小泉今日子#2 母の尊厳を守り、自宅で看取れた幸せ
2024.09.122024年09月12日
自分の選択をよかったと思えるために
小泉今日子#1 50代からを私らしくよりよく生きる
16歳で歌手デビューし、俳優としても活躍してきた小泉今日子さん。50歳で会社を設立して以来、プロデューサーとしても奮闘。2023年7月、構想10年以上となる舞台「ピエタ」がついに上演されます。舞台にかける思い、そして50歳からの生き方とは?
※この記事は、2023年5月の取材をもとにしています。
50歳で動く、そう5年前から言い続けて
小泉今日子さんが自分の会社を立ち上げたのは2015年、50歳のときでした。
「『50歳になったら動く』って、45歳くらいからインタビューでよく言っていたんですね。普通に考えると、60歳とか65歳が定年という節目だったりしますが、新しいことを始めて少なくとも10年、アクティブに攻めの姿勢で生きるには、もっと体が元気なうちでないと思うようにできないかもしれないなって。
人に言っておかないと怠けるだろうから、『50歳になったら動く』とわざと宣言して、自分で自分を追い込んでいきました。ここで有言実行しないとカッコ悪いことになるじゃん、と(笑)」
こうして誕生したのが株式会社「明後日(あさって)」。半世紀を生きて「残された時間の中で何ができるのか?」を考えた小泉さんは、舞台、映像、音楽などのプロデュースに取り組みます。
実は会社を設立した当初から、ずっと切望していたのが、大島真寿美さんの小説『ピエタ』(ポプラ社刊)の舞台化でした。
わぁーっと泣きながら読んだ「よりよく生きよ」の言葉
小泉さんが『ピエタ』と出合ったのは、会社を立ち上げる4年前でした。
「主人公が45歳で、当時の私と同世代だったんですね。彼女をはじめ、出自や立場の違う女性たちが、それぞれに心の傷や不安を抱えていて、だけど誇りを忘れずに生きていく姿に強く心を惹かれました」
物語の舞台は、18世紀のヴェネツィアに実在した孤児院ピエタ。そこでは音楽教育が盛んで、作曲家のヴィヴァルディが少女たちを指導していました。45年前に孤児院に捨てられた主人公、エミーリアも教え子の一人。
ヴィヴァルディの死後、エミーリアは子どもの頃に音楽教育を一緒に受けた貴族のヴェロニカから「昔、ヴィヴァルディ先生の楽譜の裏に詩を書いたことがある。すごく大事なことを書いた気がするから、その楽譜を探してほしい」と頼まれます。
「楽譜を探す過程で主人公は大きな出会いと別れを経験します。そして最後に見つけた詩が、本当にささやかで、でも人生にとても大切なことで……。『むすめたち、よりよく生きよ。よりよく生きよ』という一節を、わぁーって泣きながら読みました。
年を重ねて不安になったとき、少女だった頃の思い出だとか、出合った音楽、人にかけられた言葉……そういう過去の記憶、過去の自分が支えになったり、助けになったりすることって確かにあると思ったんですね」
「変わり者」と言われても、自分を見失わなかった理由
小泉さんは自身を振り返って、「デビューする前の15年間に家族の中で形成された私がいて、その過去の自分にずっと守られてきた感覚がある」と話します。
「私は5人家族で3姉妹の末っ子でした。両親とも、人として道を外れなければ好きなことをしなさいという感じで、勉強しろと言われたことはほぼなかったですね。その代わり母から、...
『ピエタ』を読んだのは小泉今日子さんの読売新聞の書評欄を読んだことでした。奥が深いお話しでした。今日子さんのインタビューでもう一度読み直しをしています。ハツラツとした今日子さんの生き方にとても共感しました。