樹木医・塚本こなみさんに聞く「アジサイの正しい剪定方法」

2019年06月03日

花が咲かないのはなぜ?

樹木医・塚本こなみさんに聞く アジサイの正しい剪定

アジサイがきれいな季節になりました。街を歩くと時々、花をつけていない木を目にします。アジサイが咲かない理由や、きれいに咲かせるための正しい剪定方法について、日本で最初の女性樹木医・塚本こなみさんが初心者にもわかりやすく解説します。

樹木医・塚本こなみさんとは?

塚本こなみさんは、1949(昭和24)年生まれ。造園業を営む夫の影響で庭づくりの道に入り、日本の女性樹木医第一号として、資格取得当時話題となりました。

2014年に日本で唯一、アメリカCNNが選出した「世界の夢の旅行先10カ所」に選ばれた「あしかがフラワーパーク」の大藤の移植を成功させたことでも広く知られています。現在は塚本さんの地元・静岡県浜松市にある「はままつフラワーパーク」の理事長を務めています。木や花の育て方を子育てや人間の生活リズムに例えるなど、塚本さんの解説は「初心者にもわかりやすい」と人気です。

塚本こなみさん
塚本こなみさん

そんな塚本さんに、アジサイをきれいに咲かせるための剪定のコツを教えてもらいました。

剪定は何のためにする?

造園の仕事の依頼を受けて、私は時々台湾に足を運んでいます。暖かな台湾は、ブーゲンビレアやハイビスカスといった南国の花が街中で咲いているのですが、家庭でガーデニングを楽しむような園芸文化は、日本ほど発達していません。植栽の知識をもった人材も不足しているため、どうやら私に声が掛かったようです。

あるとき、こんなことがありました。街路に植えられたアジサイの株が、地際(じぎわ)でバッサリと剪定されていたのです。葉を落とした枯れ枝に見えても、木の中では順調に花芽をつける準備をしていたであろうに。おそらく剪定という作業を「伸びた枝を切ること」だと思っているのでしょう。

「植物の体の中で起きていることを想像しましょう」。これは私が繰り返しお話ししている園芸の基本です。植物の“体内リズム”さえわかっていれば、誰もがきっと園芸上手になれます。

ブルーが鮮やかなエンドレスサマーなど色とりどりの西洋アジサイ
ブルーが鮮やかな「​​​​エンドレスサマー」など色とりどりの西洋アジサイ

アジサイをきれいに咲かせるためには、年3回の剪定を

5月から7月に開花し、その後9月頃から翌年の花芽を作り始めるのが、アジサイの体内リズム。きれいに咲かせるには、年3回の剪定をおすすめします。

1回目は花が変色し始めたらすぐ、花を切り落とします。2回目は秋の落葉期、1回目の剪定後に伸びた若い枝葉や枯れ枝を切り詰め、ひとつの花芽に栄養が行き届くようになります。3回目は3月頃。葉が落ちて樹形が見えやすくなっているので、よい芽を確認して残したり、ひびが入って木質化した枝を切ったりして仕上げます。

アジサイの剪定
3月下旬のはままつフラワーパークのアジサイ。
弱い枝や木質化した枝が剪定され、枝の先で花芽が充実しています

剪定いらずのアジサイはどれ?

剪定もすべてのアジサイに必要なわけではありません。剪定が必要なのは、樹勢の強い西洋アジサイ。ヤマアジサイやガクアジサイは枝も細く、基本的に自然な姿のままで咲かせた方が美しいです。

赤いアジサイ
楚々とした佇まいが美しい、山アジサイの紅(くれない)

ちなみに、アジサイは土の酸度で色が変わると言われていますが、アルカリ性が強いと赤っぽく、酸性が強いと青っぽくなるだけで、がらりと変色することはありません。

土の酸度を極端にすると、株が弱ってしまいます。一部では色変えを試みる人もいるようですが、どうぞありのままの色を愛でてあげてください。

構成=小林美香(ハルメク編集部)撮影=品田裕美
※この記事は、2016年6月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。

■関連記事
樹木医・塚本こなみさんが教える花木の剪定時期とコツ
 


※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。

■こちらの記事もおすすめ
初夏におすすめ!花を楽しむお出かけ

雑誌「ハルメク」
雑誌「ハルメク」

女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら

みんなの コメント

子どもに残すべきはお金?不動産?どちらがお得?

子に遺すべき資産は?

「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは

2024.12.12
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

資産運用の悩み解決!

「よくわからない」「挫折した」そんな人も安心!「対面証券」なら、口座開設から商品選びまで相談しながらカンタンに資産運用できる♪

2024.12.17
【PR】「渋滞の文字で……」トイレ事情あるある

突然の我慢できない尿意

実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って?

2024.12.10
【PR】個人情報の上手な管理・整理術とは

個人情報管理できてる?

銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が…

2024.12.09
【PR】三井住友銀行アプリにシンプルモードが登場

お金の管理が簡単に!

三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です!

2024.11.29
認知症セルフチェック

認知症セルフチェック

「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません…

2024.11.22
デジタル資産の遺し方

生前親に●●聞き忘れると

老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは…

2024.10.11
【PR】50代からの願いを叶える新しい資金調達術

50代~お金の増やし方

将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか?

2024.11.20
【PR】たった60日で英語が話せる!3つのコツ

60日で英語が話せる!

英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは?

2024.08.29
認知症のリスクを確認してみませんか?

今なら無料でお試し!

将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます!

2024.08.08
【PR】頼れる家族がいない……入院・入居どうする?

おひとり様の備えはOK?

この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生!

2024.07.22
【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話