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- 朝ドラのような『あしたの朝子』
山口恵以子さんと言えば、『食堂のおばちゃん』シリーズや『婚活食堂』で大人気ですが、私は断然『あしたの朝子』です。
自由奔放な朝子さん
物語は、昭和27年から始まり、平成25年に山口恵以子さんが松本清張賞を受賞するまでが描かれています。朝子さんとは、山口さんのお母様がモデルで、その危なっかしい行動にハラハラし、パワフルで前向きな姿に、清々しさを感じながら、一気に読んでしまいました。
心に響いた言葉
「人間、とにかく体が丈夫でなきゃ、話にならないわ。いくら頭がよかろうが、性格が良かろうが ~中略~ 最後にものを言うのは体力よ」
「それと、運というのも大切よ。今度の戦争でよく分かった。~中略~ 運の良い人間は強いわ」
看護師をしている朝子の叔母 緋沙子の言葉です。激動の昭和を生き抜くには、体力と運しかなかったのだろうと、私の両親や親戚の伯父・伯母を見て、かねてからそう思っていただけに、この言葉が胸に響きました。
昭和の銀座と下町
まずワクワクしたのは日活ホテルでした。私は子どもでしたから、行ったことはありませんが、当時よく耳にしていて、いつか行ってみたいと思ったものでした。
朝子の結婚式は目黒雅叙園、ここは今も時々出かけます。
東京會舘も文中にしばしば登場しますが、建て替えられているので、当時とは様子が違うのでしょうが「立川志の輔独演会」などで毎年行っていますので、うれしくなりました。
朝子が暮らした昭和30年代の、東京の下町がよく描かれていて、あの頃の商店街は活気があったとしみじみ思いました。何しろスーパーマーケットも、コンビニもなかった時代ですから。
明日に向かって、昭和を明るく逞しく生き抜いた朝子、まるで朝ドラのようでした。
作者 山口恵以子(やまぐちえいこ)さん
作者の山口恵以子さんの名前は、易者が付けたそうで「一人でも強く生きていける」という意味が込められています。
小学生の頃から、独学で漫画家を目指していましたが、30代の頃、宝石と毛皮の輸入会社で働きながら「松竹シナリオ研究所」の夜間コースを卒業。2時間ドラマのプロットを多数作成しました。
やがて、丸の内新聞事業協同組合の調理補助のパートに転職、44歳で社員食堂の調理主任に採用され、50歳で作家デビュー、2013年に『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。
『食堂のおばちゃん』が受賞したと話題になり、テレビに出演されていたのを、昨日の事のように覚えています。
その他のおすすめ本
シリーズ15まで出ている『食堂のおばちゃん』は外せません。また、テレビドラマ化された『婚活食堂』のシリーズも、もちろん面白いですが、昭和2年からともに歩んだ二人の90年を描いた、感動の大河ロマン『トコとミコ』は素晴らしいです。
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