【全4回】自分や夫の介護費用にどう備える?#3

介護費用の目安は1人600万円、どう準備すべき?

介護費用の目安は1人600万円、どう準備すべき?

公開日:2023年10月20日

介護費用の目安は1人600万円、どう準備すべき?

平均的な介護費用は1人につき約600万円、夫婦2人なら約1200万円です。「そんなに必要なの?」と思ったかもしれませんが、全額準備しなくても大丈夫。我が家ならいくら準備すればよいのか、資金プランの立て方の手順をご紹介していきましょう。

教えてくれた人は浅田里花(あさだ・りか)さん

教えてくれた人は浅田里花(あさだ・りか)さん

ファイナンシャルプランナー(FP)。大手証券会社、独立系FP会社を経て1993年に独立。日本のFPの草分け的存在。生活設計塾クルーのメンバーとして資産設計、保障設計、リタイア後の生活設計等のコンサルティングを行う他、新聞、雑誌、ウェブ等への原稿執筆やセミナー講師として活躍。東洋大学社会学部非常勤講師も務める。

STEP1:介護費用の目安をチェック(1人分) 

STEP1:介護費用の目安をチェック(1人分)

これまでの第1回第2回では、介護費用を考える前にまず知っておきたいことについてお話ししてきました。今回からは2回にわたり、実際に介護費用はいくらぐらいかかり、いくら準備すればよいのかといった資金プランの立て方、それから資金準備に利用する商品について話を進めていきましょう。

では、介護費用の資金プランから。介護費用の資金プランは4つのSTEP(ステップ)に分けられます。順に見ていきましょう。

まずSTEP1の「介護費用の目安をチェック」

実際にかかる費用はケースバイケースですが、平均的な額が一つの目安になります。介護費用は大きく「一時的な費用」と「毎月の費用」の2種類に分かれます。

「一時的な費用」とは、住まいをバリアフリー化するなどリフォームの費用や、介護用ベッドなど介護用品の購入費のこと。「毎月の費用」とは公的介護保険サービスの自己負担分など日常的にかかる費用のことです。

平均額は「一時的な費用」が74万円。「毎月の費用」は1か月当たりの金額に要介護の期間を掛けると「毎月の費用の総額」が計算できます。1か月の平均額は8万3000円なので、これに平均的な要介護期間の61.1か月(約5年)を掛けると総額は507万円となります。一時的な費用と合算すると581万円、つまり約600万円が平均的な介護費用だと考えられます。

ただし、ここから次に説明する「差し引けるお金」もあるので、まるまる600万円準備する必要はありません。

STEP1:介護費用の目安をチェック(1人分) 

STEP2:介護生活で、かからなくなる費用は?

差し引けるお金はSTEP2の「介護生活により、かからなくなる費用」です。費目の例を挙げると上図の通りです。

介護生活になるとアクティブな趣味などにかかる費用はある程度不要になるので、それを見積もります。衣食住に関わる基本生活費以外の費用とは、交際費やフィットネスクラブの会費など。

旅行・レジャーの費用については「80歳以降に介護生活になったら100万円くらい使い残すかもしれない」と考えるなら、100万円をかからなくなる費用として計上するといった具合です。市区町村の介護関連の助成金制度についても一度調べてみることをおすすめします。

STEP2:介護生活で、かからなくなる費用は?

STEP3「貯蓄でカバーできる金額」は、老後資金のうち特に使途が決まっていないお金の中で、介護費用に充てられそうな金額を見積もります。

STEP3:貯蓄でカバーできる金額を見積もる

こうしてSTEP1で計算した「平均的な介護費用600万円」から、STEP2「介護生活によりかからなくなる費用」とSETP3「貯蓄でカバーできる金額」で見積もった金額を差し引いたのが、介護費用として準備する金額となります。

準備する金額は?

平均的な介護費用600万円−介護生活によりかからなくなる費用−貯蓄でカバーできる金額=介護費用として準備する金額

厳密さにこだわらず、まずはざっくり計算してみましょう。大体100万〜300万円程度になるケースが多いと思います。準備には民間の手頃な介護保険を利用するのが一つの方法です。

その話の前に平均600万円の介護費用について、少し説明を加えましょう。

前述の通り要介護期間は平均で約5年ですが、実は4年未満が5割近くを占めています。例えば要介護期間が3年だと「毎月の費用の総額」は約300万になり(月平均8万3000円×3年[36か月]=298万8000円)、平均の507万円と比べると200万円以上も少なくなります。

このように介護費用の見積もりは前提となる数値により幅が生じるので、「1人につき600万円かかる」と思い詰めないことも大切です。平均額を超える費用がかかる可能性もありますが、過剰に心配したり、今の生活を犠牲にしたりすることなく、できる範囲で「小さな安心」の確保を目指しましょう。

次回は、小さな安心を確保するための民間の介護保険の選び方をお話しします。

※この記事は、雑誌「ハルメク」2022年6月号を再編集しています。

■もっと知りたい■

STEP4:準備する金額は?

萬真知子
萬真知子

早稲田大学第一文学部卒業後、1987年日経ホーム出版社(現、日経BP社)に入社。月刊誌「日経マネー」に配属され編集記者に。1990年に退社後、フリーのマネーライターとなり、雑誌、ウェブを中心にマネー情報記事を執筆。金融機関等の顧客向けウェブサイトにも執筆。「ハルメク」の「知っ得!マネー学」を連載中