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- 樹木医・塚本こなみさんに聞く アジサイの正しい剪定
アジサイがきれいな季節になりました。街を歩くと時々、花をつけていない木を目にします。アジサイが咲かない理由や、きれいに咲かせるための正しい剪定方法について、日本で最初の女性樹木医・塚本こなみさんが初心者にもわかりやすく解説します。
樹木医・塚本こなみさんとは?
塚本こなみさんは、1949(昭和24)年生まれ。造園業を営む夫の影響で庭づくりの道に入り、日本の女性樹木医第一号として、資格取得当時話題となりました。
2014年に日本で唯一、アメリカCNNが選出した「世界の夢の旅行先10カ所」に選ばれた「あしかがフラワーパーク」の大藤の移植を成功させたことでも広く知られています。現在は塚本さんの地元・静岡県浜松市にある「はままつフラワーパーク」の理事長を務めています。木や花の育て方を子育てや人間の生活リズムに例えるなど、塚本さんの解説は「初心者にもわかりやすい」と人気です。
そんな塚本さんに、アジサイをきれいに咲かせるための剪定のコツを教えてもらいました。
剪定は何のためにする?
造園の仕事の依頼を受けて、私は時々台湾に足を運んでいます。暖かな台湾は、ブーゲンビレアやハイビスカスといった南国の花が街中で咲いているのですが、家庭でガーデニングを楽しむような園芸文化は、日本ほど発達していません。植栽の知識をもった人材も不足しているため、どうやら私に声が掛かったようです。
あるとき、こんなことがありました。街路に植えられたアジサイの株が、地際(じぎわ)でバッサリと剪定されていたのです。葉を落とした枯れ枝に見えても、木の中では順調に花芽をつける準備をしていたであろうに。おそらく剪定という作業を「伸びた枝を切ること」だと思っているのでしょう。
「植物の体の中で起きていることを想像しましょう」。これは私が繰り返しお話ししている園芸の基本です。植物の“体内リズム”さえわかっていれば、誰もがきっと園芸上手になれます。
アジサイをきれいに咲かせるためには、年3回の剪定を
5月から7月に開花し、その後9月頃から翌年の花芽を作り始めるのが、アジサイの体内リズム。きれいに咲かせるには、年3回の剪定をおすすめします。
1回目は花が変色し始めたらすぐ、花を切り落とします。2回目は秋の落葉期、1回目の剪定後に伸びた若い枝葉や枯れ枝を切り詰め、ひとつの花芽に栄養が行き届くようになります。3回目は3月頃。葉が落ちて樹形が見えやすくなっているので、よい芽を確認して残したり、ひびが入って木質化した枝を切ったりして仕上げます。
剪定いらずのアジサイはどれ?
剪定もすべてのアジサイに必要なわけではありません。剪定が必要なのは、樹勢の強い西洋アジサイ。ヤマアジサイやガクアジサイは枝も細く、基本的に自然な姿のままで咲かせた方が美しいです。
ちなみに、アジサイは土の酸度で色が変わると言われていますが、アルカリ性が強いと赤っぽく、酸性が強いと青っぽくなるだけで、がらりと変色することはありません。
土の酸度を極端にすると、株が弱ってしまいます。一部では色変えを試みる人もいるようですが、どうぞありのままの色を愛でてあげてください。
構成=小林美香(ハルメク編集部)撮影=品田裕美
※この記事は、2016年6月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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