夫婦の絆が深まった思い出

念願の姫路城へ

公開日:2021.06.09

更新日:2021.06.08

二年前、実母の葬儀を終えて、大分から東京の自宅へ高速道路で戻る途中に岡山インターチェンジで財布紛失に気づき、広島警察署からの連絡で逆戻り…。疲れ果て、そこで一泊することになりました。

世界に誇る文化遺産、木造城郭建築「姫路城」へ

2月の山間部では雪で通行止めになる恐れが多いので、翌日は急いで帰るつもりでした。一晩休憩できたところに、翌朝は素晴らしい晴天、お天気だとあちこちに足を延ばしたくなる夫のいつもの悪い癖がでてきて……。一般道に降りてしまいました。

「のどかで良いなー」、車窓からの風景を楽しみながら進んでいると「姫路城」の道路標識が目に入ったのです。「一度でいいから、ずっと姫路城に行ってみたかったんだ」と夫。

私としては寄り道をせずに少しでも早く休ませてあげたかったのですが、余りにも嬉しそうな顔で、誘われて……。夫の疲労度はマックスだったのでしょうけれど、その時の私には願いを叶えてあげることぐらいしかできませんでした。

癒しの庭園

癒しの庭園

しっかりした木造の門をくぐると、樹林帯と呼ばれるいろいろな木々が植えられています。広大な敷地の中には、きれいに整備された池や小川があり、特に池にかかっている太鼓橋と敷石が風流です。歩いて行く内に、いつしか母への悲しみから解き放たれている気がしました。

癒しの庭園

それにしてもお城はどこにあるのかしら。

想像以上の迫力

想像以上の迫力

庭園から遥か彼方にそびえ立つ城を発見。見えているのになかなか辿り着くことができません。

城に続く坂道までようやく到着したので、登って行きます。かなりの傾斜でしたが、城内の階段は手すりに捕まらないと登れないほど急でした。しかも幅広のはしごみたいで足が安定しません。自分の前にいる人が足をすべらせたらと思うと怖かったです。

階ごとに展示された珍しい武具や重厚感のある造りは、流石に世界遺産だと胸が熱くなりました。最上階の隙間から外を見渡すと、すべてが小さく見えて、城の高さを物語っています。敵陣が簡単に登って来られない工夫は、住人もさぞかし大変だったことでしょう。

大満足で帰路へ

「白鷺城、迫力あったな。元気があったら、もう少し見て回りたかったけど……。見られて良かったよ」。

わずか1時間半ほどの憧れの姫路城内見学は、かなり体力がないと回れませんでした。機会が巡っているときは迷わず体験するべきですね。

またこの地を訪れることがあれば、心行くまで二人で回れたらと思っています。動いた分、体力的にはもう限界に近かったと思いますが、願いが叶った夫は満足感で心なしか元気を取り戻したように思えます。

帰路の途中で紛失した財布は手元に戻り、心配された雪も大丈夫でした。そしてずっと焦がれていた姫路城の見学ができたことは亡き母が精一杯の恩返しをしてくれたとしか思えない出来事が続きました。

「これはお義母さんのお陰だな」。

夫も同じ感覚を持ってくれたことに感謝しています。

 

■もっと知りたい■

蒲池 香寿代

大分県生まれ。小学校の時に恩師の先生との日記を機に何かしら記録することが習慣になっていました。結婚後は家計簿日記と運動不足解消の体操が日課になっています。元気なうちに念願のキャンピングカーで日本全国を横断するのが夢です。

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