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- ありのままをありのままに証言し続けることが持つ力
2024年10月11日、ノルウェーのノーベル賞委員会は今年のノーベル平和賞を日本の団体「日本被団協」に授与することを決めました。「日本被団協」とは、「日本原水爆被害者団体協議会」のことです。
心打たれたノーベル平和賞発表の瞬間
それをテレビで見ていました。清楚な制服姿の高校生平和大使・男子1名女子2名と高齢の「日本被団協」代表が顔を見合わせ涙を浮かべてその喜びを共有していました。気が遠くなるような長い被爆者の苦しみが、確かに若い世代に引き継がれ語られ続けていくだろうことを確信させてくれた瞬間でした。
「日本被団協」は、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下から11年後、1954年のアメリカ合衆国によるビキニ環礁での水爆実験(ブラボー実験)で日本の漁船「第五福竜丸」が被爆したことを機に広がった原水爆禁止運動の中で、1956年に被爆者の全国組織として長崎で結成されました。
それ以来、ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャが語り部となり、あの日自分が体験したこと、見たこと、親から聞いたこと等を語り続けると共に、若い世代に継承する努力を続けてこられたのです。
「日本被団協」の事務局次長和田征子氏は、この受賞の決定を受けて次のように語っておられます。「被爆者がずっと証言を続けてきたことが受賞理由になり、核兵器ではなく私たちのことばが、核の使用を阻止する抑止力になったのだと思う」と(NHK取材から引用)。
ありのままを証言し続けることの大切さ
このニュースを受けて、私は青田惠子さんの「布絵と詩」の掛け替えのなさを再認識せずにはいられませんでした。送られてきた第3作目『風にとむらはれて』には、毛筆での見事な文字の手紙が添えられていました。
日本人は、忘れっぽいのでしょうか? 確かに「フクシマ」のことが話題に上ることが少なくなっていると感じます。「フクシマ」は終わってなんかいないのに!
難しい理屈を軽々と乗り越えて、素直にありのままを表現したこれらの詩もまた、多くの人の心を動かす大きな力を持っていると、私は思うのです。
タブーなしの報道を!政治にもっと関心を!
アメリカ野球界で大活躍の大谷翔平選手の報道等は一挙手一投足といえる程詳しくされる一方で、(私も大谷翔平選手のファンだから、その活躍ぶりや愛犬デコピン、愛妻真美子さんの報道は見逃しませんが)、「日本被団協」のノーベル平和賞受賞の報道の何と少ないことか!
政治がらみの報道もスキャンダラスなことに重きが置かれ、国民の政治離れは進むばかり。今回の衆議院選挙の投票率は53.85%で戦後3番目の低さとなりました。
平塚らいてうや、市川房枝など婦人参政権獲得に力を注いできた先人がこの実態を知ったなら、さぞ嘆くことでしょう。長い戦いの中で勝ち取ってきた国民の権利である選挙権を正しく行使すると共に、もっと政治=生活や社会のあり方に関心を持ち、困っていることやおかしいと感じたことを自由に語ることこそ、社会を良くしていく力になるのではないでしょうか。
青田惠子 作『風にとむらはれて』は共感された方々が協力し合って出版された本です。
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