2021年人生相談スペシャル・6
人生相談:親を介護しても感謝されず、不満
人生相談:親を介護しても感謝されず、不満
公開日:2021年01月27日
60代女性のお悩み「介護しても感謝の言葉を言われない」
「母を老老介護中です。母は『ありがとう』を素直に言えない人で、他人には『よくしてもらっている』と話すらしいのですが、私には何も言ってくれません。少しずつ不満がたまっています」(68歳・東京都)
曽野綾子さん「特別な関係だからと思って、諦めるのが一番」

母親を今さら教育できませんし、諦めちゃうのが一番いいですよ。母が娘に「ありがとう」と言わないのは特別な関係だから。そう思えばいい。
最初から物事のすべてを諦めるのが最高です。諦めれば文句なんて出ないですから。
この方、たぶん自覚がおありになるでしょうけれど、 自分が一番母の面倒を見ていると思っている。それは人間として当然ですし、その自覚が持てたことで十分じゃないですか。
礼なんて言ってもらわなくていいんです。どうしてもと思うならある日、ちょっとあらたまって「お礼くらい言ったらどう?」と言ってもいいですよ。
ひろさちやさん「言葉がない=感謝してない、ではない」

実は、私が怖いのは女房でもなく医者でもなく娘です。
例えば認知症の老人が粗相をしたら、娘が「だめじゃないの」ときつく怒る。愛情があるから逆にずけずけ言うんだね。他人さんはそこまで言えない。家族だという甘えがあるんです。
この母親は、子どもの頃から「ありがとうと言いなさい」と躾(しつけ)をしてきたんでしょう。だからこの方は、「母親に何かしたらありがとうと言ってくれる」と思っている。
でもね、言ってくれないから感謝の気持ちがないと思うのはおかしいんです。たとえ言葉がなくてもいいのではないですか。
樋口恵子さん「介護される側も心得が必要です」

この方は68歳ですから、自分も体力的に「よっこらしょ」と言いたくなるほど大変で、しかもお母様が何も言わないとなると、物足りなくなるでしょうね。
私はこのところ、介護する側だけでなく、介護される側にも心得があると思うのです。少なくともやってもらったことに対しては、「サンキュー」「おおきに」と言えることが「介護され上手」なのでしょうね。
この方は、不満がたまることがあるでしょうけれど、お母様からお礼の言葉はもらえなかったとしても、ご自分が年老いたときには、子どもにありがとうと言える人になっていただきたいです。
★特集「人生相談スペシャル」は全8回(2021/1/22~29・毎日更新)の連載企画です。第7回は「友人との付き合い方」について回答します。
■回答者のプロフィール
曽野綾子さん

その・あやこ 作家。1931(昭和6)年、東京都生まれ。54年、聖心女子大学英文科卒業。93年、恩賜賞、日本芸術院賞を受賞、日本芸術院会員に。95年、日本放送協会放送文化賞受賞。2003年、文化功労者。12年、菊池寛賞受賞。95年から05年まで日本財団会長を務める。『孤独の特権』(ポプラ社刊)など著書多数。
ひろさちやさん

宗教評論家。1936(昭和11)年、大阪府生まれ。東京大学文学部印度哲学科卒業。同大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。気象大学校教授、大正大学客員教授を経て、執筆活動、講演活動を続ける。難解な宗教思想をやさしく平易な言葉で解く。『生き方、ちょっと変えてみよう』(佼成出版社刊)など著書多数。
樋口恵子さん

ひぐち・けいこ 評論家。1932(昭和7)年、東京都生まれ。56年、東京大学文学部美術史学科卒業。評論家。東京家政大学名誉教授。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長。現在も講演、執筆活動を精力的に行っている。『老~い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』(婦人之友社刊)など著書多数。
取材・文=野田有香(ハルメク編集部) 撮影=中西裕人、門間新弥
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年5月号に掲載した記事を再編集しています。
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