“親のことは考えるのに”自分のことは後回し

6割が“まだ考えていない”自分の葬儀。50代が始める“安心の準備”

6割が“まだ考えていない”自分の葬儀。50代が始める“安心の準備”

公開日:2025年11月12日

6割が“まだ考えていない”自分の葬儀。50代が始める“安心の準備”

親の体調や老いを意識するようになる50代。「まだ早い」と避けがちな終活の話題も、年末は見直しのチャンス。親の介護や葬儀をきっかけに、自分のこれからを整える——50代から始める安心の準備を紹介します。

葬儀はまだ早い?6割が“考えていない”現実

親の葬儀はまだ早い?6割が“考えていない”現実
KY / PIXTA

冷え込みが厳しい冬、年末の帰省で久しぶりに親の顔を見ると、一気に老いた気がする——。そんな瞬間に、ふと「これから」を意識する人も多いのではないでしょうか。とはいえ、「葬儀の話なんて、まだ早い」「縁起でもない」と感じる人も。

一方、「自分のこれから(終活)」はどうでしょうか。

最近の調査(※)では、親の葬儀や介護については「そろそろ準備が必要かも」と考え始めたという声がありますが、50代以上の男女のうち6割が“自分の葬儀を考えたことがない”という結果が出ています。

つまり、今の50代は「親を見送り始める世代」でありながら、「自分はまだ当事者ではない」と感じている世代。その“はざま”にあるために、終活を現実として受け止めづらいのかもしれません。

「迷惑をかけたくない」困った経験が考えるきっかけに

「迷惑をかけたくない」困った経験が考えるきっかけに
kapinon / PIXTA

きっかけは突然やってきます。

親が体調を崩した、入院した、介護が始まった——そんな日常の小さな変化が「もしも」を意識させる転機に。実際、親が元気なうちに、自分の準備を進めたいと考える人も増えています。

初めて親の老後のサポートをする中で「いざというときに慌てたくない」「子どもに迷惑をかけたくない」――そんな思いから、葬儀やお金の話など、“終活の一部”を始める人も。

しかし実際には、自分の葬儀について家族と話したことがある人は調査によるとわずか4人に1人。7割以上が「まだ話していない」と答えています。多くの人が“考えなきゃ”と思いながらも、いざ家族を前にすると切り出しにくいのが現実です。

多くの人が考えているのは、葬儀の規模や費用、そして誰が手続きを担うか。そして、“送る側”のリアルな準備が見えてくると、「自分のことも、いずれ誰かが決めるんだ」と気付かされます。

「終活の話題は、どんなタイミングで切り出せばいいの?」と迷う声も多く聞かれます。ただ、いざ「話してみよう」と思っても、何から切り出せばいいか悩む人は多いもの。無理に話題を作るよりも、日常の中の自然なきっかけを生かすと、ぐっと話しやすくなります。

話しやすいきっかけ例

  • 「叔母のお葬式、あれジーンとしたよね。うちはどうする?」
  • 「もしものとき、どんな形がいい?」
  • 「〇〇さんちでこんなトラブルがあったんだって。うちだったら~~」

50代が抱える“終活の3つの不安”

50代が抱える“終活の3つの不安”
Luce / PIXTA

終活と聞くと、「何から始めればいいかわからない」という声が多く聞かれます。実際の行動に移せない背景には、“漠然とした不安”があるから。終活を始める前に、その「なんとなく不安」の正体を見える化すると、優先順位がつけやすくなります。

では、多くの50代が抱える“具体的な不安”とはどんなものなのでしょうか。

1.お金の不安
葬儀費用・介護費・医療費——何をどこまで準備すればいいのかがわからない。「家族に迷惑をかけたくない」と思いながらも、現実的な数字が見えないため不安が募ります。特に50代は、教育費や住宅ローンの支払いが続く世代。親・自分・子ども、三世代分の出費が重なる“挟まれ世代”でもあります。

2.健康・介護の不安
親の介護をきっかけに、自分自身の体力の衰えや老後の暮らしを意識するように。「もし自分が倒れたら、誰に頼れるだろう?」という現実的な心配も増えていきます。

3.家族・人間関係の不安
「兄弟と意見が合わない」「子どもに負担をかけたくない」。終活の難しさは、モノやお金の整理よりも“人との関係性”にあると言われます。だからこそ、早い段階から「話せる関係性」をつくっておくことが、何よりの備えになります。

終活は“死を考える”より、“安心して生きる”ための準備

終活は“死を考える”より、“安心して生きる”ための準備
mits / PIXTA

親の葬儀や終活を考えるうちに、「自分も少し整理しておこうかな」と感じる人も少なくありません。親世代の姿を通して、“いずれ自分も”という現実を穏やかに受け止めるようになる——それが50代の転換期です。

終活は“死の準備”ではなく、“生き方を整える時間”。誰のためでもなく、自分と家族が安心して暮らすための“暮らしの整理”です。

50代から始める3つの一歩

  1. 大切な情報をまとめる(保険・口座・緊急連絡先など)
  2. 想いを書き留める(感謝・希望・家族への言葉)
  3. 相談・情報を集める(葬儀社や自治体の無料相談など)

“準備”は一気にやらなくて大丈夫。エンディングノートに書き出してみるなど、少しずつ、できるところから始めることが続けるコツです。

「まだ早い」と思っていたことが、“今の安心”につながる——。終活は、未来のための準備ではなく、“今日を穏やかに生きる力”でもあります。

年の瀬の片付けや家の整理と同じように、心の棚卸しも少しだけ。それが、家族にとっても自分にとっても“安心の準備”になります。

※「自分自身の葬儀に関するアンケート」調査期間:2025年9月5日〜9月15日/調査対象:全国の50代以上の男女619名/調査方法:インターネット調査(株式会社NEXER・ハタオ葬儀社 共同調査)

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HALMEK up編集部
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