【医師監修】乾燥肌のかゆみの対処法・予防法と原因

更新日:2023年11月27日 公開日:2018年08月08日

市販薬は使っていい?スキンケアのコツや注意点は?

【医師監修】乾燥肌のかゆみの対処法・予防法と原因

【医師監修】乾燥肌のかゆみの対処法・予防法と原因

皮膚科・美容皮膚科医。渋谷スキンクリニック院長。  吉田貴子プロフィール  日本皮膚科学会会員  日本美容皮膚科学会会員、日本小児皮膚科学会会員、日本臨床皮膚科医会、日本禁煙学会会員
監修者
吉田貴子
監修者 吉田貴子 渋谷スキンクリニック院長

冬になると、気になる全身の乾燥……。ただでさえ女性ホルモンの恩恵を受けにくくなる更年期世代は、肌がゆらぎがち。悪化させないための予防法やスキンケアの注意点・ポイントなどについて医師監修のもと詳しく解説します。日々のケアと予防が大切です!

乾燥やかゆみを引き起こす原因

肌に乾燥やかゆみを引き起こす原因

冬になると余計に気になってくる、乾燥肌。肌内部の水分量が低下して潤いが不足すると、肌が乾燥して、かゆみが起こることも。ここからは、肌に乾燥やかゆみを引き起こす原因を見ていきましょう。

肌のバリア機能の低下

乾燥肌になってかゆみが起こるのは、肌のバリア機能の低下が原因です。

皮膚は「NMF(天然保温因子)」「皮脂膜」「細胞間脂質(セラミドなどの油溶性保湿成分)」がバランスを保つことで肌内部に蓄えられた水分の蒸発を防ぎ、外部刺激から肌を守っています。

しかし、さまざまな原因によってこれらの構造が崩れてしまうと肌のバリア機能が低下。肌が乾燥しやすくなり、ドライスキン(乾燥肌)となってしまうのです。

肌のバリア機能が低下して乾燥が進むとアレルゲンなどの外部刺激をダイレクトに感じるようになるため、これがかゆみにつながります。また、肌のバリア機能の低下によって、かゆみを感じる神経が表皮側に伸びることもかゆみの原因とされています。

エアコンやこたつなど暖房器具の影響

冬になると気温が下がるため、室内はエアコンやこたつ、ヒーター、電気カーペット、電気毛布などの暖房器具が欠かせなくなりますよね。

しかし、これらの暖房器具の使い過ぎは室内の湿度や、肌内部の水分を奪ってしまう原因となることも。特に、こたつや電気カーペット、電気毛布などはかゆみにつながりやすいので、温度設定を高くし過ぎない、長時間入り続けないようにするなどの工夫をしましょう。

長時間入浴している

1日の疲れを癒やせるお風呂の時間ですが、長時間入浴し過ぎると皮脂や角層の保湿成分が奪われてしまい、かえって乾燥しやすくなってしまいます。

また、熱いお湯は皮脂膜を溶かしてしまうため、温度は38~40℃を目安にしましょう。入浴時間は20分以内を目安にするといいですよ。

肌への刺激

肌に汗やメイク、ホコリなどがついていると、これらの汚れによる刺激からかゆみが起こることがあります。しっかりと汚れを落とし、清潔な状態を保つことが大切です。

また、洗顔など肌のお手入れのときは、ゴシゴシこすったり、時間をかけ過ぎたりすることのないようにしましょう。ひどく乾燥しているときは、洗顔料などは使わずにぬるめのお湯ですすぐだけでもOKです。

生活や食生活の乱れ・睡眠不足

成人型のアトピー性皮膚炎も増えているといわれていますが、その背景には現代型の生活の変化が大きく影響しているようです。日本人女性の平均睡眠時間が7時間を割って、世界中で最も少ないことはご存知でしょうか。

生活が乱れて睡眠不足になっていたり、毎日の食事の栄養バランスが崩れていたりすると乾燥や肌荒れを引き起こしやすくなり、かゆみの原因となります。

更年期の影響

加齢も、乾燥肌の大きな原因です。更年期で、肌のかゆみや乾燥の症状が出ることがあります。

閉経の平均年齢はいま51歳くらいです。つまり50代以降は女性ホルモンの恩恵を受けにくくなるわけです。ちょうどそのころから、口のまわりがアレルギーのようにかぶれて、かゆいとか、喉の方までムズムズする、肌が薄くなってものすごく乾燥してきた、かゆみがあってアトピーっぽい気がするなどなど、口々にさまざまな訴えを始める人が増えています。

こういった症状に伴ってこれまで使ってきた化粧品が合わなくなってきた、つけるとかぶれる、かゆいなどの訴えも増えています。

このように睡眠不足やもろもろのストレス、加えて女性ホルモン減少に起因する体の揺らぎが、肌不調も引き起こしているようです。

乾燥肌によるかゆみが出た場合の対処法

乾燥肌によるかゆみが出た場合の対処法

乾燥肌はドライスキンとも呼ばれ、皮膚の水分が失われてカサカサになった状態のことです。乾燥肌になるとほんの些細な刺激でもかゆみを感じるようになってしまうため、ひどくなる前に対処しましょう。

かゆみのある部分を冷やす

既に強いかゆみが出ている場合、かかずにずっと我慢し続けるのは大変です。そんなときは、かゆみのある部分を冷やすことで対処しましょう。

保冷剤などをタオルやハンカチで包み、かゆみのある部分に当てて冷やします。しばらくするとかゆみが治まってくるでしょう。

市販薬のかゆみ止めを使ってもいい?

強いかゆみがあり、我慢できないときは市販薬を使ってもOKです。ただし、市販のかゆみ止めならなんでもいいというわけではありません。かゆみの原因が乾燥肌である場合は、肌の状態に合ったものを選びましょう。

市販のかゆみ止めに配合されている一般的な成分としては、以下があります。

  • 抗ヒスタミン成分:クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンなど
  • ステロイド成分:プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなど
  • 局所麻酔成分:リドカイン、ジブカインなど

薬剤師のいるドラッグストアで相談すれば、複数の種類のかゆみ止めの中から自分に合ったものを見つけやすいでしょう。

深刻な乾燥肌の場合は皮膚科など医療機関に相談を

市販薬を使っても一時的な効果しか実感できない場合や、なかなか症状が改善されない場合、乾燥やかゆみが深刻な場合は、皮膚科など医療機関に相談しましょう。

乾燥肌が進むと「乾皮症」になり、それが進行すると「乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)」となることがあります。

乾皮症になると皮膚が乾燥して柔軟性を失い、皮剥けやひび割れが起こります。乾燥性皮膚炎まで進行すると、強いかゆみが出て、赤み、水ぶくれなどの湿疹が生じることも。

医療機関を受診すると、まずはかゆみを抑えるために、比較的穏やかなタイプのステロイドが処方されることが多いです。症状によりますが、かゆみを抑える内服と、外用薬を併用することが多いようです。また漢方薬が処方されて、体質改善を指示されることもあります。

乾燥肌のかゆみの予防法

乾燥肌のかゆみの予防法

ここからは、乾燥肌やかゆみの予防法についてご紹介します。肌が水分を失って乾燥やかゆみを起こしてしまう前に、しっかりと予防しましょう。

スキンケアを工夫する

かゆみが強い状態になったら、まずはパックや刺激を伴うピーリングなど、肌に負担をかけるスペシャルなケアは控えましょう。

それまで使っていたライン使いも見直して、必要最低限の2種類くらいに絞ってみる。また今まで使ってきたスキンケアアイテムが使えないようなら、一時的に敏感肌コスメに切り替えてみましょう。

ドラッグストアでも人気のミノン、アルージェ、アベンヌ、キュレルなどを1品から試してみるといいでしょう。

セラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分もおすすめです。肌のバリア機能を構成するNMF(天然保温因子)成分の一つである尿素が配合されているものを選ぶと、肌内部に蓄えた水分をしっかり保水してくれる効果が期待できます。

日焼け止めで紫外線対策をする

スキンケアの仕上げには、日焼け止めを塗って紫外線を防ぐことも忘れずに。紫外線は乾燥やシミ、シワなど肌の老化の原因となります。室内に降り注ぐ紫外線の影響を受けないためにも、外出時だけではなく、毎日必ずUVケアは徹底しましょう。

女性は30代後半から皮脂の分泌量が減るため、乾燥が起こりやすくなるといわれています。また、加齢とともに皮膚が薄くなることや、発汗量の減少も乾燥に影響します。しっかりとケアをしてあげることが大切です。

睡眠や栄養を十分に取る

睡眠不足や食生活の乱れを感じている人は、生活習慣や食生活を整えるようにしましょう。疲れやストレスがたまっていると、乾燥やかゆみの悪化につながります。

栄養バランスの良い食事に、皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミンAやビタミンB6を多く含む食べ物をプラスするのがおすすめ。卵やレバー、ニンジン、海藻類はビタミンAが豊富。ビタミンB6は鶏肉、魚介類、にんにく、レバー、鶏肉などに多くに含まれています。

皮膚に刺激の少ない服を着る

ちくちくする素材や、締め付けの強いもの、縫い目が硬いものなどは、皮膚への刺激になることがあります。乾燥してかゆみが出ているときは、なるべく肌に刺激の少ない素材や形の服を選ぶといいでしょう。

乾燥肌やかゆみケアの注意点・ポイント

乾燥肌やかゆみケアの注意点・ポイント

ここからは、乾燥肌のケアの注意点・ポイントをご紹介します。

なるべくかかないようにする

肌が刺激を受けると、ヒスタミン(かゆみを引き起こす物質)が放出され、かゆみが生じます。かゆみのある部分をかくことも肌への刺激となるため、かけばかくほどかゆみが増してしまうのです。

また、かくことで肌が傷つけば細菌が入り込みやすい状態になります。慢性の皮膚疾患や化膿につながってしまう可能性もあるため、かかないことも重要な対処法です。

洗顔後・入浴後は3分以内に保湿を

ケアで押さえておきたいのが、スキンケアのタイミング。洗顔や入浴の後は肌の水分が失われやすい状態になるため、可能な限り3分以内にスキンケア化粧品(基礎化粧品)や保湿クリームなどで顔や全身を保湿しましょう。

寒い時期はクリームなどは固まって硬くなるため、清潔な手のひらに乗せ、人肌に温めてから使用すると伸びや肌なじみがよくなります。

乾燥が気になる部分には、水分を含むケア用品での水分補給だけではなく、油分を含むクリームなどでフタをしてあげるといいでしょう。肌内部の水分の蒸発を防げます。

肌が弱い人はスキンケアの仕上げに、ワセリンを使うのもおすすめです。ワセリンは肌の角質層まで浸透しないため、肌への刺激や負担が抑えられます。

オーガニックコスメには注意が必要

スキンケアにオーガニックコスメをチョイスする人もいますが、オーガニックは効き目が意外と強い場合もあり、かえって不安定になる懸念もあります。スキンケア製品をかえるなら、まずは敏感肌用を選ぶことが第一です。

よくならない場合は皮膚科や更年期外来も

スキンケアを続けてもなかなか肌が安定しないようであれば、皮膚科医に相談してみてください。

更年期特有の揺らぎ肌の場合、更年期外来のあるクリニックを一度受診するのもおすすめです。

肌だけではなく、全身の関連症状と女性ホルモン値なども検査してくれます。皮膚の症状と思っていたことも内臓疾患の随伴症状だったというケースもあるので、注意が必要です。

乾燥肌は原因を知って適切なケアを

乾燥肌になり肌内部の水分が不足すると、肌を守っていたバリア機能が低下し、かゆみを引き起こすことがあります。気持ちいいからとかいてしまうと余計にかゆくなり、悪化につながるため、乾燥肌のケアやかゆみ止め、皮膚科を受診するなど早めに対処しましょう。

乾燥は肌の老化を早めてしまいます。自分の肌質や肌の状態に合ったスキンケアや保湿ケアを行い、潤いある肌を守りましょう。

※この記事は2018年8月の記事を再編集して掲載しています。

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beauty editor
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美容編集者、石山照実が主宰する美容編集者とライターの美容専門の編集プロダクション。美容に特化し、雑誌を中心に活躍する編集者とライターというプロ集団。企画から撮影、記事の構成、さらには動画までを担当。雑誌だけでなく、化粧品メーカーのパンフレットからwebサイトのコラムまで、幅広く活動中。

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