてください。

まとめ

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頭皮のニキビは、50代以上の女性にとって、加齢やホルモンバランスの変化と深く関わる身近な悩みです。しかし、正しい知識を持って、適切なケアと治療を行えば、必ず改善に向かいます。

大切なポイント

  • 原因を知る:ホルモンバランス、乾燥、ストレスなど原因はさまざまです。
  • 正しいヘアケア:優しく洗い、しっかりすすぎ、きちんと乾かすことが基本です。
  • 生活習慣を見直す:バランスの取れた食事と質の良い睡眠を心がけましょう。
  • 専門医に相談する:治りにくい場合は、ためらわずに皮膚科を受診しましょう。

お肌の悩みが一つ解消されるだけで、気持ちが晴れやかになるものです。ご自身の体をいたわり、健やかな毎日を送るための一歩として、頭皮ケアを見直してみてはいかがでしょうか。

健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

 かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

監修者プロフィール:山内 恵さん

山内 恵さん

山内皮ふ科スキンケアクリニック副院長。2007年福岡大学医学部卒。2009年~熊本大学皮膚科入局。2023年山内皮ふ科スキンケアクリニック副院長に就任。

HALMEK up編集部
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