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- 身近になった相続問題。生命保険でうまく備えよう
今、相続対策のために生命保険に入る人がジワリと増えています。2015年の相続税改正を背景に、「想定外に相続税を納めることになった」という人が増えているからです。そこで今回は、相続対策としての生命保険活用の効果とポイントについて取り上げます。
相続税の申告書を提出する人が増えている理由
相続税と聞くと“お金持ちの人”が払う税金で、一般庶民には関係がないイメージがこれまではありました。それが一変する契機となったのが2015年の相続税の改正です。相続税の申告書を提出しなければならなくなった割合は、2015年を境に約4%から約8%へと倍増し、その上、年々増え続けている状況にあります。
というのは、相続税は「基礎控除額」を超える財産があると申告・納税しなければならない税金ですが、その基礎控除額が2015年から4割少なくなったからです。法定相続人が1人の場合では以前は6000万円だった基礎控除額が、2015年以降は3600万円に、また、2人なら7000万円から4200万円に、そして3人は8000万円から4800万円になりました。つまり、基礎控除額は以前の6割水準に下がったため、基礎控除額を超えて相続税を支払うことになった人が増えているわけです。
国税庁「相続税の申告実績」の直近のデータ(2018年)を見ると、亡くなった人のうち、およそ12人に1人(8.5%)は相続税を納めています。実際に納税をするのは財産を相続した遺族になりますので、人数としてはかなりの人が相続税の納税に関わることになります。
生命保険が相続税対策になる理由とは?
もしも「親や配偶者が亡くなったら相続税がかかるかもしれない」と思ったら、元気なうちに早めに相続財産の圧縮対策について相談しておくのがおすすめです。例えば、生命保険に入ることで、相続財産を圧縮するのも一策です。
生命保険金には相続税の非課税枠があり、死亡保険金のうち、[500万円×法定相続人数]の額を、相続財産の課税対象から外せるという特典があります。
法定相続人が3人いる場合、本人が保険金額2000万円の生命保険に契約していれば、[500万円×3人=1500万円]を課税対象から外すことができ、相続財産を500万円まで圧縮できたことになります。これが、預貯金2000万円の形で残すと、まるまる2000万円の相続財産として計算されてしまうので、もったいない状況に。
もう余命いくばくもないといったタイミングで生命保険を結ぶのは難しいでしょうし、認知症になってからでは契約行為もできなくなります。健康状態が思わしくないといったレベルであれば、銀行で窓口販売されている生命保険であれば、健康状態を問わず契約できるプランが大半です。銀行で預貯金からそのまま保険にお金を移すイメージで、手続き自体も簡単です。
ただし生命保険の非課税枠を使おうと思ったら、受取人については要注意。被保険者(保険をかける対象の人)が契約者となって、その人の法定相続人が受取人になる形で生命保険に入るのがポイントです
生命保険で“納税資金”を確保しよう
さて、身内が亡くなり、最終的に「相続税を納めることになりそうだ」となったとき、納税資金の心配をする人は少なくありません。相続税は“現金”で納付するのが大前提だからです。例えば、子育て世代の人が相続人となるケースでは、もともと、住宅ローンや子どもの教育費などを抱えていて、手元資金は潤沢ではありません。
それに加え、コロナ禍で給料やボーナスが減額になるなど生活がとても不安定になっています。そんな最中に親が亡くなったというケースでは、親の治療費・入院費などの他、葬儀の費用などを立て替えているケースも多く見掛けます。その上、相続税がかかることはそもそも想定外で、納税資金を現金で支払うことも想定外というわけです。
「故人が遺した財産で支払えば良いのでは」と思っても、よく考えてみれば、故人の預貯金を引き出せるのは、原則として遺族が遺産分割協議を行って相続分が確定してからです。株式などを現金化したり、不動産を処分できるようになるのも、すべて相続分が確定してからのこと。となると、遺産の分け方でもめたり、遺産のほとんどが不動産などで預貯金が少ないといったケースでは、相続開始から10か月以内という納税期限内に現金を用意するのは、ことのほか難しくなります。
そうした事例は珍しくなく、国税庁「相続税の申告実績」によると、土地35.1%、家屋5.3%、有価証券16.0%、現金・預貯金等32.3%、その他11.3%という状況で(平成30年分)、これまで通り、不動産や有価証券が50%超を占めています。
しかし、納税資金に困る状況になったときも、もしも故人が生命保険に入ってくれていたら状況は一変します。生命保険の死亡保険金は、必要書類をそろえ請求手続きをすれば、おおむね5日以内に振り込まれます。納税資金に充てられるだけでなく、葬儀費用や当座の生活資金としても使うことができ、金策を巡らすことなく故人を悼むことに集中できます。
逆に言えば、自分自身の相続について今できることを考えてみると、相続税がかかる可能性が少しでもありそうであれば、生命保険への加入がおすすめです。被保険者(保険をかける対象になる人)を自分にして保険に加入し、死亡保険金の受取人を法定相続人の人にしておけば、納税資金確保に東奔西走する事態を未然に防ぐことができます。
今は大都市圏に住んでいるだけで、思った以上に地価がアップし相続財産が高額になってしまった人が目立って多いため、ご自覚がある方は相続財産を圧縮し納税資金を確保する一策として生命保険も視野に入れてみてください。
生命保険で“争族”を避けよう
さて、ご自身がもしも亡くなったときに、家族の誰にその財産を分けようか考えてみると、バランスよく分けるのが意外に難しいことに気が付きますね。特に相続財産のほとんどが自宅と土地で、金融資産があまりないといったケースでは、遺族同士が争う「争族(そうぞく)」になるケースが多いです。
例えば、主要な遺産が時価3000万円の自宅だった場合、3人の兄弟姉妹で分けるのは難しいです。家を売って処分するのが一見シンプルでわかりやすいのですが、10か月以内に遺産分割協議書の作成と相続税の申告・支払いをするために売り急ぐと足元を見られて安く買いたたかれることもありがち。その上、譲渡所得税も取られるため、損をしたという人は少なくありません。
また、よくあるのは、兄弟姉妹のうちの1人が住みたいという希望があるケースです。自宅を売ることには反対なので、足並みがそろいません。けれども、例えば、その住みたいという人が自宅を相続し、その人から1000万円ずつを他の2人の兄弟姉妹にあげれば、1人1000万円ずつもらう形になってうまくまとまりそうです。この方法を代償分割といいます。
ただし、代償分割の問題は、2000万円もの現金を用意できるかどうかです。そんなときに多く利用されているのが生命保険で、死亡保険金は現金なので、代償分割のための資金として有効です。興味がある人は生命保険会社に相談し、いくらの保険金でどのような契約形態で入るのがいいか相談してみるといいでしょう。
相続税額を計算して適切な保険金額で契約し、遺産分割協議書に代償分割を使う旨を記載するなどの注意点がありますので、懇意の税理士がいれば相談してみると保険会社を紹介してくれます。
以上、生命保険による相続財産の圧縮対策、納税資金対策、争族対策の主なポイントを見てきました。親の相続と自分自身の相続とで、利用できる対策は異なりますが、ご家庭にあったものを視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
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