将来の3大不安「医療」「介護」「夫の死後」の賢い備え方

将来の3大不安「医療」「介護」「夫の死後」の賢い備え方

更新日:2025年08月21日

公開日:2025年07月07日

将来の3大不安「医療」「介護」「夫の死後」の賢い備え方

将来に備えて気になる「いざというとき、いくらあればいいの?」「夫が亡くなったらどうすれば?」そんな疑問に、ファイナンシャルプランナーがズバリ回答。これから先も安心して暮らせるよう、賢く備えましょう。今回は「医療費」を中心に解説します。

教えてくれた人:畠中雅子(はたなか・まさこ)さん

ファイナンシャルプランナー。「高齢期のお金を考える会」主宰。著書に『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店刊)『得する年金生活』(TJMOOK)他多数。

【医療費】自由診療を含めて「1人200万~300万円」を目安に備える

【医療費】自由診療を含めて「1人200万~300万円」を目安に備える

「医療費が高額になると、上限を超えた分が戻ってくる『高額療養費制度』があるので、過剰な備えは必要ありません」と語るのは、老齢期のお金に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。

とはいえ、その対象は保険診療だけ。生命保険文化センターの調べによると、入院すると食費や差額ベッド代、パジャマのレンタル等で一日平均2万円強が自己負担になるというデータも。また保険外の自由診療を受ける可能性もあります。

「制度だけを当てにするのではなく、医療費として一人200万~300万円見積もっておくとよいでしょう」

「医療費」を抑えるためにできる6つの対策

(1)白内障、インプラント……自由診療分も見積もりを

白内障手術で水晶体を再建する場合、最近は遠中近にピントが合う多焦点レンズを選ぶ人も増えていますが、保険だけで手術できるのはピントが1つの単焦点レンズだけ。インプラントや高機能の補聴器も保険が利きません。そうした自由診療にかかるお金も見積もっておきましょう。

(2)マイナ保険証に変えると高額療養費の立て替えが不要に!

高額療養費制度は、かかった医療費の全額を窓口でいったん支払い、自己負担上限を超えた分が後で戻る形(限度額適用認定証を提出すれば立て替えはなし)ですが、マイナンバーカードにひもづいたマイナ保険証なら、認定証なしでも立て替え不要に。

(3)月末からの入院はできるだけ避ける

高額療養費制度の負担上限額は、月単位で決まっています。そのため、治療が月をまたぐと、それぞれの月ごとに上限まで支払いが必要になり、自己負担が多くなります。治療に影響がない範囲で、入院したのと同じ月に退院する日程にするとよいでしょう。

(3)月末からの入院はできるだけ避ける

(4)保険を見直すなら抗がん剤治療の保障に注目!

抗がん剤治療は、入院治療よりも通院治療の方が長くなりがち。入院給付金が中心の古い保険では、通院での治療までカバーされないケースもあります。また治療の経過によっては、自由診療の抗がん剤をすすめられることも。保険を見直すなら、抗がん剤治療の保障が手厚いがん保険がおすすめ。

(5)医療費の他、通院時のタクシー代なども領収書をとっておく

病院代や薬代の他、通院のための交通費も医療費控除の対象です。電車やバスは、乗車日時や区間、運賃を一覧にして確定申告を。公共交通機関で行けない状態ならタクシー代も控除の対象になるので、タクシーを利用したら必ず領収書をとっておきましょう。

(6)年間の医療費は10万円未満でも確定申告で戻ってくる

1年間の所得(※)が200万円未満の人なら、医療費の支払いが所得の5%を超えると医療費控除の対象に。一般的にいわれている「年10万円」より少ない医療費でも確定申告できるので、確認が必要。
※年金生活者は、年金の支給額から公的年金控除(110万円の人がほとんど)を引いた金額が所得となる。

次回は、「介護費」や「夫の死後」への賢い備え方を紹介します。

取材・文=松尾肇子、野田有香(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=熊本奈津子

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年12月号を再編集しています

HALMEK up編集部
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