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犬が活躍する漫画を以前ご紹介しましたが(2022年1月「スパイの犬」がんばる!)猫の漫画もたくさんあります。個性的な猫たちと人間の、不思議で面白くて、ちょっと哀しいお話をどうぞ。この猫たち、名前もすごいんです。
漫画家は猫好きが多い?
漫画家は猫好きが多いように思います。
「こんな漫画なら、こっそり読まれても大丈夫」でご紹介した『猫mix幻奇譚(げんきたん)とらじ』(この作品も不思議な猫が主人公なので、こちらで取り上げてもよかったのですが……)の作者 田村由美も猫好きです。
『3月のライオン』の羽海野チカ、『天は赤い河のほとり』の篠原千絵なども、相当な猫好きとお見受けしました。
彼女たちは、作中はもちろん、単行本カバーの折込部分やあとがきなどに、愛猫を登場させています。漫画家の仕事と猫の性質は相性がいいのかもしれません。
みんなの心を癒やす猫、その名も「遠藤平蔵」
「泣く子はいねが(いないか)」と夜廻り(まわり)をする野良猫「遠藤平蔵」。
平蔵は涙の匂いをたどって、人や猫、犬のもとに現れ、ともに泣き、笑い、励ましていきます。
「そこなおひと…泣いておるな」と突然現れるしゃべる猫に、人々は心の中を打ち明けていきます。
わずか8コマの中で、家族愛、孤独、パワハラ、地道に働く人への暖かいまなざしなど、さまざまなエピソードが描かれています。
泣いたり笑ったり、読んだ後は自分の顔が穏やかになっているような気がします。私にとっては、心がささくれだっているときに効く薬です。どこから読んでも楽しめる作品です。
平蔵自身も、縄張り争いに傷ついたり、親のない子猫を育てていて、お腹を空かせたりしている時もあります。
それでも、個性的な猫仲間や、顔なじみの人間たちとともに、今日も生きていくのです。
このおなじみさんたちの、ちょっとずつ進むストーリーもまたいいんですよ!
仕事は、ぶさかわ猫「しゃちょう」の勘がたよりです
現代の日本の地方都市のような街が舞台です。
ここでは、「フロー」という現象が起こります。
「フロー」とは、空間の不動化のことで、すべての物質はごく細かに絶えず不安定に動いているため、ときにバランスを崩して形を変えてしまうのです。突然道が消えたり別の建物が現れたり、何が起こるか予測がつきません。
この「フロー」現象の原因を探って処理する「フロー業者」のヒロタとバイトのちまちゃんが登場人物です。
ちまちゃんは、フロー現象によって35歳なのに突然12歳になってしまった、元お堅い会社員の女性です。
忘れてならないのが「しゃちょう」という猫。
「フロー」の気配を感じ取れるので、会社になくてはならない存在です。原因を突き止めるために、二人は「しゃちょう」の後を追って、右往左往の日々です。
「フロー」には人の気持ちが関わっている場合が多いので、二人はさまざまな事情を抱えた人々と関わることになります。
果たして、見た目12歳のちまちゃんにも解決の日は来るのでしょうか?
絵心をそそるしなやかな体、犬とはまた違った性格で、今日も猫は漫画家の創造力を刺激し続けています。これからも面白い作品が生まれることでしょう。
小学生の頃、化け猫の漫画がはやりましたね。猫目少女とか猫目小僧とか覚えていますか? 化け犬漫画はなかったぞという、犬派のどや顔が見えるような……。
今回の作品
『天は赤い河のほとり』篠原千絵 1955年~2002年 全28巻 小学館
『3月のライオン』羽海野チカ 2007年~ 既刊16巻 白泉社
『夜廻り猫』深谷かほる 2015年~ 既刊8巻 講談社
『猫が西向きゃ』漆原友紀 2018年~2020年 全3巻 講談社
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