サラエボ

公開日:2020年03月09日

複雑な歴史を辿った国々をこの目で見て感じる旅

一人参加のツアー旅行へ。サラエボの今

一人参加のツアー旅行へ。サラエボの今

いろいろな国へ旅することが好きな翠さん。今回はボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアの旅のレポートです。

旅のアクシデント

2019年の年末にバルカン半島を巡る10日間のツアーに一人で参加した。クロアチアとスロベニアは観光地としても有名になり過ぎているが、ツアーに含まれていたボスニア・ヘルツェコビナとセルビアという国をどうしても見てみたかったのだ。

文化も歴史も深く、一度や二度訪れたくらいでは、決して理解しきれないだろうとわかっていたのだが、それでも、一度この目で見てみたかった。

ツアー初日、セルビアのベオグラードでは、初めてスリに遭った。財布やパスポートは無事だったがメガネとハンカチがいつの間にかバッグの中から消えていてショックだった。

2日目、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボでは、朝から胃が痛みだし、街の薬局で片言の英語で薬を買った。幸いその薬がよく効いて、胃の痛みは2日ほどで解消した。アクシデント続きで始まったツアーだったが、私はサラエボの街を夢中で見て回った。

サラエボの現実

現在のサラエボは、ビザンチン文化、ローマ文化、ハプスブル家の文化を取り入れ、多様な顔を持つ不思議な街である。

トルコ風のお菓子を売っているお店が立ち並ぶ街角があるかと思えば、イスラム教のモスクの塔がそびえ立ち、その道の先にはまるでウィーンと見まごうような街並みが存在している。

サラエボの街の建物には今でも爆撃の跡が残る
サラエボの街の建物には今でも爆撃の跡が残る
建て替えるのをあきらめて放置されたままの家屋もある
建て替えるのをあきらめて放置されたままの家屋もある
教会前の広場には地面に爆撃痕がプレートとして記憶にとどめておこうと残されている
教会前の広場には地面に爆撃痕がプレートとして記憶にとどめておこうと残されている
第一次大戦始まりのきっかけとなったサラエボ事件が起こった橋も現存する
第一次大戦始まりのきっかけとなったサラエボ事件が起こった橋も現存する

 

お菓子を売っている店

キャラバンサライ。遠く旅をしてきた隊商が宿屋の中庭にラクダをつないでいたであろう古い宿屋の建物が今も残る。
キャラバンサライ。遠く旅をしてきた隊商が宿屋の中庭にラクダをつないでいたであろう古い宿屋の建物が今も残る。

サラエボの街角

広場には、街のシンボルの古い水飲み場がある。少し横道に入ると、金属加工をする職人さん達がいるエリアがある。

金属加工をする職人さん

鍛造(たんぞう)の音がリズミカルに聞こえてくる。ガラスのドアから中を覗き込むと、ふと手を休めた職人さんと目が合った。「入ってきていいよ」と笑顔で手招きする職人の顔には、深いしわが刻まれていた。

店内を一回り見せてもらった後、お土産用にきれいなスプーンを数本買ったら、「一本おまけだ」とスプーンを袋に入れてくれた。言葉は通じなくても分かり合えるのが嬉しい。

また、お土産を売っている雑貨店では、最初の設定と違う言い値で売ろうとしてくる。強気で当たらないと、損をしてしまうので、気が抜けない。そんな商魂たくましい姿も苦笑いでやり過ごした。

複雑な歴史を辿ってきたこの国のことは、日本人には本当には理解できないのかもしれないと思いつつ街中を歩き回った。少し迷子になりそうなときもモスクの塔が目印になってくれるので、元の道に引き返すことができた。

モスクの塔

街角では搾りたてのおいしいざくろジュースを売っている
街角では搾りたてのおいしいざくろジュースを売っている
老紳士たちは大きなチェスを楽しんでいる
老紳士たちは大きなチェスを楽しんでいる
ローマ時代の遺跡も保存されている
ローマ時代の遺跡も保存されている

日本ではあり得ないような境遇を受け入れ、敵になったり、味方になったりの歴史を繰り返してきたセルビアとボスニア・へルツェコビナ。人々は歴史の中で柔軟に生き抜いてきたことだろうと、この国の人々について思いを馳せてみたが、想像の域を出ない。

しかし、この地を実際にこの足で歩き、この目で見て、雑踏の中に立ち空気感を感じることができたことは、充実した時間だったように思う。もし叶うなら、もう少しこの街に滞在してみたかった。

この先、平和な歴史が続くことを祈りながらこの街を後にした。

富士山の見える町で暮らす元気なアラウンド70歳。半日仕事をし、午後はジムで軽く運動。好きなことは絵画を見ることと針仕事。旅先の町で買い求めた布でポーチやバッグを作っています。雨の土曜日は映画を観て、晴れた土曜日には尾根道を3時間ほど歩く。楽しいことが大好きです

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

暑い夏でも涼しくおしゃれに

大人のための軽やかデニムの決定版 大人のための軽やかデニムの決定版

足の爪が切りづらい方必見!医師監修「正しい爪の切り方」

足の爪が切りづらい方必見!

年齢とともに爪の形が変化し、「足の爪が切りづらい」「爪が巻いてきてどう切ればいいか分からない」と悩んでいませんか?トラブルを防ぐための正しい爪のケア方法を専門家に伺いました。

2025.07.16
夏に暑い・冬に寒い部屋は 断熱窓リフォーム!

ハルメク読者がショールームで体験!

環境省「先進的窓リノベ2025事業」で、窓やドアのリフォームに最大200万円の補助金が!お得にリフォームできる断熱窓の重要性が分かるショールームを、読者が体験しました。さらに、実際にリフォームしたご自宅にも潜入します!

2025.07.10
あれっおまたが擦れる……?40代からのおしもの悩みチェックリスト

あれっおまたが擦れる……?

40代、最近デリケートゾーンが気になったり、尿モレが気になったりということはありませんか。実はそれ、単に年齢のせいではなく、更年期に向かい始めている1つのサインかもしれません。今回は早めに知っておきたい閉経前後の症状「GSM」を解説します。

2025.07.10
今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ♪

今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ

50代女性の紫外線対策は、メガネのレンズを「カラーレンズ」にするのがおすすめ!おしゃれ&機能的に、カラーレンズを選ぶコツを紹介します。

2025.06.24
【PR】自分の尿モレタイプはどれ? 簡易診断でチェック!

自分の尿モレタイプはどれ?

たまに尿モレがあっても、だましだまし過ごされている方も多いのでは? けれど一口に尿モレと言っても症状によってタイプはさまざま。そこで自身の尿モレのタイプがわかる簡易診断チャートをご紹介!

2025.06.10
【PR】巻き爪や外反母趾などの足悩み解消を目指せる「正しい歩き方」

巻き爪解消を目指せる「正しい歩き方」

間違った歩き方は足トラブルを招き、健康寿命に影響があることを知ってましたか?正しい歩き方と足トラブル対策を専門家が解説!

2025.05.12
健康への意識が高い人へのギフトにもぴったりなオリーブオイル

夏のギフトはオリーブオイルで差を付ける!

健康志向の高い人や料理好きの人に喜ばれるオリーブオイルは、贈り物にもぴったり。かけるだけでもリッチな気分になれる優れモノなんです。

2025.07.16
皮脂・メイク汚れに要注意!夏こそ眼鏡をメンテナンスしよう

眼鏡の皮脂汚れ気になる…

夏は汗や皮脂、メイク崩れなどで、いつもより眼鏡が汚れやすい季節。レンズやフレームの汚れを放っておくと、眼鏡の寿命が縮むことにもつながります!

2025.07.01
眼鏡愛好家の紫外線対策に!度付きサングラス・調光レンズを活用しよう

紫外線の量でレンズの色が変わる眼鏡!?

紫外線に反応して色の濃さが変わる調光レンズはこの季節にぴったり。屋外などではレンズカラーが濃くなり、紫外線が弱い屋内などではクリアに近くなります。

2025.07.01
更年期は気象病になりやすい?つらい症状を遠ざけるおすすめ対策3つ

更年期は気象病になりやすい?

雨が降ると頭痛やめまい、だるさなどの不調が起こる「気象病」。天気の変化によって起こる気象病は、実は更年期とも関わりがあると言われます。気象病のメカニズムや更年期との関係、つらい症状を和らげる対策について、医師の石原新菜さんに伺います。

2025.06.22
「ほったらかしの投資」~手軽に投資を始める・続ける方法

「投資は難しそう…」と思っている人は必見

興味があるけど自信がない人におすすめな、長期的に資金を積み立てていく「ほったらかしの投資」。家計をラクにする資産運用の方法が知りたい人はぜひチェック!

2025.06.02
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10