上大岡トメさんインタビュー#1

50歳で突然の喘息、更年期も…上大岡トメさん「新しい体へのアップデート」

50歳で突然の喘息、更年期も…上大岡トメさん「新しい体へのアップデート」

公開日:2026年03月30日

50歳で突然の喘息、更年期も…上大岡トメさん「新しい体へのアップデート」

50歳を目前に突然の喘息、更年期のだるさで1週間寝込むことも――。イラストレーター上大岡トメさんが、漢方医から学んだ考え方や日々の養生術を語ります。50代からの体と上手に付き合うヒントとは?

50歳で突然の喘息。「死ぬかと思った」体の変化

「50歳を境に、自分の体が急に変わった気がするんです」

そう話すのは、イラストレーターでヨガインストラクターでもある上大岡トメさん。パワフルに活動してきたトメさんですが、50代に入ってからは年齢なりの体の変化に戸惑うことも多くなったと語ります。

「それまでは大きな病気もなくて、健康そのものだったんですけど、50歳を目前にしたある日、咳が止まらなくなってしまったんです」

呼吸器科で告げられた診断は「喘息」。花粉やPM2.5が多い時期に、疲労やストレスが重なったのが原因かもしれないと振り返ります。

「喘息は深刻な呼吸困難を引き起こす病気。先生に『死なないように、がんばりましょう』と言われたときは、“え、私、死ぬの?”って、本当に怖かったです」

一時は声が出なくなり、講演会を初めてキャンセルする事態に。幸い、投薬治療によって2か月ほどで症状は落ち着いたものの、喘息は完治が難しい病気です。

「疲れると、今でも咳が出そうになるんです。だから薬はお守り代わり。とにかくストレスを溜めないように、前よりもずっと意識するようになりました」

こうして喘息とうまく付き合いながらも元気を取り戻したトメさんですが、今度は更年期の波が押し寄せました。

人はみんなエネルギー量が違う?漢方医の考え方

人はみんなエネルギー量が違う?漢方医の考え方san 
『老いる自分をゆるしてあげる。』(上大岡トメ著/幻冬舎文庫)より

だるさや微熱で起き上がれない日が続き、ひどいときは1か月のうち1週間寝込むことも。しかも当時はコロナ禍。症状が似ていたため、不安はさらに大きくなりました。

「スタジオでヨガのインストラクターをしていたので、毎回『これ、コロナだったらどうしよう……』とビクビク。それもストレスでしたね」

ホルモン補充療法も検討しましたが、副作用への懸念から、漢方治療を選択。著書の取材を通じて知り合った、東京女子医科大学附属・東洋医学研究所所長の木村容子先生のもとで、治療を受けることにしました。

「漢方が私には合っていたみたいで。体全体のバランスが整って、体力を“底上げ”してもらうような感覚がありました」

木村先生から教わった中で印象的だったのは、「エネルギーボール」という考え方。

「人はみんな、生まれたときから持っているエネルギーの量が違うそうなんです。それをボールの大きさに例えるんですね。

ときどき『いつ休んでいるの?』と思うぐらい、いつも元気でエネルギッシュな方っているじゃないですか。そういう人を見るとすごいなぁとうらやましくなりますが、そもそも生まれ持ったエネルギーボールの大きさが違う。だから、比べてもしょうがないんです」

さらに女性の場合、28歳をピークにエネルギーボールは少しずつ小さくなっていくとも。

「だからこそ、年齢を重ねた50代からは無理をしないことが大切。完璧にやろうとせず、エネルギーを小出しにすることが長く元気でいられる秘訣だと先生から教わり、気持ちが楽になりました」

更年期の不調を救った「夢中になれるバレエ」と「整うヨガ」

更年期の不調を救った「夢中になれるバレエ」と「整うヨガ」

トメさんには更年期の不調を忘れられるような、“パワーの源”がありました。それが、長年続けてきた「バレエ」です。 

「体調が悪くても、這うようにしてスタジオに行くんです。でも、音楽が流れた瞬間、シャキッとなって」

レッスン中はすべてを忘れて夢中になり、たくさんの汗をかく。「家に帰る頃にはグッタリ」だそうですが、あとから不思議な爽快感がやってくると言います。

一方で、バレエは体への負担も大きいため、ヨガを並行して行うことでバランスを取っているそう。

「ヨガは、自分に寄り添ってくれる感じがあって、自律神経が整う感覚がするんです。リラックス系からアクティブ系までさまざまなレベルがあるので、その日の体調や自分の体力レベルに合わせて選べるのもヨガの魅力です」

更年期の不調を救った「夢中になれるバレエ」と「整うヨガ」

トメさん流・更年期を乗り切る3つの養生術

仕事に支障が出るほどつらかった更年期ですが、2年ほど経った頃、ある変化を感じたと言います。

「ある日、フッと抜けた感じがあって、“あ、私、新しい体にアップデートしたかも”って思えたんです」

更年期の症状は、人によってさまざま。つらい時期が長く続く人もいます。

「でも、出口は必ずあるものなんですよね。この時期は、いろんな手を試していきながら、自分に合う養生術を見つけられたらいいのかなと。きっと、出口の先には新しい体で生きる、楽しい人生が待っているはずです」

トメさんが実践している養生術は、バレエやヨガなどの運動に加え、日々のちょっとした心がけです。例えばこんな3つ。

1.朝晩15分ずつの入浴

夜だけでなく、朝も15分ほど湯船に浸かると、体がぽかぽか温まって活力が湧いてくるそう。「お風呂の時間にイタリア語の勉強をし始めたら、入浴も語学の学びも自然と習慣化することができました」

2.栄養たっぷりの野菜スープ

トメさんの友人でもある、料理家のタカコナカムラさんが考案した、有機野菜の出汁「ベジブロス」で栄養たっぷりの野菜スープを作るのも日課の一つ。「ミネラル豊富な、ちょっといいお塩を入れるだけで絶品なんです。体も喜んでいるのがわかります」

3.スキマ時間を見つけて歩く

忙しい仕事の合間を見つけて「歩くこと」を意識しているトメさん。「自宅がある山口の自然豊かな公園も、出張で行く東京の街並みも大好きで、歩いているだけで気分が上がってリフレッシュできるんです」。頭もスッキリして、いろんなアイデアが湧いてくるそう。

50歳を過ぎたら「生きているだけでラッキー」

「今でこそ、日本人の平均寿命は80代を超えていますが、100年前までは50歳ぐらいだったそうですよ」とトメさん。 

そもそもヒトの寿命は50歳までしかプログラムされていない、という説もあると言います。

「生物学的に見たら、『私たちはもう死んでいてもおかしくない!?』のかもしれませんよ(笑)。だからもう、自分の体に求めすぎなくていいんじゃないかなって。

50歳を過ぎたら、生きているだけで、体が動けているだけでラッキー! それぐらいに思って、養生しながらゆっくりと歩んでいきたいですよね」

続く第2回は、トメさんが50代半ばで突然直面することになった、「親の介護」についてお届けします。

上大岡トメさんのプロフィール

上大岡トメさんのプロフィール

東京生まれ、横浜育ち。会社勤務を経て、イラストレーターになる。1級建築士、ヨガインストラクター、ふくもの隊隊長。現在は山口県在住。「マンガで解決!老人ホームは親不孝?」(主婦の友社)、「遺伝子が私の才能も病気も決めているの?」(幻冬舎)、「老いる自分を許してあげる」(幻冬舎)、新刊「推し!はお遍路」(ふくもの隊と共著 ミシマ社)など、介護やエイジングをテーマにした著書多数。

公式ウエブサイト「トメカミカメト」
Instagram @tome_kamioooka 

■上大岡トメさんインタビュー
第1話:更年期は「新しい体へのアップデート」
第2話: 「うちの親は大丈夫」が崩れた日
第3話:60歳からの海外長期ひとり旅の準備
第4話:ヨーロッパ旅で広がった出会い

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。