時代を超えて人々を魅了する古代史上の謎

邪馬台国はどこにある?―漫画家はこう考える(後編)

公開日:2022/04/29

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九州なのか近畿地方なのか、いまだに所在地がわからない邪馬台国です。幻の邪馬台国と女王卑弥呼は、漫画家も魅了します。時代ごとに発表される学説は、ストーリーにも影響を与えているようです。

邪馬台国はどこにある?―漫画家はこう考える(後編)

古代史にも造詣の深い『機動戦士ガンダム』の作者

古代史にも造詣の深い『機動戦士ガンダム』の作者
『ヤマトタケル』安彦良和 作

アニメ『機動戦士ガンダム』の作画監督・安彦良和は歴史に題材を取った漫画を数多く描いています。

その中に『ヤマトタケル』があります。

『ヤマトタケル』は、神話伝説をそのまま漫画化したのではなく、主人公オウス(ヤマトタケル)を等身大の青年として描いています。そして彼がなぜ遠征の果てに悲運の最後を遂げなければならなかったか、作者なりの解釈で謎解きをしています。

この作品には邪馬台国は登場しません。しかし、背景となる古代史上の出来事について作者の意見を述べている所で出てきます(第1巻74ページ)。

それによると、九州の日向(宮崎)と考えているようです。

第1巻は、古事記や日本書紀や歴代天皇などについての考えが述べられている部分が、他の巻より多めです。参考にあげている学説や新聞記事などが興味深く、漫画そっちのけでじっくり読んでしまいました。

手塚治虫の『火の鳥』はヤマタイ国から始まった

手塚治虫の『火の鳥』はヤマタイ国から始まった
『火の鳥 NO.1 黎明編』手塚治虫 作

『火の鳥』は、不老不死の火の鳥にかかわる人間たちを描いた、時空を超えた壮大なドラマで、手塚治虫の代表作です。

この作品は、「黎明編」と題された、ヤマタイ国の女王ヒミコのエピソードから幕を開けています。

年老いてきたヒミコは火の鳥を追い求めています。ヤマタイ国と対立するクマソや、大陸から馬とともに侵略してくる部族、巨大な火山など作中には明記されていませんが、九州を思わせる設定になっています。

角川文庫版『火の鳥 NO.1 黎明編』216ページには、ストーリー着想のもととなった学説の記述がありますが、学者名・文献名ともに不明です。おそらくは作品発表 (1967年)の前からあった「騎馬民族説」によるものでしょう。

※「騎馬民族説」日本の大和政権は大陸から渡来した東北アジア系の騎馬民族が樹立したとする仮説。1948年頃より、江上波夫によって提唱 (広辞苑 第5版岩波書店より)。

これからの研究の進展に期待します

「邪馬台国九州説」をもとにした漫画ばかり紹介しましたが、最近ウェブサイトで出雲を舞台にした『卑弥呼』という作品を見つけました。大量の銅剣が出土したことで有名な島根県の「荒神谷」も登場しています。

研究が進むにつれて、それをもとにした物語も新たに作られるのでしょうね。

もう一方の有力候補に奈良の纏向(まきむく)遺跡がありますが、漫画家のみなさん! こちらの卑弥呼の話も作りませんか。

私は、漫画として面白ければ、邪馬台国はどこに設定されていてもOKです。

今後の研究が進み、私が生きているうちに場所がわかるといいのですが……。


今回の作品
『ヤマトタケル』安彦良和 全6巻 2013年~2018年 KADOKAWA
『火の鳥 NO.1 黎明編』手塚治虫 1992年 角川文庫
『卑弥呼』(電子書籍)作画 南恵夢 原作 倉科遼 2015年より配信 BOOK☆WALKERなどで閲覧可

 

■もっと知りたい■

K・やすな

漫画、アニメ、映画鑑賞、読書が趣味の自称「オタクな主婦」。子どものころは考古学者か漫画家志望。美術館めぐりや街歩きも好きだが、基本的に単独行動。なぜか、どこへ行っても道を尋ねられる。好きな花はカワラナデシコ。

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