医師で作家・南杏子さんが伝える「在宅医療」での最期
2023.08.192023年08月19日
家族3人の介護・看取りで感じた自分自身の看取りとは
荻野アンナさんの終活「看取られ上手になるのが目標」
芥川賞作家であり、フランス文学者である荻野アンナさんは、父、母、パートナーと、3人の介護と看取りを経験してきました。その間に自らもがんを患い闘病。荻野さんが考える、理想の最期の迎え方について伺いました。
三者三様の「生きるか死ぬか」という局面
※インタビューは2021年4月に行いました。
私の場合、40代からの約20年は看病と介護と看取りの連続でした。
まず父が体調を崩して、そちらの看病に気をとられているうちに、パートナーにがんが見つかり、1年余りの看病の末に看取りました。
それから落ち込んでいる間もなく、父が倒れて入退院を繰り返すようになり、母の介護も本格化。父、パートナー、父、母……と、ミルフィーユのように介護と看取りが重なっていったんです。
渦中にいる間は、その日その日をどうやってやり過ごすかで精いっぱいでしたが、今になってみると、三者三様の生きるか死ぬかという局面を一緒に過ごせたことは、私にとって得難い経験でした。
20年に及ぶ介護の始まりは、当時85歳だった父が悪性リンパ腫を患ったことでした。幸い治療は成功したものの、翌年には腸閉塞を発症。
救急搬送された先の病院で『もう助からないな』と隊員が話しているのを聞いてしまって。ああ、これで最期なんだと思って父を見たら、薄目を開けて『ビ、ビューティフル』って若い看護師さんを指さしていて(笑)。...