コイズミ的シニアライフ探訪【第1回】前編
小泉今日子|築地本願寺でイマドキのお墓を見学する
小泉今日子|築地本願寺でイマドキのお墓を見学する
更新日:2024年09月12日
公開日:2024年04月30日
新しい「シニアライフ」を小泉さんと作っていきませんか?
50代も半ばを過ぎると、なんとなくですがシニアと呼ばれる世代にぐぐっと近づいた気がしてきます。
体は少々くたびれても、気持ちはまだまだハリのある50代。小泉今日子さんは「私たちの世代は、これまでとはちょっと違う、新しいシニアライフのモデルを作っていけそうな気がしています」と言います。
来たるシニアライフを楽しむために、今から準備したり考えたりすることってどんなことだろう? そんな50代の気になることを、小泉今日子さんと探っていくルポの第一弾です。
今回は、終活。その中でも、お墓について。
2022年にお母様を弔った際いろいろ思い至ったという小泉さんと、納骨堂を見学することにしました。
小泉今日子、58歳。私なりの「終活」そろそろ考えてみようと思います

2022年のクリスマスに母が亡くなり、そこから「終活」について考えたいなと思うようになりました。
きっかけは母のお墓をどうするかということでした。実家の近くにお寺があり、そこには私が27歳のときに亡くなった父も、10年ほど前に亡くなった8歳上の姉も眠っています。ただ母は父と離婚したあと再婚し、また離婚したのですが、名字は再婚した方のものにしていました。
意図的にそうしていたらしく、だから父の眠っているお墓に入りたいだろうかと思ったんです。2歳上の姉と、樹木葬はどうだろうかと話したりしました。生前の母にお葬式やお墓のことを聞いたこともありましたが、「なんでもいい。迷惑かけたくない」と言っていたので、そういうのが望みかもしれないね、と。
ところがそのことを母方のいとこたちに話したら、みんなが嫌だって言うんです。母のことをいとこたちは「ばあば」と呼んでいましたが、「ばあばが消えちゃうみたいで寂しい」って。
そうしたら母の弟が「うちの墓に入ればいいよ」って言ってくれました。母の両親も入っている先祖代々のお墓です。迷惑をかけるのではないかと思っていたのですが、そう言ってくれたので、母はそこに眠ることになりました。
このことがあって、お葬式とかお墓って死んだ人だけのものではないんだな、生きている人のために必要なものなのかなと思ったんです。
自分のことは「お葬式はしなくていい」って思っていますし、父や姉のお墓に入る気持ちもありません。でもそれだけではダメだろうなとも思っていて、私なりの終活というか、いろいろなところを見てみたいと思ったんです。
【はじめての終活】今日子さん、イマドキのお墓「納骨堂」を見学する
――小泉今日子さんの終活第一弾として、築地本願寺に行きました。本館1階にはロッカー式の「納骨堂」があり、地下鉄築地駅を出てすぐの「合同墓」もあります。副宗務長の東森尚人さんの案内で、まずは「納骨堂」へ。縦に7段の“お墓”がずらり。
東森さん ここには2200基ほどの納骨檀があります。ただ、全ての区画がご契約をいただいており、現在は新規募集をしていない状況です。
小泉さん 私は独身で子どももいないから、入った後のことが気になります。
東森さん 契約された方が「永代措置」を申し込んでいただけば、管理する方がいなくなって15年間または30年間(契約時に選んでいただきます)は、築地本願寺が管理させていただきます。その後はこれから見学いただく「合同墓」にお移しいたします。
小泉さん 照明のシャンデリアが可愛くて、思っていたイメージと全然違う。こんなところにいたらうれしいだろうなー。
葬式もお墓もいらないって思っていたけれど…(今日子さん)
自分が死んだときのことを思うと、仕事が仕事なので大げさなことになる可能性があります。そうなると慎ましく暮らしている血縁の者が巻き込まれることになって、迷惑をかけることになるかもしれない。だったらすっといなくなりたい。そんなふうに思っています。
そしてその代わりではないですが、 生きている間に生前葬のようなことをやろうという気持ちでいたりします。『別冊太陽「小泉今日子」』を出したのも、高尚な趣味もない私が差し出せるものは「今」しかないし、今というのは「生と死」だから、そういうものをまとめられたらいいと思ったのが始まりでした。
最近コンサートをまた始めているのも、そんな気分かもしれないです。同じ瞬間をできるだけファンの方たちと味わいたい。
あと数年で60歳になりますが、その後に何をするかはまだ白紙にしているんです。この仕事を続けるかどうかも含め何をしたいのか、まだ思いついていません。本当のお別れが死だとしても、そこに至る前に生きている時間を大切にしたい。そういう感覚が芽生える年頃になったんだ、って自分で思います。
今日のようにいろいろな話を直接伺うと、イメージができてきますよね。イメージなく「お葬式はいらない」って言っていたけど、こうして見ていくと違うイメージが生まれるなと思うようになりました。
【はじめての終活】今日子さん、イマドキのお墓「合同墓」を見学する
――「納骨堂」に続いて「合同墓」へ。2017年に募集開始、「過去の宗派を問わず、生前申し込みを基本として、費用も30万円から」という特徴が現代のお墓事情にマッチして、既に多くのお申込みが。
小泉さん 明るくて、なんだかヨーロッパみたいな空間ですね。パリにありそう。自分が死んだあと誰かに迷惑をかけたくないと思う人たちにとっては、こういう素敵なお墓があるって、選択肢としてとてもいいですね。
東森さん 合同墓を開設した2017年頃よりデザイナーと契約して当院で使用する名刺や看板、WEBなどのデザインを統一しました。
以前の当院の体制では考えもしなかったことですが、元銀行マンで経営コンサルタント会社を経営していたという異色の経歴を持つ僧侶が2015年に宗務長になったのです。
そんな方ですから、合同墓開設の際にも市場環境調査を徹底的にしました。
小泉さん それまでの常識でたたずんでいたのが、新しくいらした方の意識によって変わっていったんですね。
東森さん はい、それによって参拝する方々の気持ちに応えられることも増えてきました。お墓はその一つですが、他にもいろいろ取り組んでいます。
少し憂鬱な気分になりがちな月曜日の朝、7時からの朝のお勤めの後にお寺のお掃除をしていただき、僧侶からの「活力ワード」としてお話を聞いていただく朝活イベント「テンプルモーニング」などもしています。
基本的に毎月第一月曜日に実施しており、予約も参加費も不要なのでお気軽にご参加いただけます。
小泉さん 伺っているとビジネスの成功でもあるけれど、いらっしゃる方の要望に応えるのもお寺の原点なのですね。お葬式の時だけ来るところみたいに思うけど、利他的な視点で努力されていることがよくわかりました。
お墓って、生きていく人が寂しくないようにあるのかな(今日子さん)
地元に10代で亡くなった友人がいるんです。ヒーローみたいな子だったから、実家に帰ったら彼のお墓にいつも行くんです。そうすると、さっき誰か来てたなという気配が残っている。だからお墓って、象徴みたいなものとして残るのかもしれないですね。私たちは50代になっているけど、彼のお墓が青春の象徴になっている。
もし私がこの世からいなくなっても、そこに行ったら話ができる、そういうモニュメントのようなものは必要なのかなと今日、思いました。
私の場合だと来るのは血縁者だけでなくて、たくさんの友達だとか私の歌が好きだった人とかもいるのだとすれば、誰に迷惑もかけずに維持できてスタイリッシュなお墓はいいな、と。まだ結論は出していませんが。

小さい頃から「死」を考えていました。アンデルセンの「人魚姫」とか、他にも死の出てくるようなお話が好きでした。儚いけれど美しいものに見えて。見えるものと見えないものが同じところにいる感じもしていて、そういう空想をするのも好きでした。
儚さへの憧れの気持ちはさすがに落ち着きましたが、でも早く死んでみたいんです。自ら死ぬ気持ちはこれっぽっちもないのですが、もしかしたら死ってすごく気持ちのいいものかもしれない。そういう思いはずっと残っています。
だから死は怖くはないし、身内が死んでも悲しくはないんです。寂しくてポロッとなりますが、悲しくはない。
母が住んでいた家が空き家になりました。そこを改装して、親戚がみんなで集まれるような場所にできたらいいなと思っています。住みたい人は住んでもいいし、私が帰る場所として部屋も作って、とか。みんなで話したり、看取り合ったり、そんな場所はどうかなと思っていて、たぶん私の最期はそこかなと思っています。
死んだら、木とかになりたいです、ほんとに。だから樹木葬とかそういうのもいいかなって思っています。だけどモニュメントみたいなものは残さないと、寂しいと思う人がいるのかなって、今日、わりと強めに思いました。
****
朝8時。築地本願寺を訪ね、本堂でお参りし、納骨堂、合同墓を見学した今日子さん。お坊さんとお話ししながら、イマドキのお墓のかたち、お寺のあり方を知り、選択肢が広がったようです。
さて、朝からたくさん歩いたからお腹がすきました!築地本願寺に併設するカフェで、ゆっくり朝ごはんをいただきましょう。
今朝、訪ねたのは「築地本願寺」

築地本願寺は東京・築地にある浄土真宗本願寺派の寺院。本山は京都の下京区にある西本願寺で、寺院でありながら、カフェやオリジナルショップを併設し、盆踊りやパイプオルガンコンサートなど大人気各種イベントまでも実施。国内外から連日多くの参拝者・観光客が訪れる“開かれたお寺”の先駆け的存在。
※合同墓については、第二期の受付開始に伴い来院予約が取りづらい状況となっております。お申込みについては築地本願寺の公式HPをご確認のうえお問い合わせください。
築地本願寺の公式HP
https://tsukijihongwanji.jp/
小泉今日子さんのプロフィール
1966年、神奈川県生まれ。1982年に芸能界デビュー。2001年の「風花」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を、「陰陽師」で同賞優秀助演女優賞を受賞。俳優として映画や舞台に多数出演し歌手、執筆家としても活躍。2015年より株式会社明後日を立ち上げ、舞台・映像・音楽・出版など、ジャンルを問わず様々なエンターテイメント作品をプロデュース。ますます元気に楽しく余生を過ごしていくためのプロジェクト「東京VintAGE Girls」が始動!youtube.com/@tokyo-vintage-girls
取材・文=矢部万紀子 撮影=中西裕人 構成=長倉志乃(ハルメク365編集部)





葬儀のこと、お墓or納骨堂or樹木葬など自分だけで決めかねることだと強く感じる今日この頃です。小泉今日子さんのお話しはとっても実感するところが多いです。