大人女性の“ととのう”温泉グルメ紀行Vol.8後編
【大人のご褒美旅】界 玉造で“飲む・浸かる・味わう”三拍子そろう日本酒ステイ
【大人のご褒美旅】界 玉造で“飲む・浸かる・味わう”三拍子そろう日本酒ステイ
更新日:2025年11月30日
公開日:2025年11月20日
松江・出雲観光の拠点は美肌の神湯・玉造温泉が正解!
松江や出雲観光の拠点にぴったりなのが、島根県の玉造温泉。その中でも「界 玉造」は、大人の女性が静かに癒やされる“しっとり宿”です。
古くから「神湯」と呼ばれ、1300年の歴史を誇る玉造の湯は、『枕草子』にも登場する“美肌の湯”。泉質は“デパートコスメ級の保湿力”と言われており、やさしい湯ざわり。湯上がりの肌はしっとり滑らか。体の力が抜けてとことんリラックスできます。
今年の朝の連ドラ『ばけばけ』の世界観を味わえるアクティビティはもしろん、島根の地酒や郷土文化を楽しむ大人の夜も魅力の一つです。(前編「朝ドラ聖地巡り×美肌の神湯」編はこちらから!)
地酒バーで日本酒ツウのスタッフと乾杯!“私の一杯”を探して
夕方に、ロビー奥の「日本酒バー」が開店。石見神楽の大蛇が出迎え、柔らかな灯りに包まれた空間には、島根県内30以上の酒蔵から集めた40種類以上の地酒が並びます。
何から飲めばいいか迷うことはありません。「界 玉造」にはしまね地酒マイスターの資格を持つスタッフがおり、好みや希望にあった地酒をおすすめしてくれます。
おすすめの一つは、金鳳酒造の「へるん」。その名は朝の連ドラ「ばけばけ」のモチーフになった松江の文豪・小泉八雲(愛称はヘルンさん)にちなんでいて、炊き立てご飯やナッツ、はちみつのような香ばしさが広がる複雑な香り。
出雲の旭日酒造の「八千矛(やちほこ)」は、出雲大社に奉納される御神酒として知られる旨味のある辛口が特徴。お酒があまり強くない方には、奥出雲酒造の甘酒や、低アルコールの地酒もおすすめです。
さらに、お猪口は湯町窯や出西窯など、地元の窯元の器。器の厚みや釉薬の風合いによって、お酒の香りの立ち方が変わるのだとか。日本酒が飲める人も、飲めない人も、日本酒の初心者さんも、詳しい人も、それぞれの楽しみ方ができるのがこのバーの魅力です。
飲み比べながら好みの一杯を探すうちに、気付けば顔がほんのり上気していました。
「へべれけになっても大丈夫ですよ。お部屋まですぐですから」と笑顔で言われ、ついもう一杯。千鳥足でも許される夜です。
島根の味に酔う——郷土の恵みと地酒マリアージュの極み
その土地の文化を知るなら、まずは“酒と食”から。山陰は古くから良質な水と米に恵まれ、日本酒文化が花開いた土地です。
界 玉造の夕食は、そんな酒どころ・島根を象徴するひととき。宍道湖のしじみやのどぐろなど、山陰の恵みを生かした会席料理に、料理ごとに地酒を合わせる「日本酒マリアージュセット」が人気です。
前菜の宝来盛りには吉田酒造「月山」純米吟醸ひやおろし。自然と食欲が引き出されます。
さらに、刺身につけるのは「煎り酒」。これは島根の“はしっこ”益田市の丸新醤油の「煎り酒」は、梅と鰹節を酒でじっくり煮出して作る日本古来の液体調味料で、醤油が普及する前の時代、刺身のたれとして使われていたのだそう。魚の旨味を上品に引き立てます。
メインのしじみ牛しゃぶしゃぶには、「扶桑鶴」のぬる燗を。口の中が幸福で満たされ、これぞ至福のとき!
そして、しゃぶしゃぶの締めは島根名物「出雲そば」。そばの実を殻ごと挽く“挽きぐるみ製法”で作られた香ばしい麺に、宍道湖のしじみ出汁が絡んで、滋味深い旨味を添えます。
合わせたのは、出雲の島根ワイナリーが醸す「神縁(しんえん)清酒酵母仕込み」。日本酒酵母で造られたワインは、香りはフルーティで華やか、日本酒のふくよかな味わいもあり。まるで“酒とワインのハーフ”です。
少量ずつ食事と合わせていただけるので、いろいろな種類の日本酒を無理なくリラックスして楽しめるのがマリアージュセットの魅力。あまりお酒が強くはない筆者も、思わず箸と猪口を持つ手が止まりませんでした。
古くは煎り酒に始まり、今は日本酒酵母ワインまで。島根という土地では、酒が時代とともに姿を変えながら、暮らしと味の文化を紡ぎ続けているのだと感じました。
「石見神楽」に大興奮!伝統は心を熱くする文化だと知った夜
食後、離れの茶室で行われる「怪談茶室」で八雲の幻想世界に浸った後、いよいよ今宵のクライマックス——島根の伝統芸能・石見神楽(いわみかぐら)の上演です。
「界 玉造」では、スタッフが本場の社中に弟子入りして稽古を重ねた代表演目「大蛇(おろち)」が毎晩、披露されます。舞が始まると会場の雰囲気は一変!圧倒的な美しさと力強さに、一気に引き込まれていきます。
笛の甲高い音が空気を切り裂き、太鼓が腹の底に響く。灯りが揺れ、金の鱗をまとった大蛇が舞台から客席へと迫ってくる——その瞬間、誰もが思わず息を呑みました。
気付けば、会場全体が熱を帯び、大人たちが子どものような顔で笑い、歓声を上げ、拍手が鳴り止まない。“しっとりした温泉宿の夜”が、いつの間にか“お祭りの夜”のような高揚感に包まれ、筆者も胸の奥がわくわくと騒ぎ出しました。
石見神楽は、島根県西部・石見地方をルーツとする伝統芸能。神事でありながら、誰もが楽しめる“エンターテインメント”として地元の人々の誇りと喜びを映す舞でもあります。
この夜を通して、「伝統は堅苦しいものではなく、心を熱くする生きた文化なんだ」と実感。いつか“本場の神楽”も見てみたい——そう思わせるほど「界 玉造」での夜は、旅人の心に火を灯す体験でした。
湯けむりに包まれて……酒と湯に酔う贅沢なひとときを
部屋に戻ると、露天風呂の湯けむりがゆらゆらと立ちのぼっていました。湯に浮かべた檜の酒桶に入浴用の日本酒を注ぐと、ふわりと広がる甘い香りに包まれます。
寝る前にもう一度、体の芯からあったまろう。そんな静かなご自愛タイムの始まりです。
ちゃぽんと湯に入り、先ほど日本酒バーで選んだお酒を酒器に注ぎ、湯面に浮かべてひと口。湯気でぬるくなったお酒がまろやかに変化し、その味わいに思わずうっとり。ほろ酔いでも酒と湯の香りが溶け合う、なんとも贅沢な時間です。
温泉と日本酒の相乗効果で、肌はつややかに、頬はほんのり上気して、表情もやわらかくなりました。
こんな時間を、年に一日でも過ごせたら……。日々の慌ただしさも、きっとやり過ごせる。
大人女性の癒しと酔狂が交わう時間です。
次の物語へ——山陰・島根をまるごと体験できる宿の力とは
翌朝、湯けむりの向こうにやさしい光が差し込んでいました。夜の熱気とは打って変わり、澄んだ空気が肌に心地よい。露天風呂で深呼吸をすると、心まですっと整っていくようでした。
玉造温泉は、松江から車で約30分、出雲大社からは約1時間。さらに足をのばせば、石見銀山や温泉津温泉にもアクセスできます。
「界 玉造」は、山陰をめぐる旅の“ちょうど真ん中”。美肌の湯に癒やされながら、日本酒や工芸、歴史や自然など、土地の魅力を体験できる場所です。
日本酒に惹かれたなら酒蔵巡りを。器やたたら製鉄に興味をもったなら、工房を訪ねるのも楽しい。神話や歴史に心が動いたなら、出雲や石見へ足を延ばしてみて。
「界 玉造」は、そんな“次の旅のヒント”が見つかる宿。まるで、泊まるだけでガイドブックを体験しているような充実感があります。
美しいもの、おいしいもの、人の温かさ——そのすべてに出会えるこの場所で、旅の楽しみが静かに広がっていくのを感じました。
山陰を初めて訪れる人にも、もう一度訪ねたい人にも。「界 玉造」は、新しい物語を始めるのにふさわしい宿です。
今回宿泊した温泉宿はこちら:界 玉造
島根県にある「界 玉造」は、日本最古の温泉の一つとされる玉造温泉に佇む全室露天風呂付きの温泉旅館。プライベート感あふれるご当地部屋で美肌の湯を心ゆくまで堪能できます。
「70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』」の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気の温泉宿です。より気軽に4泊の旅から始められる「冬限定 界の定期券」も発売中。
▼界 玉造 住所:島根県松江市玉湯町玉造1237
※記事中の情報は2025年11月時点のものです。
※温泉効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。飲酒後の入浴は体調に留意し、無理のない範囲でお楽しみください。
取材・文 長倉志乃(HALMEK up編集部)
「界 玉造」ペア宿泊(1泊2食付き)1組2名様
「界 玉造」ペア宿泊券(1泊2日)を、1組2名様にプレゼントします。(有効期限:2026年3月1日~2026年8月末日)※宿泊券の発送は2026年2月初旬になります。
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「界 玉造」ってどんなところ?滞在レポ公開中




