久しぶりの手芸に心がときめいて

馬蹄の飾り、平和への祈り

公開日:2018.11.23

花やリボン、シナモンなどのスパイスを駆使して作られるブリオンフラワーの創作過程や、作品に込められた思いなども紹介していきます。今回は馬蹄の飾りを作ったお話です。平和への祈りも込めて……。

思いがけない展開

今回は馬蹄の飾りを作りました。水色のリボンとブリオンに飾られた可愛い飾りです。

馬蹄は馬が走ったり重い荷物を引いた時、馬の蹄を補助する道具です。馬は古い昔から人間と関わってきた動物です。今、馬と言えば競馬や乗馬でしょうか。

「子どもたちが小さい頃ポニーに乗ったよ」「競馬場は芝で覆われ綺麗なんだって」という軽い会話から始まった創作でした。私も母の昔話を思い出し、馬とどんな関わり方をしてきたのかと興味をもちました。でもそこから平和への祈りに繋がるとは思いませんでした。

 

馬と人間のかかわりは古く

古文書には大国主命(おおくにぬし)に馬肉を献上したと記されています。大宝律令(たいほうりつりょう・701年)には各地に「馬の牧(律令国家の管理していた牧場)」には政府機関としての「馬医寮」を設置した記録もあります。古代から国家規模で馬産行政が行われていたようです。

農業、林業の仕事にも力を発揮しました。武士の時代に入り、戦いの場でも人間と行動を共にし、明治からは軍馬として戦場に赴きました。

 

母の昔話から

母の実家には何頭も馬がいたそうです。今も母は鞍無しで馬に乗った時の、馬の温かみを覚えているそうです。軍馬として送り出す時の話になると口をつぐんでしまいます。私にはわからないさまざまな思いがあるのでしょう。

折しも8月の記念日を前にして水色のリボンで飾る馬蹄を作るのは、平和についてもっと知って、もっと考えてほしいというメッセージのような気がします(寄稿月8月)。

先の大戦でも軍馬がたくさん大陸に送られたそうです。船で輸送中、船が沈められたとき、人間は助かっても、船底にいた馬は助からなかったと聞きます。汽車で運ばれ、船に乗せられ大陸に着いたら軍馬として働き、日本に帰れた馬はいたのかしら。

 

真のラッキーアイテムに

あれから70年余り。世界中のどこかに戦いの現実があります。幼子は餓えや病気で苦しみます。子どもたちが戦闘員にされてしまう地域もあります。死と隣り合わせで毎日を暮らす人たちの心の底では、何が常識で、何を考え、どんな気持ちで暮らしているのか……ありきたりの言葉で言ってはいけないと思いますが、どうぞ全ての人たちが静かで穏やかな夜を過ごし、明るい空気を胸一杯吸い込んで朝日を見つめられますようにと祈らずにはいられません。

馬とのふれあい
※イメージ

 

西洋では馬蹄をラッキーアイテムとして用い、玄関などに魔除けとして飾ると言います。これからは馬の蹄を保護するだけではなく、真の幸福のアイテムとしてだけあり続けてほしいです。

次作はハートをちりばめたブーケを作る予定です。ブーケ作りからどんな話が飛び出してくるか楽しみです。

 

でん

ドイツ、オーストリアで生まれた、永い時を経て作り続けられているブリオンフラワーと言う作品作りに夢中になっている、62歳の主婦です。製作材料の1つにハーブを使うので、香りに癒され、美しいブリオンの光に魅了され、可憐で、しかし難しく一筋縄ではいかない不思議な魅力をお伝えできればと思います。

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