新井光史さん|人生の節目を彩る花を作り続けて40年
2023.10.192023年11月28日
プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック
まさに「薔薇色」!バラの華やかさを楽しむ飾り方
切花で「薔薇色のバラ」をお部屋に取り入れませんか?「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、この季節にふさわしいバラの飾り方・楽しみ方を伺います。
薔薇色のバラって?
古来より世界各国で愛され、現在では約2万品種以上あるともされるバラは咲き方や香りなどさまざまに分類されています。
薔薇色というと何色を思い浮かべるでしょうか。人によっていろいろな色が浮かびそうですが、色彩上での薔薇色は、鮮やかな紅色のことをそう呼びます。
薔薇色の人生、薔薇色の日々のように、薔薇色は希望や幸福に満ちている様子を表す、とてもポジティブな印象をイメージさせる色ですよね。
今回の花あしらいに選んだのは「アンフロレゾン」という品種で、ロゼット咲き※1と呼ばれるクラシカルな咲き方の美しい花姿と、ダマスク※2やブルーの香り※3を感じるとてもよい香りが魅力的なバラです。そして、まさに薔薇色。
※1ロゼット咲き:花弁の数が多く、大小の花弁が複雑に重なる咲き方です。
※2ダマスク香:華やかで強い甘さを感じる、オールドローズに多いタイプの香りです。バラの香りの製品の多くはこのタイプです
※3ブルー香:甘さの中にもシャープな爽やかさがある香りです。青味を帯びたバラに多くある香りであることから、ブルー系と呼ばれています。
バラの飾り方1:薔薇色のバラをシンプルに楽しむ
そんな薔薇色のバラをシンプルに楽しみたくて、色ガラスの花瓶に投げ入れてみました。
あまり考えすぎずにバラの顔がきれいに見えるように、ざっくりと生けてみましょう。器と花の長さとのバランスも全体の美しさを決める大切な要素ですので、少し離れたところから眺めて、花が一番美しく見える長さや角度を見つけます。
当たり前ですが最初に茎を短くしてしまうと、もう戻らないのでバランスを見て長さを調整しましょう。
最後に余分な葉を取り除いて全体のバランスを整えます。
あまり葉が多すぎても花が生きず、野暮ったい印象になりますし、葉を落とし過ぎると少し間の抜けた印象になります。こちらも一気に取ってしまうと戻らないので、花瓶に生けた状態で少しずつ取っていきましょう。
葉と葉が重ならないように、風が通るようなイメージで生けると、美しく、しかも蒸れずに花も長持ちしますよ。
バラの飾り方2: 器を変えて楽しむ
同じバラを重厚感のあるネイビーのピッチャーに生けてみました。
生けるポイントはすらりと伸びた繊細なツボミはやや高い位置に、大きく開いた花はやや低い位置に配置すると全体のバランスがとりやすいと思います。
また、ピッチャーのような非対称の器に生ける場合は、花も左右対称のバランスで生けるよりも、ハンドルとは逆の方向に花を傾けるとバランスよく仕上がります。
バラの飾り方3: 違う品種のバラを加えてみる
今回の花あしらいでは「アンフロレゾン」とは全く違う雰囲気の個性的なバラ「オール4キュート+(オールフォーキュート)」を加えてみます。
ちなみに、たくさんの花びらの間から覗いている緑の部分は「しべ」です。こんなユニークなバラを見つけたら、ぜひ花あしらいに取り入れてみてくださいね。
最初に生けた「アンフロレゾン」に「オール4キュート+」を加えました。2本加えただけで、こんなにも雰囲気が変わります。
「オール4キュート+」の個性が素敵なアクセントになって、より華やかな花あしらいになりました。
バラの飾り方4:枝物を加えてみる
先ほどの花あしらいに、この時期ならではの紅葉した枝物「ヒペリカム」を加えました。一年を通してかわいらしい実を付けた状態で花屋に並ぶヒペリカムですが、秋から冬にかけては紅葉した葉を楽しむ、このような枝物が出回ります。こうしたナチュラルな枝物はバラと相性ぴったり。バラの本数が少なくてもボリュームアップできてお得です。
バラに限らず、いつもの花あしらいに色づいた枝物を加えて冬へと向かう季節を表現してみてくださいね。
バラの飾り方5:実物を加えてみる
さらにつややかな赤い「バラの実」を加えました。
目立つ赤い実は、三角形を意識して少しだけ離して配置すると効果的です。錦に染まった山々のような華やかな花あしらいです。
バラの飾り方6: 最後の一輪まで大切に飾る
お手入れをして短くなってしまったり、折れてしまったりしたら、美しいバラの顔をシンプルに楽しむ花あしらいはいかがですか?
散ってしまった花びらも美しいので、デコレーションに使って楽しみましょう。
今回は小さめのデザートディッシュに小さな一輪挿しをのせて、アフタヌーンティーのようなイメージにあしらいました。
茎を短くすると花持ちも良く、長い時間バラを楽しむことができますよ。
花首がぐったりと元気がなくなってきた際には思い切って短くカットして、バラの花の美しさをお楽しみください。
「バラ」の基本情報
●出回り時期:通年(開花期は春と秋)
●香り:あり
●学名Rosa
●分類:バラ科バラ属
●和名:薔薇(そうび/しょうび)
●英名:Rose
●原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
●花言葉:美、愛情、など
構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)
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※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。