川邉サチコさんと美木ちがやさん母娘

2022年12月07日

川邉サチコさん・美木ちがやさん母娘に学ぶ

暮らしもおしゃれも「少ないもので豊かに」する知恵

コロナ自粛で家時間が増え、暮らしをすっきり見直したいと考える人が多い昨今。美容家の川邉サチコさんと美木ちがやさん母娘は、まさにおしゃれと暮らしで好きなものを厳選し、「少ないもので豊かに」暮らしている達人です。ポイントは何なのでしょうか?

川邉サチコさん、美木ちがやさんのプロフィール

川邉サチコ(かわべ・さちこ)
1938(昭和13)年生まれ。国内外のコレクションでヘアメイクとして活躍した後、広告・舞台などに活動の場を広げる。その後サロン運営を経て、現在娘のちがやさんと予約制のトータルビューティーサロン「KAWABE LAB」を開設。雑誌「ハルメク」に連載中の「マダムのつくり方」や著書『カッコよく年をとりなさい グレイヘア・マダムが教える30のセオリー』を通じ、女性の総合的な美しさを伝える。

美木ちがや(みき・ちがや)
1963(昭和38)年生まれ。母・川邉サチコさんと一緒に、「KAWABE LAB」を主宰。ヘアメイク、ファッションなどトータルな提案を行い、雑誌や広告などで幅広く活躍している。雑誌「ハルメク」の連載「マダムの作り方」では撮影を担当し多才さを披露。ハルメク365で「川邉ちがや キレイはこれから。」が好評連載中。

季節ごとの衣替えや購入のタイミングで、本当に必要なものを厳選

サチコさんとちがやさんが運営するトータルビューティーサロンは、いつ伺っても心地いい空気に包まれています。それは、選び抜いたものだけの空間だからこそ。そんな二人の暮らしについて伺うと、サチコさんは言います。

「私は物をため込まず捨てるタイプ。特に、季節ごとの衣替えは必ず行います。春夏と秋冬で年に2回。たとえ大きなクローゼットがある豪邸に住んでいたとしても、それは変わらないと思う。迷ったものはとっておくけれど、次の年に、やっぱり着ていなかったらお別れするとか。厳選した少ない服の数ならば、自分のワードローブを把握できるし、心の中の整理にもなります」。

川邉サチコさん
「シャツやスーツなどのスタンダードな洋服は、ずっと変わらず好きなもの。時間をかけて受け継がれてきた定番の服には、何物にも代えがたい良さがあります」(サチコさん)

娘のちがやさんも、同じく衣替えは習慣と言います。「でも、私はなかなか愛着があって捨てられない。その代わり、選ぶときに、すごく厳選します。買うときは本当に悩んで、悩んで。買ったときのシチュエーションや香りまで、はっきり覚えているくらい(笑)。選ぶときにじっくり考えて買うと、その分、大事に扱う。長い時間その服と付き合うことを考えると、結局無駄遣いにもなりませんよね」。

「よそゆき用」「普段用」と分けず、どんどん使う

「この自粛生活を経て『いつか使おう』『今度着よう』という考えをやめて、今日を特別にしたいと思うようになりました」と、ちがやさんは言います。

ちがやさん
「服を選ぶときはとにかく“素材“にこだわります。小さい頃にお気に入りだったコートの肌ざわりやあたたかさを、いまだに覚えているくらい」(ちがやさん)

「例えば『今度誰かと食事に行くときに着よう』ってとっておいたお出掛け用の服や靴も、雨の日だろうとなんだろうと、どんどん着ちゃう(笑)。明日どうなるかわからないからこそ、今日一日を大切に過ごしたいなと思います」。

「そう考えれば、無駄なモノは、より必要なくなってきますね」とサチコさん。

「モノは言葉を発さないけれど、それぞれに命がある。例えば器などもそうです。食器棚にしまったままより、使ってあげた方がうれしそう」とサチコさん。「いい食器も大事な服もどんどん使う。そうすることで、一日一日をより豊かに過ごせると思います」。

自分が主役。「今の自分」が心地いいものに目を向けて

サチコさんは、こう付け加えます。「自分が本当に好きなものを選ぶと、忘れた頃にふとそれを見ても『ああ、きれいだな、素敵だな』って心が癒やされる。生活の中にそういうものを取り入れるのは、必要なことだと思います」。

さらに、ちがやさんは言います。「みなさん洋服選びに自信がないと言って、私たちのところに相談に来てくださいますが、決してそんなふうに思わなくてもいいと思う。その証拠に、新しいファッションやメイクを提案すると、『私ってこんなのが好きだったんだ!』とか『私、これは違うわ』って、自分の思いや考えが自然と出てくるものです」。

悩んでいるように思えて、案外、自分が「いい」と感じるものは限られているのかもしれません。

「今の自分」が心地いいものに目を向けて

「中には、『母親になったから、ちゃんとしなきゃ』とか『年を重ねたから、目立たないようにしなくちゃ』とか、自分の役割や周囲の目を気にして、これまでモノを選んできた方も多くいらっしゃいます。あらためて自分の満足に目を向けてみると、新しい視点が生まれるかもしれません」とちがやさん。

特に、コロナ禍の自粛が続く今の生活で、自分の内側に目を向ける機会も多くなっているように思います。「誰が何と言おうと、一人一人が主役! そう思って選べば、暮らしに必要なもの、必要じゃないものが見えてくるのではないでしょうか」。

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■もっと知りたい■

>>連載「川邉ちがや キレイはこれから。」をチェック

峯積 抄公子
峯積 抄公子

みねづみ・さきこ 2005年入社。高知県出身。「ハルメク おしゃれ」編集部、ファッション部門担当。身長は150cm前後を行ったりきたり。小さい頃から背が低く、整列すると前から2番目までが定位置。裾上げしたデニムの余り布で、ポシェットが作れます。

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