乗馬の大会で小学生の男の子に
負けて悔しい思いも
――長い間、子育てと仕事に時間を使ってきた原田さんにとって「初めて持った趣味であり、唯一の趣味」が乗馬。40代から始めて乗馬歴はすでに17年になります。
心と体を
バラバラにしないことが
何より大事だと思います
3人の子どもたちが巣立ち、2021年に母を見送った原田美枝子さん。60代半ばを迎え「これまで家族や仕事のために使ってきた時間を、もっと自分のために使ってみたい」と語ります。最終回は、原田さんの今の楽しみや大切にしていることを伺います。
――長い間、子育てと仕事に時間を使ってきた原田さんにとって「初めて持った趣味であり、唯一の趣味」が乗馬。40代から始めて乗馬歴はすでに17年になります。
子どもたちの手が少しずつ離れ始めた頃、仕事以外に夢中になれる趣味が欲しくて始めたのが乗馬でした。今は仕事がなければ、週2回ほど練習に通っています。馬に乗っていると、体幹が強くなってバランス力も鍛えられるので、体調を整えるのにすごくいいトレーニングになっていますね。
他にも乗馬の魅力はたくさんあります。まず大きな動物のそばにいると、それだけで心が癒やされます。そして当然ながら、馬と人は言葉が通じないので、お互いのことを思い合い、言葉を使わずにコミュニケーションを取らなければいけません。とても大変なんですが、大変な分、馬と私で気持ちがうまく通じ合ったときは本当にうれしいです。
もちろん相手は生き物だから、その日の体調や気分によって、こちらの指示がまったく通じないときもあって、何十回も落馬を経験しました。それでも馬と一緒に気持ちを合わせていくのが楽しいし、何よりもっと上手になりたくて、ケガのリスクがあってもずっと続けています。
これまで小さな大会にも出場してきました。馬術というのは、男女の区別がなく、年齢もまったく関係ないスポーツです。前に一番下のクラスで大会に出場して、私が4位になったときは、1位から3位までが全員10代で、3位は小学生の男の子でした。入賞できなかったのはくやしかったですけど、年齢も職業も関係なく、10代の子たちと並んでいられる自分が、何だかうれしかったですね。