50代からの女性のための人生相談・21

人生相談:コロナ禍の孤独「心がついていけません」

公開日:2021/06/07

2

「50代からの女性のための人生相談」は、専門家がハルメク読者のお悩みに答えるQ&A連載です。今回は50歳女性の「コロナ禍の孤独」のお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。

コロナ禍の孤独「心がついていけません」
コロナ禍の孤独「心がついていけません」

50歳女性の「コロナ禍の孤独」のお悩み

リモートワークが基本になった昨今ですが、声を出さない・誰とも話をしない日があり、メンタルが疲れ切っています。

コロナ禍で新しい生き方が始まったのは理解していますが、孤独な生活で心がついていけません。

どのような心持ちで毎日を過ごせばいいのか教えてください。よろしくお願いいたします。

(50歳女性)

名取芳彦さんの回答:話したい・声を出したい都合に対応を

コロナ疲れ対策:話す・声を出す

仏教では、「自分の都合通りなれば私たちは苦と思わない。苦に感じるのは、いつも、自分の都合通りにならない時だ」とします。まったくその通りだと思います。

そこでまず、苦を無くすために「誰かと話したい・声を出したい」という、あなたの都合を叶える方法を考えてみます。「自在な心(観自在)」で苦に対応してみるのです。

オンライン通話で家族や友達と話す

まず思いつくのは、誰かと約束してオンライン通話で話すことでしょう。相手の顔を見て話したほうがいいでしょうから、ビデオ通話がいいですね。

ビデオ通話は、LINE(ライン)やSkype(スカイプ)、Zoom(ズーム)といった無料アプリを使ってできます。手持ちのパソコンやスマホにアプリをインストールして、アカウントを交換すれば準備OKです(Zoomは向こうがURLを送ってくれればアカウントも要りません)。

最近は、画面越しに会話を楽しみながらお酒を飲む、オンライン飲み会なども人気のようですね。

お寺や神社で世間話をする

直接会って話したいなら、相手と2mほど距離が取れる場所が必要です。公園で知り合いと待ち合わせて話すという手もありますが、周囲の目(耳?)もあります。その点、お寺や神社はオススメです。

コロナ禍で、御朱印をもらいに寺社にお参りする人が増えました。御朱印を受けつけている寺社なら、予防シートの設置や参詣者との距離を取るなど、感染予防対対策はほぼ済んでいます。私の場合、お参りに来た方と話すのは数分ですが、比較的安心して大きな声でお話しいただけます。

ペットやロボットに話しかける

部屋(家)の中で、話し相手を作る方法もあります。ペットです。通常勤務になって一匹にしても寂しい思いをしない(と思われる)鳥や魚がいいかもしれません。あなたの声に反応してトークしてくれるロボットも、自粛期間中はいい話し相手になってくれるでしょう。

発声練習や歌を歌って声を出す

声を出したいだけなら、車の中で歌う他、「アエイウエオアオ……」「青は藍より出て藍より青し。赤穂の城と安芸の宮島。明日の朝はあすの朝とも、あしたの朝とも読める……」などと発声練習をして、滑舌も良くなる一石二鳥の方法もあります。

ここまでが、私の観自在の智恵で思いつく、「誰かと話したい・声を出したい」というあなたの都合を叶える方法です。

話すと放すは同源!クリエイティブな作業で「心を放す」

コロナ疲れ対策:クリエイティブな作業で「心を放す」

次に「都合を少なくすれば(無くせば)苦も減る」という、仏教の立場で考えてみます。あなたの場合なら、「誰かと話したい・声を出したい」という都合を減らすのです。

真偽は確かではありませんが、「話す」と「放す」は同源だと聞いたことがあります。「話す」という行為は、心を外に向って「放す」ことだというのです。

だとすれば、実際に声を出さなくても心を外に向かって放せば、弱ったあなたのメンタルも復活するかもしれません。

コロナ禍で「話す」ことができないなら、自分の心を外に「放す(表現できる)」クリエイティブな作業をしてみてはいかがでしょう。あなたが一方的に受け手になる動画を見るよりも、効果的だと思います。

私の場合、コロナで一日葬が増えたので、一冊持っていけばいいように、お経もすべて写し書きした自分専用の「一日葬用の次第」を新しく作りました。いつもやっていることも、やり方によってはクリエイティブな作業になるのです。

友人の中には、音にのせて心を放すために、ウクレレを始めた人もいます。色にのせて心を放す塗り絵にいそしんでいる人もいます。

「話さない」無言行で自分を見つめ直すのもオススメ

乗り越え方は人それぞれ「気にしない人になる」ことも大切!

ユニークなところでは、仏教の「無言行」に挑戦する手もあります。同居している人以外と話をせず、自分の心を見つめ直す時間を持つ修行です。

850年ほど前、覚鑁(かくばん)というお坊さんは1500日近くも無言行をつづけ、心の内を「密厳院発露懺悔文」(みつごんいん・ほつろ・さんげのもん)としてまとめました。

それにならって、この時期に自分の内面ととことん向き合い「これまでの自分の生き方」を書き出してみるのも、半世紀生きてきた人生のまとめになるでしょう。

難しく考えず、その日にあった出来事や想いを書き綴るだけでも、新しい発見があるものです。朝起きて感じたことを1行でいいから文字にして「放す」。それだけで、つまらない孤独な日がクリエイティブな一日に変わるかもしれません。

乗り越え方は人それぞれ「気にしない人になる」ことも大切!

今回のご相談は、多くの人が、この一年で一度は突き当たった壁でしょう。

壁の越え方はさまざまです。よじ登る、トンネルを掘って向こう側へ出る、壁を叩き壊す、ドローンにつかまってフワリと越える、とりあえず左右に歩いて行って通路がないか確認するなど……。人の数だけ乗り越え方はあるのです。

そして「コロナ禍がいつまで続くのか」など、自分の力でどうしようもないことは、気にしないことです。一人で思い悩むより、まずは何でもいいから行動してみる。家にいる時間を使って、自分を高める工夫をすることが大切です。

あなたもすでに50歳。後から続く人たちがあなたの背中を見ています。「こういう時は、こうすればいい」という手本を見せるつもりで、この時期を心穏やかに乗り越えていこうではありませんか。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)

■もっと知りたい■


名取さんも登場!雑誌ハルメク「気にしない新習慣」特集

長引くコロナ禍で生活様式が変わり、気をつけなければならないことが増え、知らず知らずのうちに心と体に疲れをためこんでいませんか? そこで雑誌「ハルメク」2021年7月号では、毎日を心穏やかに過ごせるようになるためにぜひ取り入れたい「気にしない」人になる新習慣を紹介します。

「こうすべき」という思い込みや、漠然とした不安感、人と比べてしまう気持ちは、実はちょっとした工夫で手放すことができるのです。すると、心も暮らしもラクになり、人生が豊かになります。

>>雑誌ハルメク2021年7月号の試し読みはこちら

専門家に相談したい質問を募集中です!

連載「50代からの女性のための人生相談」では、専門家の方に相談したい内容を募集中です。下記応募フォームに、人間関係や老後の生き方、お金や介護、恋愛についてなど、相談したい内容を書いてお送りください。

応募はこちら

ハルメクWEB編集部

雑誌「ハルメク」の公式サイト。50代からも輝く女性の毎日を応援する、暮らしや美容に役立つ記事をお届けします。 無料会員登録をすれば、会員限定記事へのアクセスや豪華プレゼント応募などの特典も!

この記事をマイページに保存

\この記事をみんなに伝えよう/

ページ先頭へ