50代、60代からの新しい挑戦…何歳からでも人生をもっと楽しく!
50代、60代からの新しい挑戦…何歳からでも人生をもっと楽しく!
更新日:2025年11月09日
公開日:2025年09月19日
教えてくれた人:西田裕紀子(にした・ゆきこ)さん
国立長寿医療研究センター 老化疫学研究部副部長。加齢をポジティブに捉える視点を大切に、加齢による心理的な変化を研究している。
生涯にわたり成熟する能力を持っている
身の機能は日々衰える一方……と思いがちですが、経験を積むことで、生涯にわたって成熟する能力があることをご存じでしょうか。言語能力、理解力、洞察力、社会適応力などがそれに当たります。
例えば「若い頃に読んだ本をもう一度読み直してみたら、以前はわからなかった深みに気付いた」ということはありませんか? さまざまな経験を積んだ今、新しいことを始めれば、若い頃には想像もしなかった境地に至る可能性があります。
好奇心があれば、80歳、90歳になっても若さが保てる
新しいことに挑戦する意義は、他にもあります。愛知県の国立長寿医療研究センターが行った調査では、「好奇心が強くて、挑戦することが好き」という特性が高い人は、そうでない人に比べ、年を重ねても高い認知機能を維持していることがわかりました(※)。
いろいろなことに興味を持つと、脳内の神経細胞をつなぐネットワークが強化されることが、大きな理由だと考えられます。
挑戦といっても、大それたことをする必要はありません。散歩中に見た花の名前を調べる、食べたことのない食材を試してみる、知らないジャンルの本を読んでみる――そんな身近なことからでいいのです。
※「中高年者の開放性が知能の経時変化に及ぼす影響:6年間の縦断的検討」 発達心理学研究(2012)
目標を持つことで健康が保たれ、人生の充実度が深まる
さらに、日々の中で何か目標を持つと、人生の充実度は深まります。
「好きなことを長く続けたい」「発表会に向けて練習をがんばる」「いつかあの場所に行ってみたい」といった目標があると、丁寧に暮らそうとする意識が芽生え、食事に気を付けたり、活動的になるなど、日常にいい変化が生まれます。好奇心は、健康を保つためにも重要なのです。
発達心理学者のエリク・H・エリクソンは、「次の世代に貢献していると思えることが、人生後半期を豊かにする」と考えましたが、私たちが前向きに生きることそのものが、背中を見ている次世代への大きな貢献になります。
身体機能の低下に気付くことがあっても、好奇心があれば、加齢による変化にも少し余裕を持って向き合えるのではないでしょうか。今の状態に合わせて目標を調整しながら、ワクワクすることを大切に、毎日を過ごしていきましょう。
全4回シリーズの次回からは、実際に50代、60代から新しいことに挑戦し、輝きを増す4人の先輩たちを紹介します。
取材・文=田島良子、塚本由香(ともにハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年2月号を再編集しています




