日本一のフローリストが教える花の命と感性の磨き方
2023.10.242024年03月30日
プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック
春の訪れを感じる「桜色のチューリップ」を飾ろう
春ならではの花「チューリップ」をお部屋に取り入れませんか?「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、桜色のチューリップの飾り方・楽しみ方を伺います
みずみずしい花姿が魅力「チューリップ」
たくさんの品種と花色があるチューリップですが、今回はこの季節にぴったりな桜色の2品種、一重でスリムな咲き方の「ガブリエラ」と、八重咲の「ドリーマー」を選んでみました。
チューリップはかわいらしいだけでなく、すらりと伸びた茎、そしてシャープな葉のバランスが絶妙で、誰がどう生けても格好が付く花だと思います。
チューリップの飾り方1:シンプル・ナチュラルに楽しむ
そんなチューリップは作り込み過ぎず、写真のようにざっくり水差しに生けるだけでも素敵!
でも、チューリップは生けたときには「きまった!」と思っても、翌日には真上に伸びてしまったり、花も昼に開いて夜に閉じたり、姿が変化する気まぐれな花です。切花でも茎がだんだん伸びていくので、水替えのタイミングで切り戻し、生け替えて、動きのある性質も含めて楽しんでみてくださいね。
チューリップの飾り方2:春の花をプラスして楽しむ
チューリップと同じように春に旬を迎える「コデマリ」をプラスしてみました。特に淡いピンクのチューリップと、小さな白い花を枝いっぱいに咲かせるコデマリは相性ぴったりの組み合わせです。
そんな、この季節ならではの2種類の花を、ペパーミントグリーンの花器に生けてみました。色の付いた花器はコーディネートが難しそうに感じるかもしれませんが、意外にも生ける花を選ばないことが多いです。
遊び心のある色の花器も一つ持っておくと、生け替える際に雰囲気がガラリと変化して、花あしらいが楽しくなりますよ。
チューリップの茎や葉は、キュキュッとした質感が滑り止めのようになるので、花瓶の中である程度花を固定することができます。そのため、狙ったところに花を配置できるので、たくさんの花があっても上手に花が生けられると思います。
そして、生け終わったら少し離れたところからバランスを見て微調整をするのも、実は花あしらいのコツの一つです。
チューリップの飾り方3:楽しげな春の雰囲気を楽しむ
ガラスの小瓶に生けたチューリップを、トレーに集めてみました。トレーにまとめて飾るだけで、簡単におめかしした花あしらいになります。一輪挿しでなくても、お気に入りの空き瓶やグラスに一輪ずつ飾ってみましょう。
リビングルームではまとめて、デスクやテーブル、寝室には一つずつなどフレキシブルな楽しみ方ができる、おすすめの花あしらいです。ぜひお試しくださいね。
チューリップの飾り方4:一輪をさまざまに楽しむ
チューリップ全体が入るようなサイズの花器に入れて、まるで水中花のようにしてみました。水中花といっても水は花器の3分目程度、少なめの水にすると花の持ちが良いです。
ただし、チューリップはどんどん水を吸ってあっという間に水がなくなってしまうので、水切れに注意しましょう。
カバーの色がきれいな洋書を花器に見立ててみました。本に挟んでいるように見えますが、小瓶に生けた花を開いた本の間に入れています。
チューリップはカジュアルな道具との相性がとても良いと思います。自由な発想で、家にある身近なモノを花器に見立てて楽しみましょう。
お花屋さんでお気に入りの1本を見つけたら、ぜひ一輪挿しで楽しんでみてください。ちょっと曲がっていたり、葉がくるりとした個性的なチューリップでも、一輪挿しにするととてもスタイリッシュに生けることができます。
じっくりと花と花器のバランスを見ながら、一番好きな位置を見つけて生けてみましょう。でも、気持ちを込めて生けても、先ほどもお伝えした通り日々姿が変わってしまうのがチューリップです(笑)
翌日には姿を変えてしまうかもしれませんが、人の力が及ばない変化も楽しんでくださいね!
日々姿が動くチューリップですが、姿が変わったら違う花を一輪プラスしてみるのもおすすめです。
先ほどご紹介したコデマリから一枝を選んで添えてみました。しなやかな枝は動きのあるチューリップをより美しく見せてくれます。
短くカットしたチューリップにカールした葉を添えて、脚付きのグラスに生けてみました。お手入れして短くなったり、折れてしまったりしたチューリップはくるりと巻いた葉を支えにして生けてみるとバランスよく収まります。
今回は桜色のチューリップを選びましたが、チューリップはとてもたくさんの花の色や形がある花です。お好みのチューリップを見つけて、工夫を凝らしながら最後まで楽しみつくしましょう!
「チューリップ」の基本情報
- 出回り時期:11月~4月
- 開花時期:3月~5月
- 香り:あり
- 学名:Tulipa
- 分類:ユリ科チューリップ属
- 和名:鬱金香(ウコンコウ/ウッコンコウ)
- 英名:Tulip
- 原産地:地中海沿岸から中央アジア
- 花言葉:「博愛」「思いやり」など
構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)
花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)
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※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。