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- 老化を加速させる体の酸化!防ぐための習慣と対策
老化が進む大きな要因の一つ「体の酸化」。酸化は、シミ、シワ、たるみなどの見た目の老化につながるだけでなく、あらゆる病気のリスクも高めます。酸化が及ぼす影響や、酸化を防ぐ生活習慣について、アンチエイジングに詳しい医師・満尾正先生に伺います。
教えてくれたのは:満尾正(みつお・ただし)さん
満尾クリニック院長・医学博士。北海道大学医学部卒業。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを開設。日本キレーション協会代表、米国先端医療学会理事、日本抗加齢医学会評議員。「125歳まで元気に生きる(小学館)」「食べる投資(アチーブメント)」など著書多数。
体が酸化すると3倍早く老ける?
人は20歳頃までを成長のピークとして、その後は徐々に老化してきます。とはいえ、年を重ねてもずっと若々しい人がいるように、老化のスピードには個人差があります。
老化速度の違いは、多くは生活習慣とかかわっていて、人によっては約3倍のスピードで老化が進むとも言われます。
そんな、老化を加速させる大きな要因の一つが「体の酸化」です。体の酸化は、体内で活性酸素が増えすぎることで起こります。
アンチエイジングに詳しい満尾先生によると、人は呼吸をしている限り、体の酸化を避けることはできないのだとか。
「人間は呼吸で取り込んだ酸素を利用してエネルギーを作り出しますが、その過程で一部の酸素が酸化力の強い『活性酸』に変化し、増えすぎると体が酸化して(サビて)いきます。鉄やクギがサビていくのと同じ現象が、人の体でも起こっているのです」(満尾先生)
体が酸化すると、全身のあちこちで老化が進んでいきます。
「酸化が起こると、DNA(遺伝子)が壊れたり、酸化によりタンパク質が変性して酵素が働かなくなるなど、分子レベルの損傷が体のあちこちで起こり、細胞の老化が進んでいってしまうのです」(満尾先生)
酸化ストレスは病気のリスクを上げる
細胞の老化によって体の機能が低下すると、あらゆる病気のリスクが高まります。満尾先生は、「ほぼすべての病気に酸化が起因している」と話します。
「例えば、LDLコレステロールが酸化されると動脈硬化のリスクが高くなりますし、がんや神経性疾患(パーキンソン病、認知症など)も酸化が大きな要因の一つです。また、酸化はインスリンの働きを悪くさせるので、糖尿病にもなりやすくなります。体の炎症も酸化によって起こりやすくなるため、リウマチや喘息、関節炎、気管支喘息などの炎症性疾患にもつながります」(満尾先生)
さらに、酸化は皮膚の老化とも密接に関係しているので、肌などの見た目にも影響が出てきます。
「酸化により細胞の修復機能や皮膚を守る力が衰えれば、肌のツヤが失われてくすみが出てきますし、酸化によってうるおいを保つコラーゲンや弾力を保つエラスチンが破壊されればシワやたるみの原因になります」(満尾先生)
健康にも美容にも影響を与える体の酸化。ずっと若々しく元気に過ごしていくために、酸化を予防・改善するケアを取り入れていきましょう。
酸化を防ぐために取り入れたい習慣と対策
満尾先生によると、体の酸化を防ぐカギは生活習慣にあるそうです。ポイントは、活性酸素が増える要因を減らしつつ、活性酸素の除去に役立つ習慣を取り入れること。
満尾先生に、体の酸化を防ぐ7つの対策を教えてもらいました!
■酸化予防習慣1:紫外線対策はしっかりと
紫外線を浴びすぎると、活性酸素が大量に発生します。特に紫外線の強くなるこれからの季節は、出掛けるときに日焼け止めや日傘などを使って、強い紫外線を浴びないようにしましょう。
■酸化予防習慣2:質の良い睡眠を取る
睡眠時間は、体を修復する大切な時間です。また、眠りを誘うメラトニンというホルモンには、活性酸素を除去する働きもあります。
なお、メラトニンは日中に分泌されるセロトニンというホルモンを材料にして作られます。セロトニンの分泌を促すポイントは、毎朝できるだけ決まった時間に起床して、朝日を浴びること。そうすることで、夜になるとメラトニンが分泌され、自然と眠気が訪れやすくなります。質の良い睡眠を心掛け、睡眠時間はおよそ7時間を目標に。
■酸化予防習慣3:体を守る栄養素を取り入れる
食事では、タンパク質や炭水化物などの「体を作る栄養素」に加えて、ビタミンA、C、Eやカロテン、不飽和脂肪酸など、抗酸化作用のある「体を守る栄養素」も意識的に取りましょう。
ビタミンとカロテンが取れるおすすめの食べ物は野菜です。旬の野菜などを取り入れながら、毎食両手一杯分を目標に食べるようにしましょう。一方で、不飽和脂肪酸ではオメガ3脂肪酸やαリノレン酸が大切です。
【酸化から体を守る食べ物】
- ビタミンやカロテンが豊富な食べ物……ほうれん草、ブロッコリー、ニラ、にんじん、かぼちゃなど。
- オメガ3脂肪酸が豊富な食べ物…イワシ、サバ、サンマといった青魚、ナッツ類など。
- αリノレン酸が豊富な食べ物……アマニ油、エゴマ油、チアシードオイル、ナッツ類など。
■酸化予防習慣4:気持ちよく続けられる運動を
体に大きな負荷がかかるような激しい運動はかえって活性酸素を発生させてしまいますが、適度な運動であれば活性酸素を抑制してくれます。「適度」の目安は、運動後に気持ちよさを感じる程度です。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられそうな運動を取り入れてみましょう。
■酸化予防習慣5:ストレスを溜めない工夫をする
過度なストレスは活性酸素を増やす原因になります。ストレスを完全になくすのは難しいですが、入浴や散歩、趣味を楽しむ時間を作るなど、自分なりのリラックス法を見つけてストレスを溜めすぎないようにしましょう。
■酸化予防習慣6:有害な化学物質をなるべく避ける
体に有害とされる化学物質は、活性酸素をたくさん発生させます。車の排気ガスが多い場所ではマスクをつける、化学薬品を含むヘアスプレーを使用するときは換気を心掛けるなど、できる範囲の対策から始めてみましょう。
■酸化予防習慣7:タバコやお酒を控える
タバコには活性酸素の発生を助ける有害物質がたくさん含まれています。また、アルコールが肝臓で分解されるときにも活性酸素が発生しますから、お酒は適量を楽しむようにしましょう。
「人の体には、もともと酸化を抑える抗酸化システムが備わっていますが、この機能は加齢とともに衰えてきます。弱くなっていく抗酸化システムの働きを助けるために、酸化を抑える生活習慣を心掛けてくださいね」(満尾先生)
酸化を防いでいつまでも病気知らずの若々しい体でいるために、活性酸素を増やさない生活習慣と対策を取り入れていきましょう!
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