2021年人生相談スペシャル・1

【人生相談特集】50歳からの生き方が人生を変える!

公開日:2021/01/22

更新日:2021/08/30

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特集「人生相談スペシャル」は、50代~70代女性の悩みに3人の先輩(作家・曽野綾子さん、宗教評論家・ひろさちやさん、評論家・樋口恵子さん)が回答する、全8回の連載企画。初回は50代からの女性の生き方・悩みへの対処法のアドバイスを紹介します。

【人生相談特集】50歳からの生き方が人生を変える
【人生相談特集】50歳からの生き方が人生を変える

曽野綾子さん「不幸もすべて師匠!善も悪も味わおう」

曽野綾子さん「不幸もすべて師匠!善も悪も味わおう」

悩みとどう向き合うか。私は、不幸も運の悪いことも、実は素晴らしい先生、師匠だと思っているんです。例えば病気や人間関係などで落ち込んだとしても、それは最大の教師。そんないいものを捨てるのはもったいないです。

私は50歳のとき、目の病気をして視力が急激に落ち、一時的にほぼ見えなくなりました。

そのときは落ち込みましたが、自分が肩こりのマッサージを受けていてやり方を覚えて試してみたら、マッサージ師の才能があることがわかったんです。小説が無理だとしても、マッサージ師として生きていこう。そう思えてうれしかったですよ。

人生は計画通りにならないものです

あらゆることがどう自分に意味があるのかを考えるんです。今、人気のNHKの番組、チコちゃんの台詞(せりふ)の「ボーっと生きてんじゃねーよ!」ってあるでしょう。私、ぼーっと生きてきませんでした。それだけは言えます。

私が子どもの頃、父ががんになって会社を辞め、両親はそれまでに貯めたお金でどう生きるか考えていました。ところが、終戦とともに財産税で財産がなくなったようです。

だから、計画を立てることは悪いことではないけれど、人生は予定通りにはならないものだと学びました。

そんな限りある人生、意識があるのが5歳頃からだとしてもし95歳まで生きたら90年、私たちはいろいろなものを見られるはずです。

私は善も愛しているけれど、悪も愛していますから、どちらかだけを見るのは不完全な気がします。人の裏側を見るのも面白くて仕方がないですし。毎日料理を作るのも、畑で菜っ葉を育てるのも、興味があって好きなことだから。

人生後半の生き方のコツは、先のことを考えるより今興味のあること、あらゆることへの強烈な興味を持つことだと思います。

樋口恵子さん「悩みもできないこともあって当然です」

樋口恵子さん「悩みもできないこともあって当然です」

2019年の年末に、冴えない病気で2回入院しました。私は食いしん坊で、しかもケチなので、お誘いのあったパーティーに全部出たら消化不良になり、吐き気がすごくて眠れなかったんです。残念ながら命に別状はなく(笑)、逆流性食道炎のひどいタイプだそうです。

その少し前、2019年9月号の雑誌「ハルメク」で終活片付けのお話をしましたが、ますます切実に「何が起こるかわからない」と心境が変化しています。

そんなわけで、87歳の私はよたよたへろへろしている「よたへろ期」の真っ最中。記憶力や、足腰の衰退を感じるのは最近のことなのですが、比較的自慢だった聴力も衰えてきました。

でも、テレビの音を聞いていて、訓練されたアナウンサーの声ははっきり聞こえると気付いたんです。「よたへろ期」のための策がないわけではない。人生100年時代というならば、高齢者も聞きとれるような発声、音読の教育をしたらいいのではないか、と。

「よたへろ」の状態になって悩んだこと、困ったことがあるからこそ、人生後半の生き方に新しい発想を見いだせることもあるのです。

調理などできないことは支えてもらう

年齢とともに体力、気力が低下し、命を支える調理や掃除ができなくなる高齢者が増えています。私自身も、調理が億劫になり、シルバー人材センターの方に週2回、来ていただいて、昼食作りや、掃除などをしてもらっています。

老いるということは、できないことも、悩みも増えていく。それは諦めるしかない。でも、周囲には80代・90代で活躍する先輩方もいて、励まされています。

今の元気が続くなら、まだ欲深く書きたいこともありますし、サポートをお願いして「よたへろ期」を乗り越えていきたいです。

ひろさちやさん「でたらめ、諦め、いい加減が肝要です」

ひろさちやさん「でたらめ、諦め、いい加減が肝要です」

実は2019年2月に脳梗塞を患い、2か月ほど入院していました。いまだに杖をついて歩いています。

落ち込まなかったかというと嘘になりますが、救急車に乗って「はい脳梗塞です、入院です」で、よかったと思いますね。自覚症状がなかったので、それまで病気でじくじく悩むことがなかったですから。

私はこれまで学生からお年寄りまであらゆる人生相談を受けてきたのですが、答えはすべて決まっているんです。「でたらめ、諦め、いい加減」。人生の生き方はこの三原則に集約されるのです。

苦しみも楽しみも同じ一つのもの

「でたらめ」というのは、どちらの道かで悩んだとき、実はどちらを選んでもいいということ。私は学生に進路の相談を受けたとき、「さいころを振ってごらん」と言います。その偶然で決めたことが、仏様の意思だと。どちらがいいかなんて誰にもわからないんだから。

「諦め」は、物事の本質を「明らかにする」ということ。明らかの「明」の語源は、窓から差し込んでくる月明かりで物を見ること。それが「諦める」という意味でした。

美人の肌も、太陽光線のもとで虫眼鏡で見たら、汚いでしょ? あまり論理的に「明らかにする」と誰かに責任をなすりつけることにもなってしまう。月明かりでほんのり見れば、美人に見えるし、何事も「程よい」のです。

「いい加減」は、仏教でいう「中道」のこと。何かに向かうとき、張りつめ過ぎず、緩み過ぎないのがいいんです。

私たちは「これは苦しみ、これは楽しみ」と、本当は1つのことなのに2つに分けて考えがちです。それこそ仏教用語でいう戯論(けろん:無益な言論)で、物事を複雑にしている要因です。

思うがままにならないことを、思うがままにしようとしなさんな。これが悩みに対する秘訣です。

★特集「人生相談スペシャル」は全8回(1/22~29・毎日更新)の連載企画です。第2回は「定年退職後の老後の過ごし方」について回答します。

■回答者のプロフィール

曽野綾子さん

その・あやこ 作家。1931(昭和6)年、東京都生まれ。54年、聖心女子大学英文科卒業。93年、恩賜賞、日本芸術院賞を受賞、日本芸術院会員に。95年、日本放送協会放送文化賞受賞。2003年、文化功労者。12年、菊池寛賞受賞。95年から05年まで日本財団会長を務める。『孤独の特権』(ポプラ社刊)など著書多数。

ひろさちやさん

宗教評論家。1936(昭和11)年、大阪府生まれ。東京大学文学部印度哲学科卒業。同大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。気象大学校教授、大正大学客員教授を経て、執筆活動、講演活動を続ける。難解な宗教思想をやさしく平易な言葉で解く。『生き方、ちょっと変えてみよう』(佼成出版社刊)など著書多数。

樋口恵子さん

ひぐち・けいこ 評論家。1932(昭和7)年、東京都生まれ。56年、東京大学文学部美術史学科卒業。評論家。東京家政大学名誉教授。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長。現在も講演、執筆活動を精力的に行っている。『老~い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』(婦人之友社刊)など著書多数。

取材・文=野田有香(ハルメク編集部) 撮影=中西裕人、門間新弥

※この記事は雑誌「ハルメク」2020年5月号に掲載した記事を再編集しています。

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