50代から考えておきたい親名義の「実家問題」

2024年06月21日

将来やってくる実家の相続…思わぬ落とし穴とは?

50代から考えておきたい親名義の「実家問題」

実家から離れて暮らす人が増える中、考えておきたいのが将来の実家問題です。親にもしものことがあったとき、実家を空き家のままにしておくのはリスクがいっぱい。住む、売る、貸すといったさまざまな選択肢の中から、より良い答えを見つけていきましょう。

実家の相続もパターンはいろいろ

親にもしものことがあったとき、直面するのが「実家をどうするのか」という問題です。

相続した実家の処分や活用についてはいろいろなパターンがあります。まずはその選択肢と、それぞれの注意点を確認しておきましょう。

■実家に住む
そのまま住むことができれば、慣れ親しんだ実家を手放さずにすみます。とはいえ、実家と離れた場所で生活していたり、マイホームを持っている場合は選択肢になりにくいでしょう。

■実家を売る
実家を売却すればまとまったお金が手に入りますし、固定資産税の支払いもなくなります。

ただし、立地や建物の状態など、不動産の状況によっては買い手がなかなか見つからない可能性も…。時間がかかる前提で考える必要があります。

■賃貸アパートや駐車場として活用する
実家を賃貸に出したり、建物を解体して駐車場などとして貸し出せば、収入を得られるようになります。

注意点は、どちらも一定の投資が必要になることです。賃貸に出すにはニーズに合わせたリフォームが必要になりますし、固定資産税や火災保険料なども発生します。

駐車場として活用するにも、まずは家の解体費用が必要に。収入と支出のバランスの見極めが大切になります。

■自治体に寄贈する
いらない土地は、一定の条件を満たせば自治体で引き取ってくれる可能性があります。ただ、この条件はなかなかハードルが高く、公共の場として活用できたり、新たに有効活用できると判断されないと引き取ってもらえません。

このように、実家の相続のパターンはいろいろあるものの、それぞれに時間やお金がかかるなどの課題があります。そのため、「いずれ考えよう」と実家を空き家のまま放置してしまうケースも少なくないのです。

実家を相続する際の落とし穴

実家の相続では、他にも覚えておきたい落とし穴があります。

まずは、相続にかかる費用や税金といったお金の問題。実家を相続すれば相続税を支払わなければなりませんし、誰も住んでいなくても固定資産税は払い続けることになります。

建物を解体して土地を売却するにしても、多額の解体費用が必要になります。

また、実家に思い入れがあって手放せず、空き家のまま放置してしまうと、自治体から「管理が不十分」とみなされて特定空き家に指定されてしまう可能性もあります。

特定空き家とは、倒壊のおそれがあったり、雑草やゴミが放置されて近隣住民の日常生活に支障を及ぼしているなど、放置することが不適切な状態にある空き家のこと。

特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地の特例措置が受けられなくなり、場合によっては固定資産税の額が6倍になることもあります。

他にも、遺言書がない、兄弟など相続人が多いといったことから、相続の手続きそのものがスムーズに運ばないケースも。

こうして見てくると、実家問題には住む、売る、貸すといった選択肢がある一方で、それぞれに注意点や落とし穴があることがわかります。では、具体的にどのような対策をしていけばよいのでしょうか?

実家問題で困らないための対処法は?

実家問題で困らないためには、早め早めに行動することが重要です。まずは実家の建物や土地をどう活用するか、処分するのかなどイメージを持っておきましょう。

そのうえで、親が元気なうちに将来実家をどうするのか話し合っておくことが大切です。兄弟など他にも相続人がいる場合は、誰か1人が実家を引き継ぐのか、それとも共有名義にするのかなど含め、家族で話し合う機会を作りましょう。

また、より良い選択をするためには、実家の不動産価値を把握しておくのもポイント。不動産の価値は相場や立地、家の状態などで変わりますから、一度不動産会社に査定を依頼してみると安心です。

相続した空き家の売却や解体では、税制の特例や補助金など公的制度も利用できます。もしものときにスムーズに動けるよう、早めに家族で方針を決めておきましょう。

実家を売却してもそのまま住み続けられるリースバック

将来的な実家の相続を見越して早めにできる対策の一つに「リースバック」もあります。

リースバックとは、実家を売却してお金を受け取った後に、その家に賃貸として住み続けられるサービスです。

親が元気なうちに不動産を売却して現金化することで、分割相続もしやすくなります。

売却後も、親は住み慣れた家で暮らし続けられますし、もしものことがあったときも、実家の名義はリースバック会社になっているため、不動産の相続や活用で頭を悩ませることがなくなります。

不動産を手放すにあたっての面倒な手続きや、不動産にまつわる相続トラブルが減るのは大きなメリットの一つ。実家問題に関係するあらゆる選択肢の中から、家族みんなが納得できる解決法を見つけていきたいですね。

取材協力:株式会社セゾンファンデックス 


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