荻野アンナさんの終活「看取られ上手になるのが目標」
2023.08.192023年02月11日
亡くなってから見つかった1枚の紙
父が残したA4サイズの遺言書
父は、自分が亡くなったあとのことなど、何も考えていない、と思っていました。亡くなった後に、見つかった1枚の紙を読んで、エンディングノートを渡さなかったこと、生きている間に家のことをいろいろ話し合わなかったことを後悔しています。
見つかった、1枚の紙
お葬式が終わった翌日、父がいつも何か書き留めていた黒いノートから、1枚の紙が見つかりました。
それは、A4サイズの紙でした。
自分が亡くなったら、お葬式は市営の葬祭センターでして欲しいこと。お葬式に呼んで欲しい人、人数、お坊さんはどこのお寺に頼むかなど、パソコンで箇条書きに書いてありました。
また、亡くなったあとの保険の手続きや連絡先なども、書いてありました。
父は心配していた?
この紙を書いた日付は、平成31(2019)年3月。
父の認知症の症状が出始めたころです。
認知症になるまで、家のことは全て父がしていました。
母も、父の生命保険の加入先や預金通帳など、把握はしていましたが、手続きはすべて父がしており、何より母は人と応対したり、電話が苦手。書いておかないと、いざという時母が困ると思ったのでしょう。
エンディングノートを渡しておけばよかった
紙が見つかったと、母から手渡されたとき「お父さ〜ん。書いといてくれたんだったら、せめて私にはこっそり渡しておいて欲しかったな〜」と、思わず心の中で呟いてしまいました。
「ここに全部書いてあるから、って言っといてくれないと書いた意味ないじゃん」と思ったのですが、同時に、エンディングノートを渡しておかなかったことを後悔しました。
エンディングノート、実は父に渡そうと思って買っていたんですよね。
父の気持ち
父が認知症になった、とわかった時、頭に浮かんだのは「あと、何年生きられるんだろう」ということでした。
そんな私の気持ちを父に見透かされるのが嫌で、父の死を考えている自分が嫌で、ずっと渡すことをためらっていました。
でも、残された紙を読んだら、父は自分の死についてはちゃんと覚悟していたのかもしれない、と思いました。
あるいは、ちゃんと書き残しておかないと、きっと私が困るぞ!! と思ったのかもしれません(実際、紙があったおかげで、ものすごく助かりました)。
認知症になってからは、会話が成りたたなくなり、父と込み入った話ができなくなっていたのですが……。そうなる前に遠慮せず、お葬式の話や住んでいる家をどうするか、などいろいろ話をしておけばよかったと後悔しています。
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