大人世代の庭造りは手間いらず&がんばらない!がコツ
2023.04.292023年12月26日
プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック
冬の庭の女王「クリスマスローズ」の素敵な飾り方
冬の庭に静かに咲き誇る「クリスマスローズ」。「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、年末年始にぴったりの飾り方・楽しみ方を伺います。
冬の庭の女王「クリスマスローズ」
クリスマスの頃にバラに似た花を咲かせることから、この名が付けられました。本来、クリスマスローズは「ヘレボルス・ニゲル」という品種を指しますが、日本の園芸市場では花色が豊富で早春から春に咲く「レンテンローズ」(学名:ヘレボルス・オリエンタリス)もクリスマスローズと総称されています。
日本には明治期に渡来し、和名である「寒芍薬(かんしゃくやく)」の名で茶室の花として趣味人に好まれていたそうです。
クリスマスローズは特徴的な花の構造をしていて、花びらに見える部分は実は「ガク」で、めしべの周りについている「蜜腺」と呼ばれる部分が本来の花びらが退化したものという不思議な花です。
お庭やベランダでクリスマスローズを育てていらっしゃる方も多い、人気の草花ですが、冬場になると切り花として花屋に並ぶことがあります。
お庭では寒さに耐えて長く咲いている花ですが、切り花になるとデリケートに。とても水が下がりやすくなりますので、女王さまに接するように大切に扱ってあげてくださいね。
クリスマスローズの飾り方1:ざっくりと生けて楽しむ
クリスマスローズは花と茎と葉のバランスが絶妙で、花瓶に投げ入れただけでも素敵にまとまります。
ただし、花のまわりを囲むように葉が付いていますので、花が葉に埋もれていることがあります。そうした場合は花の表情がきれいに見えるように葉をよけましょう。少し離れた所から見てバランスを確認します。最後に葉が多く感じるようでしたら取り除いて全体のバランスを整えて完成です。
写真のようにいくつかの高さが違う花瓶に生けて飾ると、庭に咲いているイメージが表現できるかと思います。
もちろんどれか一つだけでも楚々として素敵な花あしらいになりますよ。
クリスマスローズの飾り方2: 一輪の美しさを楽しむ
今度は本数を減らしてすっきりと生けてみましょう。
シンプルな花あしらいなので、高さの違う白いガラスと透明なガラスの花瓶を組み合わせて、器も変化をつけてみました。花の本数が少ないときは、写真のような口が細めの花瓶ですと、花が生けやすくなります。
ちなみに、クリスマスローズはうつむきながら咲く姿が美しいのですが、あまりにも下を向いているとせっかくの花の顔が見えません。そんなときは花瓶のヘリを上手に使ってクリスマスローズの花を支えて、顔の向きを調整してあげましょう。口が細い花瓶はこうしたときにとても使い勝手のよいものです。
クリスマスローズの飾り方3: 季節の植物をプラス
シンプルにクリスマスローズを楽しんだ後は枝ものや実ものをプラスして、冬ならではの花あしらいを楽しみましょう。
最初に加えたのは香りのよい「コニファー」と、茶色の小さな松ぼっくりのような実がかわいらしい「ヤシャブシ」です。
針葉樹や実が付いた枝は冬の雰囲気を演出するのにぴったりなアイテムです。ほんの少し加えるだけで、季節感を感じる花あしらいに変身します。
小さく可憐なクリスマスローズは小さな花瓶にしか生けられないように思われるかもしれませんが、実は大きめの花瓶にも素敵に生けることができます。
大きな花瓶にたっぷりと水を入れて、短いクリスマスローズを生けてみましょう。
まずはクリスマスローズが沈んでしまわないように、器のヘリに花をひっかけるように生けます。コニファーはクリスマスローズの後ろに。さらにヤシャブシを加えてバランスを取ります。最後に水色の「忘れな草」を添えてアクセントにします。
背の高い花瓶に生けると、うつむいて咲くクリスマスローズの顔が美しく見えることもうれしいポイントです。花は本当に器でがらりと印象が変わります。ぜひお手持ちの花瓶でお試しくださいね。
クリスマスローズの飾り方4:お正月の雰囲気にアレンジ
意外かもしれませんがクリスマスローズはお正月の花飾りも似合います。
こちらの写真は「ヤシャブシ」を取り除いて、金銀の水引飾りを添えました。このぐらいのボリュームであれば飾りを固定しなくても枝の間に差し込むだけでも留まりますので、ひと枝加えるぐらいの気軽さでお試しくださいね。
小さな花あしらいも水引飾りや赤い実ものを少し添えて、トレイに載せただけでもお正月気分に。お正月だからと構え過ぎず、ご自宅にある物を使ってオリジナルな迎春花あしらいを楽しみましょう。水引飾りは100円ショップなどでも見つけることができますよ。
クリスマスローズの飾り方5: 最後の一輪まで大切に飾る
クリスマスローズは繊細な花なので、水が下がってしまい、花がうなだれてしまうことがあります。そんなときは、ぜひ思い切って短くカットして水に花首を浮かべてみましょう。
水のきらめきと、透明感のあるクリスマスローズの繊細な花のハーモニーをお楽しみくださいね。
「クリスマスローズ」の基本情報
●出回り時期:12~2月
●香り:なし
●学名:Helleborus niger
●分類:キンポウゲ科クリスマスローズ属(ヘレボルス属)
●和名:雪起こし、寒芍薬(カンシャクヤク)
●英名:Christmas rose
●原産地:イタリア、スロベニア、クロアチア、ドイツ、スイス、オーストリアなど
●花言葉:追憶、私を忘れないで、私の不安をとりのぞいてください、など
※ヨーロッパでクリスマスローズと呼ばれている「ヘレボルス・ニゲル」の情報です
構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)
花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)
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※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。