久しぶりの手芸に心がときめいて

ブリオンフラワーと共に感謝の気持ちで暮らす毎日

公開日:2018.10.24

更新日:2018.10.25

花やリボン、シナモンなどのスパイスを駆使して作られるブリオンフラワーの創作過程や、作品に込められた思いなども紹介していきます。前回ミモザのフラワーポットを作る際に、ふと沸きあがった疑問がありました。それは何かというと……。

心の隅で忘れられていた想い

前回紹介のブリオンフラワー“ミモザのフラワーポット”を作りながら幼い頃の思い出に快く浸っていた時、ふと心に湧き出した小さな疑問。以前から本当にひょんな時浮かぶ想いがあります。

「私には幼い頃の記憶が少ない」

なぜだか、ふっと思うのですが、忙しさに紛れこの小さな疑問はすぐ姿を消してしまいます。

私の周りの友人はというと……ほとんどみな宝石のように強い光のある思い出を持っています。私はスナップ写真のような動かない記憶や、すりガラスの向こう側で動く物を目を凝らして見ているような、輪郭のぼやけたものが多いのです。私は父にも母にも間違いなく愛されていました。

父は愛情表現をする人ではなかったけれど、膝に抱かれ絵本をたくさん読んでもらいました。私の家は山の中の農家だったので、手先の器用な父は、麦刈りの季節は麦わらで籠を編み、野苺をたくさん積んできてくれるので、夕方両親が畑から帰ってくるのが待ちどうしかったです。

母は何があってもまずは私の味方をしてくれましたので、自由に羽ばたけました。でも子どもの頃私の目の高さで話を聞いてくれた記憶や抱き締められた記憶がありません(とはいえ幼児期度々扁桃腺熱をだし寝愚図る私を一晩中抱いて寝かせてくれたと聞いているので、記憶はなくても心が覚えているのかもしれませんが)。

両親から私へ、そして子どもたちへ

当時両親は思いきりの愛情をかけていてくれたのでしょうが、私に残る記憶の曖昧さを思うとき、私の子育てはどうだったのかと考えます。その時々を一生懸命してきたつもりですが……子どもの目の高さまで降りていたか? こころの乱れのまま子どもに当たった記憶さえある……両親と同じことをしていたのかなあ? 

それでもありがたいことに子どもたちは立派に成長しました。親になるということは修行ですね。喜びも沢山ありますが、人生経験もたくさん味わせてくれます。

今、まさに息子達が子育て真っ最中。若いパパママ達は本当に一生懸命生活し子育てをしています。知識も沢山あり、それらを生かす術を身に付けています。祖父母はそっと見守りながら、隙間ができたときそこを少し塞いであげたら良いのかなと、自分の経験を思い出しながら、孫を大好きだよと抱きしめ、素敵ねとほめ、孫の甘い香りを体一杯吸い込んでいます。

たまには子どもの頃にタイムスリップして、私にもあった小さな宝石を少しずつ拾い集めてみようと考えられる余裕もできました。

それにしてもブリオンフラワーとは不思議だと改めて思います。ほんの小さな思い出が導火線になり、線香花火がだんだん大きく花開き、私は幸せですと叫びたいくらいの打ち上げ花火になってしまいました。私と向き合わせてくれたブリオンフラワーやすべてに感謝です。

暑さを和らげられるかな? と、夏は水色を中心に馬蹄の飾りを作りました。次回はその話でも。

馬蹄のブリオンフラワー

でん

ドイツ、オーストリアで生まれた、永い時を経て作り続けられているブリオンフラワーと言う作品作りに夢中になっている、62歳の主婦です。製作材料の1つにハーブを使うので、香りに癒され、美しいブリオンの光に魅了され、可憐で、しかし難しく一筋縄ではいかない不思議な魅力をお伝えできればと思います。

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