顔の筋トレで鍛え過ぎると逆効果?シワが悪化する?

表情筋は鍛えない方がいいのは嘘?本当?正しい鍛え方

徳永理恵
監修者
逗子メディスタイルクリニック院長
徳永理恵

公開日:2023.10.27

表情筋トレーニングや顔体操、フェイスヨガなどの方法がありますが「表情筋は鍛えない方がいい」と耳にすることも。鍛え過ぎのリスクや、表情筋を使わないでいるとどうなるのかなど、気になる疑問を詳しく解説!正しい表情筋の鍛え方や注意点も!

表情筋は鍛えない方がいい?使わないでいるとどうなる?

表情筋は鍛えない方がいい?使わないでいるとどうなる?

新型コロナウイルス感染症の影響によるマスク生活で、表情筋を使う機会は減少しました。

表情筋は、生き生きした表情を作り出す筋肉です。表情筋を使わないでいると、表情が乏しくなり、暗い印象や無愛想な印象につながってしまいます。

表情筋の中には、意識して動かさなければなかなか使わない筋肉も存在します。これらの筋肉は日常的に使われることが少ないため、知らず知らずのうちに衰えてしまうことに。

表情筋トレーニングなどで鍛える表情筋には、以下のようなものがあります。

  • 前頭筋(ぜんとうきん)……おでこの筋肉。眉を引き上げる、額にシワを寄せるといった働きがある
  • 皺眉筋(しゅうびきん)……眉間にシワをつくるときに使う筋肉
  • 眼輪筋(がんりんきん)……目のまわりを囲む筋肉。目の開閉に使われる
  • 上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)……鼻の横にある筋肉。上唇と鼻翼を引き上げる働きがあり、衰えるとほうれい線につながる
  • 咬筋(こうきん)……上下の歯を噛み合わせるときに使う筋肉
  • 口輪筋(こうりんきん)……口元を円状に囲む筋肉。唇を閉じたりすぼめたりするときに使う
  • 口角下制筋(こうかくかせいきん)……下唇の両端から下へ広がる筋肉。口角を下に引き下げる働きがあり、マリオネットラインに関係している
  • 頤筋(おとがいきん)……唇の下から顎に伸びる筋肉。口を閉じるときに下顎を持ち上げる働きがある

表情筋は「皮筋」と呼ばれ、皮膚とくっついている筋肉です。表情筋が衰えると、くっついている皮膚も一緒にたるみが起きます。

口元の表情筋である口輪筋の力が弱いと、ポカンと口が開いた状態になるポカン口(口唇閉鎖不全症、お口ポカン)や口呼吸の原因になり、虫歯や歯周病、口臭、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める要因になります。

美容だけでなく、健康面から見ても、表情筋を鍛えることにはメリットがあるのです。

なぜ?表情筋を鍛えない方がいいと言われる理由

ではなぜ、表情筋を鍛えない方がいいといわれるのでしょうか?それは、「過度な表情筋トレーニングをすると、シワ・たるみ・肌ダメージにつながることがある」ためです。

表情筋を鍛え過ぎた結果、逆効果にならないためにも、表情筋は鍛え過ぎないことが大切。表情筋トレーニングを行う場合は、適度な回数・頻度を守りましょう。

表情筋を鍛え過ぎるデメリット

表情筋を鍛え過ぎるデメリット

表情筋は正しく鍛えれば、見た目が生き生きする、若々しい表情になるといった若返り効果が期待できます。しかし、鍛え過ぎると逆効果になる可能性も。

ここからは、表情筋を鍛え過ぎるデメリットを見ていきましょう。

シワやほうれい線が深くなる・定着する

ほうれい線は、老け見えにつながる大きな原因の一つです。

ほうれい線や顔のシワが目立つ原因は大きく「加齢に伴うエラスチンやコラーゲンの減少(ハリや弾力の低下)」と「表情筋の衰え」の2つに分けられます。

表情筋の筋トレなどによって正しく適度に表情筋を鍛えられれば、これらの原因によるシワやほうれい線の改善効果が期待できます。

しかし、表情筋のすぐ上にある皮下組織は、過度なトレーニングを行うと皮膚の伸縮によってダメージを受けてしまいます。このダメージが蓄積されると、シワやほうれい線の悪化や定着につながるのです。

おでこ、目尻、眉間、口元などは表情筋の鍛え過ぎによってシワができやすい部分。やり過ぎには注意しましょう。

たるみ・ゆがみが目立つようになる

表情筋の鍛え過ぎは、たるみやゆがみの悪化につながることもあります。

顔のたるみも、ほうれい線やシワと同じく肌のハリ・弾力の減少や表情筋の衰えが原因です。

しかし、顔の表情筋は体の筋肉とは異なり、鍛え過ぎや鍛える場所の偏り、鍛え方が間違っているとたるみやゆがみにつながってしまうことも。

顔の皮膚や筋肉はつながっており、一箇所でたるみが起きると、他の部分も引っ張られてたるみにつながります。過度な表情筋トレーニングは顔の筋肉にダメージを与えることになるため、注意が必要です。

シミ・くすみ・色素沈着など肌トラブルにつながる

顔の筋トレや体操、顔のマッサージの中には、顔を手で押さえたり、肌をこすったりするものもあります。

ちょっとした刺激でも、何度も肌を押す、摩擦するといった動きを繰り返していると、肌の負担になってシミ・くすみ・色素沈着など肌トラブルにつながってしまう原因になるため注意しましょう。

顔の皮膚はデリケートです。表情筋トレーニングを行う際はもちろん、普段のスキンケアや洗顔・クレンジングにも気を付けましょう。

表情筋を適度に正しく鍛えるメリット

表情筋を適度に正しく鍛えるメリット

鍛え過ぎはNGですが、表情筋は正しい方法で適度に鍛えれば、メリットもあります。

表情筋の衰えを防ぐ

表情筋は、体の筋肉と同じで使わないでいると衰えてしまいます。適度な表情筋トレーニングを行い、表情筋を使うことで筋肉の衰えを予防できるでしょう。

表情筋の衰えが原因でたるみやシワ、ほうれい線が起きている場合、正しく鍛えることでハリがアップして、これらの悩みの改善につながる効果も期待できます。

表情筋トレーニングで顔の筋肉を動かすことは、顔の血流の改善につながることもメリットです。滞っていた血流が改善されると、肌の健康に必要な栄養がしっかりと隅々まで行き届くようになります。

表情が生き生きして若々しい印象に

誰かとコミュニケーションを取るとき、自然と表情筋が使われています。しかし、近年はリモートワーク・テレワークの普及など働き方や生活の変化によって、以前に比べて対面でのコミュニケーション機会は減少しました。

無表情でいることが多くなると、表情筋の衰えにつながるだけでなく、豊かな感情表現も損なわれてしまいます。表情筋トレーニングによって表情筋を鍛えたり、ほぐしたりすると、笑顔や驚きなど表情が豊かになるでしょう。

生き生きした表情になると感情が伝わりやすくなり、それだけで若々しくフレッシュな印象になります。

表情筋のおすすめの鍛え方

ここでは、表情筋のおすすめの鍛え方をご紹介します。

表情筋トレーニング・エクササイズ

表情筋を鍛えたい場合、表情筋トレーニングやエクササイズがおすすめです。やり過ぎず、回数を守って適度に行いましょう。

顔たるみ改善「ニコニコ体操」

ニコニコ体操は、頬の筋肉である大頬骨筋と頬筋肉を鍛えられる表情筋トレーニングです。しっかりと姿勢を良くして行いましょう。

  1. 体を起こして骨盤をしっかりと立てて座る。体・顔・頭に1本の軸が通るようにイメージして、骨盤を左右に揺らし、深い呼吸を行い肩の力を抜く
  2. 目をしっかり開き、口角を上げ、頬をぎゅっと持ち上げる
  3. 上の歯を8本見せるように「二―」と笑顔をつくって、そのままキープ
  4. 口まわりの筋肉を使い「コー」と口をすぼめる
  5. 「ニーコーニーコニーニー」と歌に合わせ、「二―」と「コー」の動作を5回繰り返す

目の下のたるみ・クマ改善「ピクトレ」

目の下の筋肉は使っていないと衰えてしまいます。ピクトレは、目元の筋肉を意識して動かすことでケアするトレーニングです。

指先でしっかり目の下の筋肉の動きを確認しながら行いましょう。

  1. 指を軽く下まぶたに当て、目線は少しだけ上を見る
  2. ゆっくりと下まぶたを上下に動かす。このとき、指先で下まぶたがしっかり動いているかどうかを確認しながら行う

あいうえおトレーニング

あいうえおトレーニングは、「あいうえお」と声を出しながら顔全体を動かせるトレーニングです。「あいうえお」の動きに合わせて大きく表情を動かすことを意識して行いましょう。

  1. 口を大きく開いて「あー」と声を出す
  2. 口を横に引き伸ばし「いー」と声を出す
  3. 口をすぼめて、唇を前に突き出し「うー」と声を出す
  4. 口角をしっかり引き上げて笑顔を作り「えー」と声を出す
  5. 口を縦に伸ばし、鼻の下を引き下げ「おー」と声を出す
  6. それぞれ、声を出しながら表情を5秒程度キープする。これを1日3セットを目安に行う

顔の筋肉のストレッチ

ストレッチは、顔の筋肉である表情筋をほぐすことで疲れを取り、リラックスさせる効果が期待できます。表情筋トレーニングと組み合わせて行ってみましょう。

  1. 口を「ウ〜ホ〜」の形にしてほうれい線を伸ばす
  2. 目線は上を見て、鼻の下を伸ばす。引っ張り合うようなイメージで行う。額や眉毛が動かないように目線を上にするのがポイント

美顔器を使って表情筋のケアする

表情筋のケアには、美顔器も活用できます。

美顔器にはさまざまな種類がありますが、表情筋にアプローチしたい場合は、電気刺激によって表情筋を刺激できるEMS美顔器がおすすめです。

ラジオ波を照射して肌を内側から温めるRF美顔器も、たるみやシワのケアに使用できます。

ただし、美顔器も使い過ぎはNG。取扱説明書に書かれた使用頻度・回数・時間を守ることが大切です。

表情筋を鍛えるときのポイント・注意点

表情筋を鍛えるときのポイント・注意点

ここでは、表情筋を鍛えるときのポイントや注意点をご紹介します。

顔全体でバランスよく表情筋トレーニングを行う

特定の部分のみを鍛え過ぎると、一部の筋肉や皮膚のみに負担がかかり、ダメージにつながります。また、偏って鍛えるとバランスが崩れてしまうことに。

表情筋トレーニングを行う際は、気になる部分のみを重点的に鍛えるのではなく、顔の筋肉をバランスよく使うようにしましょう。

表情筋トレーニングは鏡を見ながら行う

人によっては筋肉の動かし方の癖や偏りがありますが、これに気づかないまま鍛え続けると、逆効果になってしまうかもしれません。

表情筋トレーニングを行うときは、正しくできているか、鏡を見て使っている筋肉を確認しながら行いましょう。

長時間・何回もやり過ぎない

顔の筋肉はデリケートなため、長時間のトレーニングや何回も鍛え過ぎるのはNGです。皮膚や筋肉への負荷が大きくなり、逆効果になる可能性があります。

適度な回数を毎日コツコツ継続していくのがおすすめです。

よく噛んで食事をする

よく噛むことは、表情筋を鍛えるのに効果的です。噛むときは舌や口元の筋肉だけでなく、こめかみまわりにある側頭筋も動かすことになります。

30回以上、しっかりと噛むように意識しましょう。よく噛むと満腹中枢が刺激されるため、食べ過ぎ防止にもつながります。

普段から表情豊かに過ごすことを意識する

表情筋トレーニングだけでなく、日々の生活も大切です。表情豊かに過ごすことを意識して過ごすと、生活の中で無理なく自然に表情筋を鍛えられます。

表情筋は鍛え過ぎに注意!適度なトレーニングを

表情筋は使わなければ衰えていきますが、かといって鍛え過ぎはNG。顔の筋肉はデリケートなため、回数や頻度、時間を守った上で適度なトレーニングを行いましょう。

また、普段から表情豊かに意識することも大切です。生き生きとした表情をつくると、それだけで若々しく活発な印象になりますよ。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:逗子メディスタイルクリニック院長 徳永理恵さん

徳永理恵さん

国立東京医科歯科大学医学部を卒業後、同大学形成外科所属。横須賀市立市民病院では美容レーザー外来の立ち上げを行う。都内美容皮膚科勤務を経て、『医療の力でQOLを上げる』をコンセプトに、2010年逗子メディスタイルクリニックを歯科医の夫と開院。3人男子の育児にも奮闘中。所属学会:日本形成外科学会、日本美容皮膚科学会

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